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シルク・ド・ソレイユ
《アレグリア》
2023年の初め。
トンコハウスの初長編作品であるONIの展示会に行くため足を運んだ東京。
いつ何のために通ったかすら覚えていない、
上野駅の銀座線からJR線に行くまでの通路で目に飛び込んできたのは
《アレグリア》のポスターだった。
その日の予定すら覚えていないのに、
そのポスター全てが頭に焼き付いている。
あの、シルク・ド・ソレイユが日本に...!?!?
東京から金沢に帰ってきてからも
そのポスターがどうしても頭から離れなかった。
2023年3月。
私の妹が中学校を卒業するタイミングで
私の彼とその妹、私と私の妹の4人で東京に行くことへ。
「まだ学生である彼女たちに質の高いエンターテイメントを見せてあげたい」
そうは言っていたが、
きっと大人である私たちの
止まらない胸の高まりを隠すための口実だった気がする。
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そして3月19日。
ついについについに。
待っていた《アレグリア》
どうせ見るならと、
ステージにかなり近い席を選んだこともあって
大きく見えて意外とコンパクトなステージと反対側のお客さんの表情、
そして舞台袖で準備をしているスタッフまでよくよく見える距離。
あーーー、たまらない、、、、!!
チュロスを買ってお土産屋さんをフラフラ見ていたほんの10分前とは心臓のリズムが変わっていた。
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11時30分。ついに開演。
初めてだった。
涙が溢れて止まらなかった。
私は決して涙脆いわけではない。
ましてや始まってすぐに意味もなく泣くような人でもない。
そりゃあもちろん、動物や家族の感動物語では泣いたりする。
だけどどちらかというと、
そう謳っている映画などに関しては冷静に見てしまって泣くことは少ないかもしれない。
なのに
涙が止まらなかった。
なんで泣いているのか分からない。
頭で理解できていない事が唯一理解できている事。
あの涙は私の体と心がそうさせていたのだと思う。
人間って心の奥深くから感動すると、頭で理解する前に涙が出るらしい。
そして周りを見てみると、
長い棒を使った始めの演目でお客さんの背中が一気に椅子から離れた。
みんなが前のめりになった。
これだ、
これが作りたい。
私の夢に輪郭が見えた気がした。
エンターテイナーの端くれとしての感想を言えば、きりがない。
空間、演出、音楽、そしてアーティスト。
全てが完璧だった。
そして何より、使っている言葉。
なんと、シルク・ド・ソレイユ特有の《シルク語》という(非)言語が使われている。
特に日本人は言語に対する苦手意識がある分、
少しでも知っている単語を聞くと
内容を理解しようとリスニングに集中してしまう。
だがしかし、
《シルク語》を使う事でその隙を作らせない。
つまり、表情や身振りなど細かい部分に意識を向けさせている。
すごい、すごすぎる。
子供達の笑い声が響いていた。
これが全てだった。
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あっという間に過ぎていった2時間。
だけどその2時間
私は違う世界にいた気がしている。
シルク・ド・ソレイユ《アレグリア》の世界
もう一度。
いや、何度でも戻りたい。
ありがとうございました。
またすぐに行きます。
表でも裏でも
お互いに向ける信頼と尊敬の眼差し。
エンターテイメントとは何かを再認識しました。
希望を、そして夢を、
見させていただき、
本当にありがとうございました!!!
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