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初春の夢を見る。(IU H.E.R world tour)

初春の夢を見た気がした。儚く、終わってほしくない、桜色の夢のようだった。

3月の末、好きな人のライブに行った。その日を心待ちにしていたようで、きてほしくなかった。前日になると明日が来て、明日が過ぎ去ることに胸が苦しくなるほど辛かった。

終わってほしくない夢ってあるから、それが現実なのか、夢なのかもわからない。そのくらい私はこの二日を待ち望んでいた。そして、終わってしまった今もあの二日間が果たして現実だったのか見当もついていない、

会場に入るとMVが流れていて、スモークでライブ会場が霞んで見える。何よりも彼女のことを好きな人が日本にこんないることが不思議だった。彼女を見ることに夢中になる人がここまでいることが素敵で仕方なかったのだ。

暗転し始めると歓声が会場を包む。そして、私はその空間を忘れられない夢を見ているようにどうかこの夢から覚めないように願いながら、世界で1番幸せな三時間を過ごした。

小さな彼女からは想像もできない力強い声、イヤホンから聞いていたあの声、画面の中にいた美しいほどの彼女。
あぁ。夢か現実かわからないってこういうことなんだ。

桜が散るのが惜しむほどに美しいことと同じように、
舞台に立つ彼女はいくら目に焼き付けようとも惜しいほどに美しいのだ。

「日本に来ることを実は緊張していました。」
彼女はそう何度も言った。
12年ぶりに日本に来て、不安だった。とても緊張しています。と口にした後、
それでも今日来てくれて、ありがとう。そう言った彼女は間違えなく、私が大好きな彼女で間違いなかった。

来てくれてありがとう。こちらのセリフだよ。あなたに会える日を心待ちにしていた。きっと日本語は勉強し直してくれたのだと思うほどたくさん話してくれて、
なるべく、自分の言葉で伝えてくれる彼女はまさに天使そのものだった。

「憎しみよりも愛に集中した人生を送ってください。」

MCでそう言った彼女の言葉になんだか心がふわっと軽くなって、週が明けるとやってくるなんでもない光らない日常がその言葉で少し楽しみになった。
あの人ムカつくな、とかこの仕事だるいな。なんかではなく、ただただ好きな人、好きな物、好きなことに集中するだけで人生が華やかになるような、彼女が言うとそんな感じがしてしまうのだ。
あなたの言葉と詩は全て私にとって、優しく包み込んでくれる体温のように暖かく、心まで満たしてくれるのだ。
あなたが私の目の前に現れてくれてから何年経っただろうか。
大好きなあなたにまた会えるように私は今日もあなたを思いながら、なんでもない日常を送ろうとしている。

ナナ


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