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THE FIRST SLAMDUNK感想 (21回参戦、記録更新中)

▼21回観て思ったこと
15回目くらいから飽きるのでは?とか主筋以外のところを観るようになる(例:魚住が座席移動するタイミングとか)のでは?と思っていたのだが、21回観てまだ主筋に惹きこまれることに正直驚いている。原作も構成も演出も音響もアニメも素晴らしいからだと思う。今後も参戦を続けるつもりだけど、未だパンフレットもRe:SAUCEも読めない。読んだら正解が判っちゃう気がして。正解が知りたいわけじゃない。自分で探すのが楽しいんだ。自分だけのザファに今日も会いに行くんだ。

▼試合解説台詞無し、だが観客は魅了される
原作にはあった牧や高頭、諸星土屋の解説台詞全てカット。流川が沢北と同等に進化した事すら説明されない。かろうじて赤木の位置取りやインテンションに湘北陣が反応するも詳細な説明は無し。バスケ知らん人は何でうまいのかなんで嬉しいのか判らないであろう。。。にも、関わらず。毎回試合の後半、観客席が水を打ったように静まり返る(14回参戦中14回)。無音のシーン、皆呼吸さえ止めているのかという静けさ。マジか。全員試合の展開熟知しているわけでは無い筈。バスケ知ってるわけでは無い筈。でも魅せる。惹きつける。呼吸さえ支配する。言葉でなく動き、表情で全て語る。何という脚本(試合構成含め)、何と言う演出、よくぞ走ってた三井!(走ってないし三井じゃない)

▼観ていて快感、演劇的・映画的な演出と演技
全体に演出が演劇的、実写映画的でもある。そして役者じゃないのに(まぁモーアクではあるが)変な言い方だけど演技も非常に繊細で演劇的、映画的。
ミニバスの試合でリョーちんが倒れたとき、かおるさんは思わずハッと身体が前に出る。それを首から下の上半身だけで見せる。反射的に体が出るスピード感、差し伸べられた手、そして動きを止める動と静の演出。
そのあと家に帰りソータの部屋を片付けてリョーちんを怒る場面は「顔」で表現してた。ソータを悼む気持、やりきれなさ、リョーちんへの愛と通じない気持への苛立ち、なぜ判ってくれないの!!そして自己嫌悪。そうした複雑な感情はやはり「顔」でないと表現しきれない。だが泣くところは顔を隠す。親として、弱さや悲しさを隠そうとするかのように。お父さんが亡くなって以降、お母さんは泣く時子供の目を避けるようになっているのではないかな。リョーちんが交通事故を起こしたときも廊下に出てから泣いていた。ロングショットで天を仰いで祈るように手を合わせていた。きっとあれは無事でよかった、という想いもあったのでは。

リョーちんが屋上に呼び出されたときの手の震え、ポケットにいれて、そこでも震えている。そういう表現もすごく実写映画というか演劇的。リョーちんが作中でどんどん変化していく過程も顔の表情や行動の変化で表現されている。言葉やエピソードで説明していない。そういうところがすごく映画的な表現。

流川がパスしてからの花道が流川にパスせず「ふん!」「あ」「あ”」と続くくだり、間合いもやることも見事に演劇的な定石どおりの流れ。それが綺麗にピタッとハマって気持ちいい。そういう箇所がいっぱいあって、観ていると生理的な快感が凄い。あの「ヤマオーは俺が倒す!」の流れの演出もそう、「そんなタマじゃねーよな」のタイミングもそう、「キタキタそれだよそれ!」ってなる。最初に花道がアリウープ決めて歌舞伎の見栄を切る感じで首を振るじゃない。あの間合いの遊びかたよ。このへんは映画あるいは演劇の手練れじゃないと計れない寸法、構成、演出だと思うので、うおおおお!すげぇいい演出チームがいる!って嬉しくなっちゃった。

エンタメとしてのクオリティがめちゃくちゃ高い。もちろん要素(メンバーの魅力や背景、試合のなかの見所、ドラマ性)も盛りだくさんという前提はある。だがそのうえで、観る側の快感を引き出せる演出チームの力量が分厚くて物凄いと思う。

▼「ヒーローじゃない者たち」への愛情
いやもうベンチの木暮先輩の表情が素晴らし過ぎて(原作通りの顔だし!)。木暮先輩だけでなくベンチ全員がひとつひとつのプレイにめっさ細かいリアクションしていて。ベンチにいても心はコート、チームとひとつ、それが皆のリアクションでめちゃめちゃ伝わってくる。それを丁寧に描いているところが、制作側の「ヒーローじゃない者たち」への愛情を物語っている。イノタケ先生もTwitterでベンチメンバーを描いておられましたものね!

▼だがヒーローもそこには居たのだ、桜木花道
いやー花道カッコよかった。。。あの「ヤマオーは俺が倒す!」のシーン、ぞくぞくした。あの展開は原作漫画でも素晴らしかったけど、花道が動いて!叫んで!その声が体育館中に響き渡る快感。これぞ桜木花道!ってワクワク。声優さん賛否両論だけど、私はすっごい良かった。おうよ!の言い方もなんだー!?の言い方もあーまたヘナチョコシュート!の言い方もフェイクだ。の言い方も凄い上手いしすごい好き。ドラえもん観たこと無いしね(あんまりジャイアンジャイアン言う人が多いので驚いたんだけど、皆そんなにドラえもん観てるんですかね…?)

試合中のプレイのひとつひとつがメッチャ良かった。あのジャンプの高さ、滞空時間の長さ、二度跳びの速さ。あれCGアニメならでは。動きがリアルでしかも演出されたカッコよさがある。あと、表情。ちょっと下唇突き出して黙って何かを見ているときの花道が、すっごい花道。アタマ悪そうで(失礼)でも野生の感覚がアンテナみたいに動いてるんだろうなって顔してる。少し首が前に出た姿勢も野生のヤンキーでよき。試合が停滞してリバウンド戦略を授けられてコートに戻ったところ、ゴリにカンチョーやるために走り寄る動きとか表情とかベンチを煽る動きとかもう、素敵過ぎる。しゃがんで立つときの筋肉の動きとかセクシーだし、ああこれ花道だ、花道だってなって悶絶しそうになる。

そして試合中の進化。序盤は邪魔だから切れろ、と言われアピールしてもしてもパスが貰えないど素人の花道が、やがてリバウンドからシュートを決め、流川が止めそこねたパスをブロックし、沢北のドライブを予測し、チーム最初にファストブレイクするまでになる。もっとも沢北のは喧嘩師の勘て気もするね。

この映画、リョーちんの物語なんだけど、後半戦の追い上げからは湘北オールスターの物語でもある。自分と闘う、ただ(自分の弱さに)負けたくはなかった、そういうテーマを全員が踏んでいく。花道は怪我であり自分の弱さとは違うんだけど、つみあげてつみあげて勝ち得たバスケ、仲間、それを一瞬でも手放したくは無いというエナジーはテーマとシンクロしている。自分の弱さへの不安を払拭できるのは努力した自分への信頼だけ。花道の回想シーンで涙した人は多いと思う、そうだよね、花道頑張ったよね、頑張って手に入れたもんねって。そして花道のそのエナジーは確実に他のメンバーの背中を押していく。その役割は、やっぱり花道(=ヒーロー)なんだと思う。

▼三井くんが「知性」ととっておきの「飛び道具」を、、、
飛び道具、いわずもがなのスリーポイントシュートは作中でも存分に決められ試合を決定付けた。赤んぼみたいに無心に…という名台詞はこっちが勝手に脳内再生しているので問題無し。
そして「知性」、これは上述のスリー連発時の戦略、位置取りの巧さ(走るべきときはヘロっててもちゃんと走る)、松本を混乱させる試合中の発言(攪乱作戦?ほんとに朦朧としてた?)、そして最後の追い上げでスリー打つ時にちゃんと一回フェイク入れて松本を飛ばしてる…!あんなヘロヘロなのに…!
という感じで存分にバスケIQを発動させていたとともに、後半戦始まるときの「後半は全く別の試合」という台詞が三井に振られた点で、バスケ知性の高いキャラなんだな、と感じる。

三井はコミュニケーション能力が高い(=知性)ということを言っておられる方がいて(雑文さん)、面白かった、なるほどーって思った。そこに同意してそのうえで、だからこそ?三井はおバカなんだよね、と思う。バカで不器用で熱量高い。じゃなければ体育館襲撃までしておいて「再びよろしくおなしゃす!」は出来ないはず。そこまで突き抜けたバカであることが、三井の凄さだし可愛さだし応援したくなる理由だと思う。

ちなみに赤木が終盤みんなに「ありがとうよ」と言うくだり、それ言う前に「お前らには腹が立ってばかりだ」と言ったとたんミッチーが「あ?」と切れ気味に被せてくるのがおバカ感あってとても可愛い。
あと、後半追込まれてのタイムアウトで、ベンチに座ってるミッチーが、ゴリに寄り掛かるようにしてるんだよねー。体力限界だからなのか、何か話していたのか、思入れとしてはミッチーあまえたさんだし他人との距離感近い説だな!おまえ親御さんに大事にされてきただろ。
そして中学時代のミッチーの正統派主人公感が眩しい。大切にまっとうに育てられた子オーラが太陽の如く輝いている。それがなんでああグレた。絶対、おバカだからだと思うんだよ。

▼流川真骨頂のハイパースピードドライブ
もともとエピソードの少ない流川だけど、試合こそが流川の真骨頂。。。あのダンク!(花道がボードにぶつけた球をフォロって叩き込んだやつ!)そしてダンク後の勢い余った感じの動きとか!!そこにいる!!流川そこにいるよ!!ふくらはぎの細い(筋肉の位置が高いの)おみ足も美しかったー。身体の線とか手足のバランスとか、ほんとに綺麗。そしてそしてその超絶美しい肉体であのハイパードライブするところ!!コートに居たらこういうふうに見えるんだ!の構図!!そのちょっと前に沢北が同じようにハイパースピードでドライブかましてきて、ほぼ同じ構図だけど動きは違う。どっちもスゲー素敵なんですけど、好みで言うと流川の動きかな。切り返しがすごいタイト、綺麗。流川の動きって凄い綺麗なの。うわもう妊娠するからやめて!って感じ。
追記:あれってモーキャプまんまじゃなくて、イノタケ先生が一瞬一瞬の動きに赤入れしてCGを修正してるんだって。。。マジか。すごい。。。

今日(13回目)見てて思ったんだけど、流川、ラスト1分のときわざとチャージングしてる?花道に時間を稼いでる?一回花道のほう見てから押してる気がする。だとしたら、凄い花道愛なんですけど…!

今日(21回目)思ってたのは、流川って意外と人を見ている。三井の垂れ具合も花道の怪我の状況も「花道が出たい」かどうか「いまチームに必要か」どうかも流川が一番見ている。言語コミュニケーション能力は低いらしいけど、案外アイツPGやれたりすんのかな。無理かな(笑)。

▼選手としての宮城(21回目)
4年前にイノタケ先生がBリーガーと対談する企画があって、篠山竜青さんとの回で「スラムダンク書いてたときはバスケ理解が浅くてPGらしいPGが描けなかった。今なら違うものが描けると思う」みたいなことを仰っていた。それが具現化されたのがこの映画のリョーちんだと思う。チームメンバーへの目配り、コミュニケーション、ゲームメイク、キャプテンシー。最終幕でボールを持ってプレイを落ち着かせるリョーちん、死ぬ程クレバーでカッコよかった。。。!ひとつ苦しかったのは花道の怪我に気づけなかったのをどう説明するか。映画のなかでは、ベンチでは花道から最も遠い位置に座り、ミッチーの垂れ具合に意識を集中するという小芝居で切り抜けていた、、、かな。アメリカの大学リーグではフィジカル作りこんでたねぇ~。きっとジャンプショットもスリーポイントもモノにしているはず。行け、リョータ!!

▼メロドラマ?いや、、、
初回観たときは、やや重すぎないか?と危惧した~。いやそこまで重い話にしなくても、と。でも回数を重ねるごとに登場人物の繊細な感情に気づかされ、入り込んでいく感じがある。リョータは、9歳の自分が母の背中を抱きしめなかったことを「俺はいつも尻込みしてばかり」と思い起こす。。。映画後半で、ユニフォームを着て母の背中を抱きしめるシーンが差し込まれる。最初その意味がわからなかった。でも今は、自分の「弱さ」と向かい合い、克服していこうと頑張ってきたリョータが、ようやく母の背中に触れることが出来たのか、その思いが母を救済したのかと。。。落涙止まらず。

尻込みしてばかり、の時のリョータのポーズが、ミニバスの試合会場でリョータに駆け寄れなかった(まぁ試合中だけども)かおるさんのポーズと同じ。2人ともお互いに歩み寄れない、躊躇っているという表現なのかな。

あと、広島から帰ったリョーちんとかおるさんが海岸で会話するところ。近づく前にリョーちんが一度ポケットに手を入れて視線を海のほうに外すのも心情を描写してエモいし、かおるさんがリョーちんと向き合って、一度深呼吸してから「背、伸びた?」と言うシーンもエモい。これまで様々な感情に閉じられて潮の香りを思い切り吸い込むことは出来ていなかった、それがいま昇華開放され深呼吸した。。。という表現でしょうか。呼応するようにリョーちんも深呼吸してからソーちゃんのリストバンドを渡すんだよね。で、かおるさんがソーちゃんのリストバンドを受け取って反射的という感じで海を見る。思い出多い沖縄から離れてもソーちゃんが眠る海からは離れられない、でもきっと海を見るのはツラかったでしょう。だけど、このとき海を見るかおるさんの動作は自然で開かれた明るさがある。呼応してリョーちんが海を見る仕草も。エモい。あの、昼間の海の明るさのなかで、なにかが昇華されたことがめちゃめちゃ伝わる。

少年リョータの痛みと成長の物語、という視点はイノタケ先生が親世代になったからこそなのかも。親が子を想うように、リョータの成長を願う物語なのかも。

▼山王超絶セクシー
いやもう山王よ。セクシーが過ぎる。河田のあの雄感、見ました?やばいですよね。声もめちゃくちゃ良い。ちょっとした表情(眉くっとあげるとこ!好き!)も大きな表情もリアルだしかっこいいしセクシーだしもう、結婚してください。重量があるから、動きがズシン!て来るじゃないですか。すんげえパワー。ところがパワー頼みのプレイばかりじゃなくフワっとパスしたりシュートしたりするじゃない?もうその強弱のつけかたが!パワー一辺倒じゃないんだよ、河田の凄さはそのレンジの広さなんだ。赤木先輩との決定的なスキル差はそこですかね。赤木先輩は生真面目なので、抜く、というのが苦手なんですよね。そういうのが言葉じゃなく動きで表現されてる。すごいディティール細かい。丁寧。
しかし河田の造形よ。現在のバスケってポジションレスの時代になってきていて、まるでそういうことを90年代に予見していたかのような井上先生…凄いな。

サワキタ。やばい。ボールをフロントコートにぼーんと放って「よーい、どん!」で走り出すとことか!流川追尾して深津とかを手で押さえる仕草とか!彼の動きがね、非常に訓練された綺麗な動きじゃないですか。走りかたとかさ、おまえターミネーターのT1000なのか?みたいな。そのエリート感が半端ない感じが、ああーーーーこれが沢北だ!!ってなる。前述の流川と同じ構図でのハイパードライブも。なんだこのエリート感。無双ってこの人のためにある言葉ですか。あとドヤ顔すごい(笑)。いいプレイした後必ず流川にドヤる。笑顔が自信満々なんだよね。表情だけでどういう性格か判る。言語的なエピソード(子供んときの話とか)じゃなく表情やプレイの動きでキャラクターが表現されてる。そしてそれがめっちゃセクシー。素晴らしい。

深津。もうーーー、深津が腰に手を当ててコートに入ってくとこ見ると胸がときめく。なんで山王メンバーは皆動きがセクシーなんだーーー。あの動き見ているだけで寿命が延びます。そして深津の終始淡々とした表情がまた。いや深津が司令塔だったら安心感半端ないだろ。目線の芝居の細かさよ。ちゃんとコート見渡してるのが判るしその目の動きの速度が深津。きちんと見てる。焦ってない。そして最後の1分でボールを運んでいるときの拳を握った左手。なに?神の手?それ開くと世界が生まれ変わるの?くらい神々しかったです。

トーテムポール野辺もいい味出してたなー。花道のプレイに驚いたりするときの声が可愛い。河田の戦略に得心いってポン!と手を打つのも可愛い。野辺はきっといいヤツだと思う。花道に騙されているのを見てくださいよ。あれが良いヤツじゃなくて何なんでしょう。

そしてイチノやっぱり可愛いなー。常に亀みたいな表情をしているところがとても可愛い。で、あいつ意外と悪い顔するね。後半戦のベンチ、「まだ判らないのか。沢北には敵わないよ」とモブくんが言うシーン。悪い顔でにやっとしてたよ(笑)(21回目)。

松本意外といい男なんだよなー。松本のプレイがなかなかいぶし銀で地味に素晴らしい。そして三井にエンドワンやっちまった後の「ああー」みたいな仕草がとてもいい。そして深津に「どんまい」的な仕草されるのがまたいい。

▼音楽ガチクソかっこいいーーーー!
10-FEETのギターとドラムがカッコよすぎる。Youtubeでライブ動画見たらドラムが走って更に疾走感マシマシ。あの、リョーちんがプレスを抜くシーン。ボールをつく音とドラムがシンクロし、音は疾走感あるのに映像の速度が落ちる、綺麗でもスーパープレイでもない泥臭い抜き方、必死で、だけどだから死ぬ程カッコいい。あとOPのThe Birthdayもむっちゃくちゃカッコイイ。最初のベース、ドラム、ギターと音が乗っかっていく感じとかワクワクしか無い。あれがあの映像に合わさるともうたまんないよね!試合中に湘北のターンになるとステッペンウルフのBonetobewildみたいなギター入るじゃない?もう頭の中の自分100人が「BoneToBeWild!」って大合唱して滾る滾る。やばいほんとに中毒性がある。

▼音による表現
リョーちんが事故って沖縄戻って洞窟でひとりいるとき、夕映えの海と潮騒の音だけになる。あれがリョーちんの心情を表現していて凄くエモい。
あと、試合中フリースロー2本目、アヤちゃんと会話した夜の森の音が被る。木の葉のざわめき。そしてアヤちゃんの「あいつは大丈夫です…!」。リョアヤの絆の深さが表現されていて超絶エモい。とくにここ、絵じゃなくて音でってのがもう、繊細だし美しいし死にそうになった。
屋上で激突したあとの雪が降るシーン。音無し。雪の落ちて来る速度と相まって、音が無いことの効果が凄い。
試合中心臓音だけになるシーン、無音になるシーン、ノイズだけになるシーン、カッコよすぎる。音の効果と絵とが相乗して(深津の神の手アップとか)もうそれこそ心臓バクバク。アカデミー賞あげたらいいと思うよ。

▼リョーちんの動きの変化が内なる感情を表現している
試合中、攻守交替してフロントコートに下がってくとき後ろ向きで走るじゃない?あれが子供(ミニバス)時代と同じ動き方なんだよね。可愛い。。。

リョーちんが沖縄の浜辺で走り込むときもすごい良かった。内側にある想いが、洞窟でソーちゃんを思い出して湧き上がってきた激しい想いが、あの浜ランで表現されていた。試合前夜に走ってるときと内側が全く違うってことがめちゃくちゃ伝わる。もうさ、動きの変化が内側の変化を表現してるとか、演出神なの?アニメでこんなことやるの?

そうそう、ポケットに手を入れる芝居もねー。喧嘩のシーン、リョーちんの緊張とか心臓バクバクとかそれを隠して目一杯平気なふりをする感じとか、小さなアクションですごい伝わる。

あと17歳になって洞窟に入るところで頭ごちってするじゃない?リアルだし、あれ9歳の身体と成長した17歳の身体の対比表現でもあるよね。

アニメって、ああいうことも出来るんだ。あんな繊細な表現が出来るんだ。
大きな流れを繊細にディティールを積み重ねて表現しているのが本当に素敵でぐっとくる。表現そのものもそうだし、こういう表現をしようとして、実際やれているということにグッとくる。

▼安西先生の思想
ずっと引っ掛かってたんです。花道をすぐ下げなかったこと。ご自身も指導者失格と仰っていましたが、ホントそうだよ。怪我だけは。あれだけは納得いかん。そう思っていました。でも今回映画を何度か観るうちに、掛け替えのないものがある人もいるんじゃないかって、例えば「この映画を作るためだったらなんでもやるし死んでもいい」って思ってる人も居たんだろうなって思って(それくらい精魂込められた作品だった)。そんだけ打ち込めるものがあったら、選手生命失くしていいから出してくれって、それが答えじゃないかって。いや、それしか無いんだ、と言う人もいるんだって思ったんですね。安西先生はきっと、そういう何かを追いかけた経験があって、だから花道を止めなかったんだな、と思いました。
だが14回観てやっぱりけがはダメだよ、と思ってしまう(笑)。ほんとに、お願いします。怪我してると思ったらいったん下げてアイシングしてください。ほんとに。

あと、ゾーンプレス対応。三井流川を走らせて赤木にロングパスの引掛けをやらせてプレスに隙を作るお膳立てしてリョーちんに舞台を作った。それは安西先生が宮城選手を信頼していたから。
お膳立てして舞台を作れば必ず突破する力がある、そして突破すれば宮城選手の自信となる。それを信じての作戦じゃないか。作中2回突破してるんですよね。一回目の成功が二回目のあの「ドリブルこそチビの生きる道なんだよっ」と言うカタルシスにつながっている。それは安西先生の作戦が見事に成功していると言える。
選手の力を信じ、試合の真っ最中であっても成長させるステージを用意するって胆力が、、、さすが白髪鬼と言われた闘将、、、普通できねーよ、勝ちに行きたいもん。選手への信頼、山のごとし。
あ!そうか!「信頼」もこの映画のテーマのひとつなんだ!仲間への信頼、自分自身への信頼、「俺達なら出来る」につながるんだ!

あとこの指示、三井が安西先生の意図を汲んで動いてたのはさすが知性の男って思った。ベンチで指示を受けたとき、三井は「あ」みたいな顔をするんだよね。で、スローイン前に走り出しながらパスを要求する振りをする。流川も同じ動きをするんだけど、このとき三井を見て安西先生の意図を理解したんかな、と言う気がした。赤木先輩もそれに呼応してロングパスの振りをする。そういう流れをいち早く作っていたのがミッチーな気がした。

スカウティング(事前の相手分析)をしない点についても色々悩んでます。あまりに強い山王だから、先に見せちゃうとメンタルどうなるか不安だった、、、と豊玉もと監督との会話で安西先生は言ってたけど、、、そしてアイツラを乗せる施策を考え付いたから前夜にビデオを見せた、、、というのはまぁ、辻褄が合ってるんだけど。でも豊玉だって全く事前分析無しだもんね。あれはどうしてなんだろう。漫画的にそのほうが盛り上がる=ひとつひとつの試合にフレッシュに立会わせたいからなのか?ここはまだ判らない。。。

▼流川と話したことがない
これはリソース読めばわかるのかな。いまんとこまだ判らない(リソース読んじゃうとなんか色々わかっちゃいそうで逆に読めない…)。なぜわざわざそんな不自然な台詞がここで入るのか。なんでだろ。。
今日観てて思ったのは、コート外での会話のことを言っているのかな?さすがにコートの中まで会話が無いのは変だもんな。流川結構コートの中で喋るし。そう言えば確かに流川はコートの外で無駄話をしていないかも。花道は女の子に振られる話で意気投合したけど(笑)。
この映画わりと伏線回収すごいする気がしてるんだけど、このセリフって回収されてる?あるいは何かを回収してる?ちょっとまだよくわからない。

18回目参戦してようやくこれか!と思えたのは、流川が「パスもしない」「会話もしない」選手だということを表現するための伏線ってことかな、と。なるほど。。。でも台詞もうちょっと説明的でも良くない?あれだとあんまりわかりやすく無い気がするけど。みんなこれすぐ判った?18回目まで悩んでた私がアホなのかな?ちょっと自分が心配になってきた。

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