ホテル隔離の日々 ~牛肉麵の試練~
8月23日~25日
隔離期間に関しては、特段面白いことを書けそうにもない。
のちほど述べる、小さな事件を除いては。
台湾ではタピオカがお手軽
毎日、起床→朝ごはん→筋トレ→昼ごはん→ネットフリックス→夜ご飯→風呂→就寝
の繰り返しのようなものだ。
本当に食べる、寝る、部屋の中で運動する、テレビや動画を見るくらいしかやることがないので、隔離中2回ほど(別にお腹が減っていたわけではないが)Uber Eatsを頼んでみた。
日本と比べてドリンクや食べ物の値段が格段に安いので、デリバリーサービスも比較的気軽に利用できる。
タピオカ一杯でも日本だとおそらく配送料込みで1000円近くいってしまいそうなものだが、台湾だとすべて含めてその半額ほどに抑えられる。
ただ問題(?)は、Uber Eatsを頼むとホテルフロントに届けられるため、フロントから確認のための電話がかかってくることだ。
ただでさえ中国語のリスニング力がそう高くないうえに、電話&早口となるとどうしようもない。なにを言っているのかサッパリなので、適当に「OK、對對、是我訂的(わたしが頼んだやつ)」などと答えておく。
たとえ相手が「おまえの部屋の前に言って爆竹をならし、タピオカをぶちまけるぞ」などと言っていたとしても、わたしときたらきっと「OKOK」と答えるだろう。
ただ、前に言ったように、発音だけはおそろしい中国人の先生に鍛えられていたため、そこそこ相手に通じる。というわけで、相手の言っていることはわからないのだが、相手はこっちの言っていることがわかるのはまだしも幸運といったところだ。
ずっと部屋にいるだけなのにタピオカなんて飲んだ日には、罪悪感がすごい。
そこから自分をいじめるかのように、1時間は筋トレが始まる。
隔離ごはんレポ
それから、以前も書いたと思うが、ご飯は本当においしかったし、ほぼかぶることがなかった。メニューを一部紹介すると、以下のような感じ。
朝:・フライドチキン入りのバーガー
・黒糖パンに豚肉や目玉焼きを挟んだもの
・ハムと野菜を挟んだクロワッサン
昼:・牛肉麺
・謎の焼うどん
・バーワン2つと、いなりのような食べ物
夜:・骨付き肉の弁当
・その他、とにかくおいしいお弁当たち
ほんとうに、食べ物は人のメンタルを支えるうえで重要な役割をもっているとしみじみ思った(少なくとも私にとっては)。
これでご飯もいまいち、窓からの眺めも悪し、部屋に一日閉じこもり…などとなったら、1日目で発狂していたかもしれない…。
震撼!牛肉麺事件発生
くだらないことだが、ひとつ事件(?)があった。
2日目の昼に、大量のスープと麺、そして野菜・肉が一緒になったものが運ばれてきた。
わたしはおっちょこちょいなタイプなので、開けにくそうな袋に大量に入ったスープを見た瞬間に非常にいやな予感がしたのだが、警戒していたにもかかわらず事件は起こった…
読者の予想通り、袋をあけるのに失敗し、スープをほとんど床にぶちまけてしまったのである。
バシャバシャー-っとほぼ8割がたスープをぶちまけたあと、殺人現場のような様相になったホテルの床をみて10秒ほどあっけにとられてボケー-っとしていたが、ふと我に返って笑いがとまらなくなっていた。(決して気が狂ったのではない)
はたから見ると(もちろん部屋に1人なのでそんなことはできないのだが)まるでギャグ漫画だ。
ホテルについてまだ2日目なのに赤い汁を一面にぶちまけ、着ているジャージももってきたノートも部屋全体も、牛肉麵のスパイシーな香りがプンプンする。
掃除の人を呼ぼうにも、隔離中は掃除を呼んではいけない決まりになっている。
自分の置かれている状況があまりにもシュールてゲラゲラ笑っていたが、おっと、そんなことしている場合ではない!
いそいでホテルにあったティッシュペーパー(流せないタイプなので、使うのをしぶってまるまる残っていた。)をありったけ使って汁をふき取り、自分の服も選択し、部屋中に香水を振りまいた(スパイシーな香りと甘い香りがまじり、余計気持ち悪いことになった)
…が、ノートだけはどうしようもなかった。現在は隔離も終わり、台南から日記を書いているのだが、今でもノートを開くと、オレンジ色にそまったページとスパイシーな牛肉麺のにおいとともに、あのときの記憶がよみがえる。
あの事件は決して風化させてはいけないと、牛肉麺が言っているのだ。