生殺与奪の権利

とある漫画で一気に有名になったこの言葉だけど
漫画の話ではなく私個人の話です。

1つ目

あの漫画では「他人に握らせるな」と言われているけれど
逆に他人が生殺与奪の権利を握らないと死んでしまう生き物がいます。
それは乳幼児の子供

私は自分が育児に向いていないことを自覚していたので、あまり子供が欲しいとは思わなかったのだけど
やりたいことを一通りやり尽くしたことと、やはり夫と両家の親にできる一番の「恩返し」だと思い
結婚4年目で子供を産みました。

でも、ここからの3年間が本当に(私にとっては)地獄だった。

臨機応変が大の苦手で、ガチガチにマニュアルに固められた職業を選んだ私にとって
言葉も通じず、行動の予測もつかず、でもこっちが油断するとすぐに命を落としてしまう生き物の「生殺与奪の権利を握る」ことは
想像以上のストレスとパニックの日々で
もう思い出したくもないくらいトラウマです。

我が子はとても可愛いけど
生殺与奪の権利はそろそろ本人に委ねたい。

2つ目

去年の夏、私にある病気が発覚して
個人のクリニックから大きな病院に移って手術をしました。

手術の前にサインを求められた同意書には
「手術をしなかった場合」はどうなるか、という欄があったのですが
そこにははっきりと

「死亡する可能性があります」

と書いてありました。

深刻という意味ではありません。この手術をする人には初期の人でもこう書きます。
主治医はそうフォローを入れてはくれたけれど
医者から「死」という文字を見せられた時、まさにこの生殺与奪の権利という言葉が浮かびました。

治療をするのは医師や医療スタッフの方々ですが
標準治療をするかしないか、
QOLをどこまで追求するか、などは
患者自身、つまり私自身が選択します。

幸い今のところとても経過は順調で、見た目には病人とは全くわからない(らしい)のですが
一つだけQOLを優先した結果、治療スケジュールにほんの僅かですが「ズレ」が生じました。

もしかすると、この「ズレ」が私の寿命を左右してしまう可能性はゼロではないのですが
それはもう神様の匙加減というか、誰のせいでもないと思います。

とはいえ、自分の選択一つ一つが生死を左右しかねないという今の状況は
正直なところまあまあしんどいかも。

1つ目の権利は仕方ないとしても
2つ目の権利はたまに誰かにちょっと預かってほしいと思うことがあります。

強欲なのでまだまだ生きますけど

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