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親が夫婦別姓/親子別姓だと「かわいそう?」子どもたちのリアルな声

夫婦同姓を法で義務付けている国は、日本以外にはありません。つまり、家庭の中で複数の姓が存在することは、世界的には「普通のこと」。にもかかわらず「夫婦別姓は親子別姓を生むから問題だ」「子どもがかわいそうだ」「親子別姓の子はいじめられる」と主張する人たちがいます。なぜでしょう?

まさに「親が別姓の子ども当事者」である23歳同い年の男性3人が語り合った記事に、その答えがすべてあります。

「家の中って名字で呼ばないし、正直意識したことがなかった」

「名字が違うだけで、あとは周りの家族と同じように過ごしてます。何でそんな考え方が出てくるのか分からないですね」

「親戚が集まったら、名字の違う人はたくさんいますし…。 『困ることはない。以上』ですね」

……なんだかこの記事以上に伝えることはなさそうですが……。

うちは親子別姓です。しかも親子同姓を長年経験した上で、別姓になることを選びました。実際の親子別姓は「かわいそう」で「いじめられている」のでしょうか?当事者の声をお届けします。

元ツイートはこちら

息子、娘は私と別姓。

「ママと別姓でかわいそうって言われたら? ……なんでか分からないから、『なんで?』と相手に聞く」とのこと。実際、そんなもんです。

かわいそうと決めつける皆さん、なんで?
昨日の娘の話。

「だってママと名字が違うって、いつ気になるの?友だちからは●●ちゃんのママって言われるだけだし、お店の順番待ちでママの名字で呼ばれても、普通にハーイって答えればいいだけじゃん?
そのかわいそうって言った人、いつそう思ったのかな…」

かわいそうと決めつける人、いつそう思ったの?
さらに気づいた模様。

「あー結婚式とか?
…え、でも名字違う家族って結婚式来るよね?じいちゃんばあちゃんとも違うし、いとことも名字違うよ?パパしか呼んじゃダメなの?んなわけないよね。

え、マジいつかわいそうになるの?」

かわいそうと決めつけた人に申し訳ないほど自覚なしw
続いて、母親と別姓になった息子の話。

「母さんと別姓で困ったことは1度もない。家に帰れば母さんは口うるさいし、あーだこーだ言うのは同姓の時も同じ=名字と全然関係ない。年に1回奨学金申請する以外、名字が違うの意識したこともない 」

……ちょっと中盤何言ってんのかわかんないけど(笑)、続きます。
息子曰く

「母さんの再婚でオレは姓を変えないことを選んだけど、それはオレが自分で選んだ。人に言われて決めてないし、選べて良かった。オレのことかわいそうって奴いるなら、そいつの顔見て確かめたい。『オレや家族の名字があんたに関係あんの?どのへんが?』って」

大学の授業で学んだことに続く。

「いま大学でジェンダーの授業あるけど、家制度の影響とか、あと20-30年で完全になくなるだろ。同性婚や夫婦別姓に反対してる人たちって、結局国のことと見せかけて自分なんだよ。『自分が男と結婚したくない』とか『自分が名前変えたくないから女が変えろ』とか。だけど自分と人は違う。人がどうしたいかは、その人の自由だろ」
「将来結婚するとき相手が変えたくないと言ったら、変えるわけない。

オレは家を継ぐ感覚一切ないし、そんな大層な家でもないけど、それでも自分の名前でなくなるのが嫌だったから変えなかった。
変えろと強制するやつの気が知れない。

まあオレが結婚するときは、同姓の強制なんてなくなってるよ」
「親の離再婚」への答えは泣けた。

「家族同じ名字でも離婚前は喧嘩ばっか。離婚して正解だし、母さん再婚して良かった。妹もいてシングルでやってくのは大変だとわかってたし、『あなたたちのために一生独身で頑張りました!』って言われるより、あと20年でも、いいパートナーと一緒で笑ってたほうがいい」
娘が小6の頃、美術で凧を作った。先生が後で教えてくれた。

「何を描く?と私が聞いたら、娘ちゃん『自分の名前』って提案してくれて。『名前は生まれて初めてもらった宝物だから』って。皆が賛成して各々自分の名前をデザインしました」

私が選択的夫婦別姓を望む理由の一つ。彼女がその宝物を守れるように。
離婚した時、再婚した時、子どもたちはいつも私について来てくれた。選択に賛同してくれた。

「でも名前は変えたくない」と言った。

当たり前だ。私も改姓は嫌だった。娘が宝物だと思ってくれたものは、氏名が一揃えで彼らのアイデンティティ。
親の都合で、国の都合で、奪うことは許されないと思った。
私の娘は2文字の名字と、2文字の名前。何カ月も考え、時にはお腹にいる彼女にも相談しながら、夫婦で決めた。音も漢字も、名字に合うように選んだ。

親として人生最初に彼女に渡したプレゼント。

彼女がそれを望むのなら、生涯使い続けてほしい。私のように不本意に国に奪われ、泣くことがないように。
日本中いろんな考えの人がいるだろう。

自分の名字が嫌いで変えたい人。
パートナーと同じ名字になって嬉しい人。
親の再婚で養子縁組をして、同じ名字になれたことで「家族になった」と感じる子もいるかもしれない。

皆その気持ちを大事にしてほしい。尊重したい。
だから、夫婦同姓も夫婦別姓も、それぞれが選べる「選択的夫婦別姓」がいい。

周囲に目を向けてみましょう。

実はすでに、別姓の家族はたくさん存在しています。うちのように離婚する夫婦は全体の1/3。新婚さんの1/4はどちらか再婚という時代ですから。

事実婚、国際結婚、養子縁組、そしてサザエさんのような二世帯同居など、家庭内で複数の姓が存在することは珍しくありません。

初めから親子別姓で育った子どもたちの声も聞いてみましょう。

親が国際結婚のもにかさんの記事

 「私もこれまで父と苗字が違うことについて疑問をもったことはない。私にとっては父と母の苗字が違うことが当たり前なのだ」

親が事実婚の松浦将也さんのインタビュー

「僕は『一緒に暮らしていることが家族だ』と思っていたから、苗字が別であることに関して、抵抗も、違和感もなかったです。」

親が事実婚の新聞記者Hさんのインタビュー

ヨス: ご両親が夫婦別姓をしていて不安に思ったことはありましたか?
Hさん: 全くありませんでした。本当に何の違和感もなくて、これが普通だと思っていました。(親が夫婦別姓だと気付いた時)かなりびっくりしました。これが普通だと思っていましたからね。「え? なんでみんなお母さんとお父さんが同じ名字なの?」って(笑)。

事実婚&兄弟別姓の三隅&大和久さん家族のインタビュー

子どもたちに、戸惑いや不都合はなかったのか。
「たまに聞いてみるんですけど、『いやあ、べつに面倒なことはないなあ』ぐらいの感じで、拍子抜けするぐらい反応が返ってこないんですよね。子どもって自分が育った環境が全てだし、家の中では姓で呼び合うわけじゃありませんからね」

いかがでしたか? 「親子別姓は子が困惑する、かわいそう」という方がいますが、当事者は別姓を「変わっている」とは思わず育つことがわかります。

ちなみに海外暮らす私の姉も国際結婚です。欧米の中でも夫婦別姓が基本の地域で暮らしており、「家族で姓が違うの!?」と驚く人などいません(繰り返しますが、そんな法が現存している国は日本だけです)。夫や子と姓はおろかパスポートの国籍も違います。毎年のように会いますが、甥は「困惑」などしていません。もちろん別姓による社会問題なども起きていません(起きていたら、夫婦同姓のみに戻す国が1つぐらいあっても良さそうです)。

日本では個人情報保護の観点から、クラス名簿を作る学校が減っています。そこに親のフルネームが記載されるケースとなると、さらに稀。お友達の親のフルネームをいつ知るのでしょう? 知ったところで、うちの娘のように「ポストに2つ名前あるんだ」「ああ、うち親が再婚したんだ」「ふーん」程度(笑)。2018年現在、たいして珍しくもない親子別姓が原因でいじめが起こっているなら、その実例を知りたいぐらいです。

「別姓の事情を説明する機会」もほぼありません。うちの場合は転校先で初めて親のサイン書類を提出した時ぐらいです。生命保険の受取人に指定する時などは戸籍謄本が必要ですが、これは同姓でも同じですね。

ヨスさんのブログにあるように、「親(大人)が夫婦別姓に対してネガティブなことを子どもに伝えない限り、子どもが夫婦別姓に対してネガティブな感情を持ちえるハズがない」というのが実態です。

それでも「親子別姓は子どもがいじめられる」と主張する人たちは、何が言いたいのでしょう。

私は「自分の常識と違う子を見つけたら差別するし、いじめるよ」と宣言していることと同義だと考えています。

関連記事:男尊女卑につける薬「選択的夫婦別姓」

最後に私が事務局長として立ち上げた「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」にぜひメンバー登録をお願いします。動かない国会審議。一人ひとりが声を上げることが「動け!国会」という意思表示になります。自治体の議会にA4の紙を提出することでできる意思表示、あなたも始めませんか?


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