見出し画像

【地域イベント開催】未知に出会うっておもしろい!

佐藤大輔研究室20期生の石塚七菜です。

佐藤大輔研究室では、学術を使った実践的な課題の解決に取り組んでいます。活動には2つの柱があり、私たちは、それらを「本ゼミ」と「サブゼミ」と呼んでいます。

「本ゼミ」
 自分自身のやりたいことを見つけ、自分で0から実現に向けて動くプロジェクト。主に、自分の気になる社会課題から、それを解決するための新たなアイデアを考え、実践することが多い。
 個人で活動する。

「サブゼミ」
 企業や団体など”学外”の方々と連携して、問題解決に取り組むプロジェクト。実際に連携先へ提案し、解決行動を起こしていく。
 研究室の学年をまたがったチームで活動する。

これから、私が「本ゼミ」として、研究室で取り組んできた活動を振り返ります!

イベントの実施

私は、2023年4月29日(昭和の日)に「桜満開!謎解きまちの大冒険」という地域イベントを企画しました。

舞台となる地域は、北海道札幌市の創成東地区という場所です。

この地区を中心に活動し、子どもや地域のつながりを支援する取り組みを行っているNPO法人「E-LINK」の方に企画を提案させていただいたところ、E-LINKさんの事業「地域食堂おかって」の一環として開催されることになりました。

なぜ地域イベントを企画しようと考えたのか……
なぜなら、この地域は、「いいところでしょ?…私はよく知らんけど」状態だったからです!

この北海道札幌市の創成東地区の人口について、「北海道新聞デジタル」で次のような統計と推察がなされています。

創成東地区の人口は2000年は6623人だったが、22年は2万143人に増加。14歳以下の子どもの数も481人から1801人と3・7倍の伸びを示し、若い世代が家族で移り住んでいる状況がうかがえる。
人口急増の背景にあるのはマンションの建設ラッシュだ。¹⁾

北海道新聞デジタル

また、E-LINKの方にも、この地域についてのお話を詳しく聞かせていただきました。

これらのことから、この創成東地区は、⑴年齢層が若い核家族の家庭が増加している、⑵移り住みが激しい⑶マンションに住む人が多いことがわかりました。

⑴⑵⑶から、若い世代の人口が増え、新しい地域住民が増えていく一方で、近隣とのかかわりが少なく、コミュニティが限定的で、地域へのなじみが薄い人が増えたことで、地域のお店や元々住んでいる人のことをあまり知らない人が多くなったという現状につながっているのではないかと考えました。

これらのことを踏まえて、「子育て世代の親子」をターゲットとし、地域と親子、親子と親子が交流し、地域について知ることができるきっかけをつくるということを軸に企画を行うことにしました。

では、地域について知るきっかけをどうやってつくるのか?

実際に外に出て、地域のお店に行き、地域の人と話してもらうのが1番でしょう!

楽しくまちをめぐりながら、地域の交流の場をつくれないだろうか…

…というわけで、「桜満開!謎解きまちの大冒険」というイベントが企画されました。

主な内容は、次の通りです。

イベント内容

❶「地域食堂」
冒頭にも触れましたが、このイベントは、E-LINKさんの事業「地域食堂おかって」の一環として行われました。
今回は、スタッフの方々に、外に持ち運べるようにお弁当を作っていただきました。

「謎解き街歩き」
参加者がランダムに分かれたチームで、謎解きブックに描かれた謎を解きながら、地域にゆかりのあるお店・スポットをめぐる街歩き。
自分のまちをじっくりと見て、感じながら歩き、そこで新たに出会う地域のお店や人と交流することを大切にしました。

「お花見」
ちょうど桜の季節ということで、屋外での食事・遊びを兼ねたお花見。
創成東地区に近くて桜がある大通公園で街並みを眺めながら、お弁当を食べたり、遊具で遊んだりしました。

上記の3つの要素をかけ合わせて、1つのイベントにし、参加者が地域の新たな人や景色と出会い、自分の住むまちを知るきっかけにできるように企画・運営を行いました。

開催には、地域のお店やボランティア団体など、様々な方にご協力いただきました。

お弁当のおかずの卵焼きとタコさんウインナー
(とてもおいしかったです!)
地域のお店の方と一緒に謎を解いたようです!
(たくさん交流できたかな?)

イベント内容の詳細や準備期間については、書き出すと書きたいことがたくさんありすぎて収まりきらなくなってしまうので、かなり省いて主な内容だけをぎゅっとまとめました。

もっとイベントの流れがイメージしやすいように、当日のスケジュールを表にすると、以下のようになっています。

イベント当日スケジュール

イベントの結果

結果として、このイベントには24人の親子に参加してもらうことができました。各チーム大体4人の計6チームに分かれて、時間内に最大5個の謎を解き、それぞれの謎が示すお店・スポットを回りました。

謎解き街歩き中の一コマ
(謎を解くともらえる地図を頼りに、地域のお店へ向かっています!)

そして、イベント終了後、①参加者(うち22人)、②協力してくださったボランティアスタッフ(うち10人)の方々へアンケートを実施しました。

これから、それぞれのアンケート結果をまとめます。

①参加者アンケート

以下のようなアンケートを実施しました。

1⃣グループで何個の謎が解けたか
1・2・3・4・5(個)
2⃣謎解きは楽しかったか
(つまらない)1・2・3・4・5(とても楽しい)
3⃣地域のお店や施設について知れたか
(知れなかった)1・2・3・4・5(よく知れた)
4⃣グループの子とより仲良くなったか
(仲良くならなかった)1・2・3・4・5(とても仲良くなった)

5段階で最低評価を1、最高評価を5としたとき、次の結果が得られました。

参加者アンケート結果

「グループで何個の謎が解けたか」という質問から、4つのグループが5か所、1つのグループが4か所、1つのグループが2か所の地域のお店・スポットを実際にめぐることができたことがわかります。

さらに、その他の3つの項目について、すべてで5の評価が多いほか、「地域のお店や施設について知れたか」という質問に対して、平均評価が4.3という結果も得ることができました。

また、以下のような声も感想として寄せられました。

‣なぞときはむずかしくってわからなかったけど、先にといたグループの子供たちがわからない人と一緒にかんがえてあげたり、道を教えてあげたりしていて、ほほえましかった。

‣いつもは行かない道のお店を知ることができてとても良かったです。

‣普段、素通りする場所も、きょろきょろしながらお店を見て話しながら歩くと、新しい発見があって楽しかった。

‣普段気づかなった地域のお店をたくさん見つけられて楽しかったです。ぜひ行ってみようと思いました!!

謎解き街歩きの道中は、歩く量が多かったため、つかれたという声もあったものの、
このアンケートから、実際にいくつかの地域のお店やスポットを巡り、概ね楽しく、参加者同士で交流しながら、地域のことを新たに知ることができたという結果が得られました。

②スタッフアンケート

以下のようなアンケートを実施しました。

1⃣謎解き街歩き中に参加者と地域との距離は縮まっていましたか?(地域のお店を新たに知ったり、店員さんと交流したり、魅力に気づいたりなどしていましたか?)
2⃣謎解き街歩き中に参加者同士の仲はより深まっていましたか?

4段階で評価していただき、次のグラフの結果が得られました。

謎解き街歩き中に参加者と地域との距離は縮まっていましたか?(地域のお店を新たに知ったり、店員さんと交流したり、魅力に気づいたりなどしていましたか?)
謎解き街歩き中参加者同士の仲はより深まっていましたか?

このアンケートグラフから、地域と参加者の交流がある程度行われ、参加者同士の交流がしっかりと行われていたことがわかりました。

また、スタッフの方から、以下のような声も寄せられました。

  • ポジティブな意見

‣「こんなとこ知らなかった!」「今度行ってみよう!」などこの企画が終わったあともお店の方と交流をしてくれそうな声を聞いた。

‣謎解きが進むにつれて参加者が少しずつ仲良くなったのか協力して解く様子が見られました。

‣参加者から初めて会う人とたくさん話せて楽しかったという声やお弁当がおいしかったという声が多く聞こえてきた。

  • ネガティブな意見

‣歩きつかれちゃっている様子が少しだけ見えた。

‣小さい子がいたんですが謎が難しかったみたいで少し退屈そうでした。

‣問題が簡単という声が少しありました…

参加者に楽しんでもらうイベントとして、歩く距離の長さや謎の難易度の調整が課題として挙げられるものの、
参加者が地域と交流し、地域のことを知ることができたという結果が得られました。

イベントを経て

まずは、上記の結果から、このイベントは、「地域と親子、親子と親子が交流し、地域について知ることができるきっかけとなる」という当初の目標を達成することができたと考えます。

なにより、「今度、イベントで知ったお店に行ってみよう」という声が上がったことは、まさに、このイベントが地域について知るきっかけとなって、今後の地域交流につながったことを表しているでしょう。

この北海道札幌市創成東地区は、今後も人が移り変わり続けることが予想されます。
そのような時代の中でも、人々が地域について関心を持ち、地域交流が行われることで、変わらずに残り続けるものをつくっていくことが、この活動の最終的なゴールなのかもしれないと感じました。

このイベントを企画するプロジェクトは、参加者にとって地域の新たなことを知るきっかけになりましたが、私にとっても「未知に出会うおもしろさ」がある活動でした。
知らなかったことを知り、さらなる興味を持って実行することで、自分の成長を一つずつ感じる達成感があったからこそ、本プロジェクトを「やりたい」と感じ、取り組むことができました。

謎解きブックを手作りで作成
初挑戦の知らないことだらけでした…!

最後に

この活動は、E-LINKの方々や研究室の佐藤教授をはじめとして、たくさんの方々にご協力いただきながら行いました。また、トランスコスモス財団の取り組みへの支援を受けたことで、活動し続けることができました。

当たり前かもしれませんが、「一人ではできないことをする」ということは、つまり、「誰かに助けてもらう」ということです。
巡り巡って今があるのは、多くの方の支えを得ていたからなのだということを、改めて、当たり前だと思わずに感謝したいと思いました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!


《参考》
1)報道センター 井上雄一、伊藤駿.“<ディープに歩こう 創成イースト>①20年で人口3倍 札幌「第3のエリア」 マンション建設 相次ぐ再開発”.北海道新聞デジタル.(2023年)https://www.hokkaido-np.co.jp/article/844756/(参照:2024年12月26日)

いいなと思ったら応援しよう!