#60 「這ってでもトイレに行く」
買い物中に携帯がなる。
幼馴染みのY子ちゃんから、幼馴染み3人でのランチ&女子会のお誘い。
年に1回くらいの頻度で、3人で旅行に行ったり会っておしゃべりしたりしている。
Y子ちゃんとは、親同士が同じ会社で転勤族のため、転校してきた彼女と一緒に遊んだのは、おそらく1年もなかったと思う。
ほどなく、私も小6になる時に転校し、彼女も中学にあがる時に、またまた転校したらしい。
仲の良かったもう一人の幼馴染みを通して、なんとなく繋がっていて、お互いの結婚式にも出席し、転々と住所を変えながら(結婚後も私は転勤族)3人が同じ県の近い地域に永住するという奇跡が起きた。
スーパーで、亡くなった彼女の義母の話になる。
晩年、家でお世話していたのを昨年知ったので、大変だったね~と労うと、いやいや、そんなことなくて、あの覚悟は見習わなくちゃと思っているとのこと。
オムツを変えたのは一度だけで、「這ってでもトイレに行く」と宣言し、その言葉通り、這ってトイレに行っていたらしい。
迷惑をかけたくないという矜持であり、息子の嫁にオムツを変えてもらうことに抵抗もあったかもしれない。
なんだか聞いているうちに、涙が出そうになった。
スーパーで携帯片手に泣いていたら、あんまりなので(私だったら気の毒になって見て見ぬふりする)、グッと我慢した。
手を出さずに見ている嫁も辛いけれど、誰が見ているわけでもないから、私も這ってでもトイレに行きたい!と思わぬ宣言をして電話を切った。
ホントに、その覚悟は見習わなくちゃ。