税理士になるまで#6試験当日
はじめに
この記事は、大学3年生の夏に書いている。
初の税理士試験を終えた1週間後の水曜日だ。
今回は、試験前日~当日の事について、記憶が鮮明なうちに残しておこうと思う。
試験のこと
試験前日~チェックアウト
池袋のアパホテルから武蔵大学まで約30分だったので、7時半くらいにチェックアウトし、1時間の余裕をもって試験会場に着こうと考えていた。
寝坊をすると、1年間の努力が水の泡になるので、モーニングコールとiPhoneのアラーム、ホテルの目覚ましの三刀流で対策した。
しかし、自宅のマットレスとは比較にならない程に寝心地がよく、熟睡できたおかげか、予定より1時間も早く起きてしまった。
富田先生は「試験前日は眠れないと思います。しかしそれは、これまで皆さんが必死に勉強してきた証です!」と仰っていた。
ぐっすりと寝てしまった私は、勉強が足りなかったのかもしれない…
6時にペヤングを食べ、6時半に3つのアラームが鳴った。
ホテルを出る7時半まで、特に勉強はしなかった。
試験会場へ
ホテルを出てからは、King Gnuの『飛行艇』をリピート再生し、精神統一を図った。
西武池袋線を利用して試験会場に行くのだが、どの電車に乗れば良いのか全く分からなかった。
遅刻して試験に参加できない自分を想像すると、ひどく緊張した。
しかし、近くでスマホをいじっていた人に尋ね、無事試験会場への電車に乗ることができた。
試験会場に到着したのは、8時15分ごろだった。
会場でもらった試験案内の中に、自分が試験を受ける部屋番号が記載されていることに気づかず、時間を浪費してしまった
試験会場に入ると、若い人は思ったより少なく、中年の方が多かった。
1限目の簿記論が開始するまで何をしていたのかというと、まだ『飛行艇』を聞いていた。
正直簿記論は、ここでいくら見直しをしたところで、実力は大して変わらなかったと思う。
簿記論開始(9:00~11:00)
簿記論が始まった。
10分程かけて、ざっと素読みを行った。
・第1問の退職給付はかなり難しそうだった。
・第2問の固定資産は、今の実力で対応できるものの、時間がかかりそうだった。
・第2問の自己新株予約権は、答練の見直しで力を入れていなかったのもあり、自信がなかった。
・第3問の総合問題は、得意分野であるのに加え、大して難易度も高くなさそうだった。
第3問で最低限の点数を稼ぎ、あとは上から順番に回答してもよさそうと判断し、問題に挑んだ。
第3問はいつもと同じように終え、手ごたえを感じた。
第1問は、習った記憶のない問題が多く出ていたので、分かるところだけを書いて、すぐ第2問に移った。
第2問の固定資産は、ごく普通の問題だと感じたものの、キレの悪い数字が多かったため、合っているか不安になった。
自己新株予約権は、やっぱり覚えていなかったものの、問題のボリュームから、できなくても問題なさそうだった。
残った時間で第1問にもどり、仕訳を記号で答える部分についてはすべて書き、残りの計算については、勉強してきた知識をフルに生かして、思いつくところは全て書いた。
試験終了。
思い返してみると、まったく緊張しなかった。
King Gnuのおかげかも…?
休憩(12:00~13:30)
昼は、大学の外でウィダーインゼリーを飲んだ。
Twitterを観てみると、第1問の退職給付についてのクレームが多く投稿されていた。
12時40分くらいになると、財表の試験会場に入れた。
簿記論と同様、若い人はあまりおらず、中年の受験生が多い印象だった。
多くの受験生は、各予備校の理論集を必死に回していた。
私は何をしていたかというと、この時も『飛行艇』を聴いていた。
今になって、「いや理論回せよ…」って思う。
試験開始前に、計算問題の文章に訂正がある旨のプリントが配られた。
ここで、販管費のうち決まった割合をサービス原価に振替えるという問題であることは分かった。
財務諸表論開始(13:30~15:30)
財務諸表論が始まった。
私の予備校は計算重視、理論は最低限のスタイルなので、真っ先に第3問を開いた。
これまでと同様、80~90分で計算を終え、残りの40~30分で理論に移ろうと決めた。
計算を解いてみて、最初の方はこれまでの過去問と同じくらいの難しさだと感じた。
しかし、1時間を超えたところで「あれ、これボリューム多すぎない…?」と感じた。
問題の終盤に出てきた資産除去債務と退職給付は、文章を読んでも意味が分からなかった。
皆もきっとできないだろうと、飛ばして次の問題に移った。
一通り計算を終え、集計前にタイマーを見ると、残り時間が25分だった。
この時、「やべぇ」と、少し焦った。
電卓のペースを上げ、字も少し崩してBS・PL・販管費の内訳・税効果の注記を書いた。
集計を終えた頃には、試験終了まで残り15分となっていた。
たった15分で、50点ある理論のうち、20点くらいを稼がなければならないと考えると、急に心臓がバクバクとなった。
うちの予備校はあまり理論に力を入れていないのも相まって、余計に不合格を意識するようになった。
点数の稼ぎどころである記号問題に目を通してみると、3分の1くらいはわからなかった。
その部分については、消去法で選択肢を狭め、あとは勘で答えた。
用語の空欄補充については。文脈からフィーリングで「信頼」と答えた。
第2問の社債の理論を見て、「出来るわけがない」と思った。
しかし、問題文に16点の配点がある旨が書かれており、1分くらい解くか迷ったが、捨てることにした。
論述問題については、残り短い時間で考える余裕はなく、分かることを最低限書くことにした。
棚卸資産の取得原価主義は、小泉構文のような文章を書いた。
のれんを償却する理由については、「非償却にする場合、自己創設のれんの実質的な資産計上につながる恐れがある」旨を書いた。
負ののれんを利益計上する理由については、「負債の定義を満たさず、現実には異常かつ発生の可能性が低いものであるから、発生時に特別利益として処理する方法が採用されている。」旨を書いた。
その後、タイマーを確認すると、残り時間が1分30秒を切っていた。
この時間を使って、FSの金額等を確認する時間にあてた。
残り15秒ほどになって、BSの「その他有価証券評価差額金」の金額を7割でなく、3割で計算していたこと、PLの営業外費用に「社債利息」という、存在しない勘定科目を書いていたことに気づいた。
修正テープで消して、金額を確認して書いていたら、どちらも絶対に間に合わない。
私はこの時、「終わった…」と感じた。
試験終了。
これまでの過去問を解いてみて、まさかこんなに計算のボリュームが多い回もあるなんて…と思った。
帰宅
試験会場を出ると、予備校の職員がカロリーメイト等を配っていた。
財表で手ごたえを感じず、落ち込んでいた当時の私に食欲はなく、無視して駅に向かった。
電車の中ではずっと項垂れていた。
帰宅後、ネットスクールが解答速報を出していた。
2科目ともまだ、予想配点はなく、答えのみの公開だった。
簿記論の第1問は、25問中14問と、思ったより正答できていた。
第2問は、固定資産については25問中、22問正解できていた。
自己新株予約権は全滅していた。
簿記論は第3問で、しょうもないミスをしていたことに気づいた。
現金では、配当金領収証の資料を読み飛ばし、2か所ミスした。
その他有価証券については、関連会社株式を親会社株式と勘違いし、時価評価した結果、2か所ミスした。
おそらく、このミスがなければ、6点は多く取れていただろう。
2科目の中で一番手ごたえを感じていた設問なだけあり、相当ショックだった。
また、財表の理論については、記号問題の答えのみ公開されていた。
12か所あるうちの8か所は正解できていた。
論述の答えについてはまだ公開されていなかったものの、1か所関係のない事を書いていたのを思い出した。
このおかげで、もう一つの問題も別の回答欄に書いてしまっていることが確定し、一気に不合格への距離が縮まった。
恐らく財表は終わったな…と感じた。
おわりに
試験当日は予想配点も不明で、ハッキリとしないものの、財表はおそらくダメだろうな…と感じた。
財表は計算勝負になりつつあるといっても、これは流石に多すぎでは…?
前回の財表は簡単だと言われているので、これに試験委員がキレて本気でも出したのだろうか…
詳細は自己採点の回で書こうと思う。