税理士になるまで#1きっかけ
この記事は、大学3年生の夏に書いている。
初の税理士試験を終えた週の終わりくらいだ。
文章が理解しづらい点は、温かい目で見ていただけると嬉しい。
今回は自分が税理士を目指すきっかけとなった出来事について、覚えているうちに残しておこうと思う。
商業科の高校を卒業後、私は駒澤大学に進学した。
入学当初はバイトにサークル、ゼミ活動に加えて恋愛といった、華のキャンパスライフを送る自分を想像していた。特に音楽をやっていたのもあって、誰かとバンドを組むことに強い憧れを抱いていた。
しかし、現実は違った。
念願の軽音サークルに仮入部し、自分が自己紹介をする番となった。
ウケ狙い等は一つも入れず、無難に学部学科、名前を話しただけなのに、何故かクスクスと笑いが起きた。
私はこの時、皆に気に入って貰えたと勘違いしていた。
しかし、声を掛けても誰一人としてバンドを組んでくれなかった。
後になって、周りは私の宮崎訛りに笑っていたことを知った。
私は仮入部後、1週間も経たずに軽音サークルを辞めた。
そして、二度と宮崎訛りを出さないと決めた。
1年の前期はバイトもしなかったので、講義を終えたら帰宅してベッドに転がり、スマホやパソコンばかりの、まるでフリーターのような毎日を送っていた。
たまに、「自分に東京は向いていないのではないか」と不安になり、地元の企業を沢山調べ、気づいたら夜になっている日もあった。
また、当時はPrime Videoでアニメや映画を観ることにもハマっていた。
そんな中、『SPY×FAMILY』というアニメに出会った。
そのアニメにはヨル・ブライアというヒロインが登場した。
非常に綺麗な女性で、表向きは公務員、本職は殺し屋をやっているキャラクターだ。
彼女が役所で働く様子を見て、地元の公務員として生活するのもありなのではないかと思うようになった。
そこから、私は資格試験に興味を持った。
公務員試験の対策をしている予備校について調べたところ、駒澤は資格の大原と提携しており、定価より安い価格で講座を申し込めることを知った。
また講座にも種類があり、一般教養のみで受験できる区分を対象としたコースのみならず、政令指定都市や県庁・国家一般職といった、より難易度の高い区分まで対応したコースもあることを知った。
私は当初、大原で後者の講座を申し込み、新宿校に通うつもりだった。
しかし、受講料のみならず、通学講座を利用するには往復の交通費を用意しなければならない事に気づいた。
家は大学と同じ駅にあるので、通学定期が使えず、新宿まで全て自腹となる。
最も短い時間・値段の湘南新宿ラインを利用しても、
片道350円×2×講座約320回=224,000円となる。大金だ。
今考えてみると、新宿でバイトすればよかったのにと思う。
しかし、バイトをしていなかった当時の自分にそんな考えは無かった。
そのため、家から近く、受講料の安い予備校を探すことにした。
すると、自宅から電車で約10分の渋谷にLECという予備校があることを知った。
交通費は半額で済むのに加え、割引の利く大原より安い値段で講義を展開しており、金のない私は一瞬にしてLECのファンになった。
LECで受講すると決め、他の公務員の職業について調べていたところ、国税専門官という仕事を知った。
この試験は会計科目があり、簿記の知識がある私にとってアドバンテージとなる。また比較的倍率も低く、勤続年数によって税理士試験の科目免除が可能となるそうだ。
大学に入学してから忘れていたのだが、小さい頃から経営者になるのが夢だった。税理士になれば、独立開業して夢を実現することができる。
「大学2年生から講座申し込んで、勉強始めよう…」
しかし、年末の夕食中にふと、こう思った。
「残り3年あるのなら、全部使って何か資格を取り、それで開業したほうが早いのではないか?」
そこで、私は士業といわれる資格について調べた。
殆どの士業には独占業務があり、資格を取ればその仕事で開業できるそうだ。
長期的な勉強の経験がない私は、士業の中で勉強時間が最も短そうな行政書士を志望した。そして使途が定まらず貯まっていた、1年後期のバイト代を使って、2月にLEC渋谷校で申し込みを行った。
最初の入門講座のようなものを終えたころ、興味本位で行政書士として開業している人がどれくらい成功しているのかを調べた。
すると、「行政書士は、開業後3年以内に9割が廃業する」といったことが書かれた記事を見つけた。(現在はこの情報が誤りである事を知っている。)
その記事のタイトル見て、たくさん勉強した後にほぼ廃業してしまうなら、この資格を勉強する意味はあるのだろうかと思ってしまった。そして、より難易度の高い資格の取得を考えることにした。
まず、弁護士・司法書士・不動産鑑定士は論外。
弁理士は理系の知識が問われるそうなので除外。
社労士も行政書士と同じような記事を見つけたので除外。
中小企業診断士には独占業務がないので除外。
土地家屋調査士は向いてなさそうだったので除外。
となると、残るのは税理士と公認会計士。
どちらも試験科目に簿記・会計の分野があるため、商業科出身の私にとっては有利なのではないかと思った。
・会計士試験は短距離走で、税理士試験はフルマラソン。
・会計士は高収入サラリーマン向き、税理士は独立開業向き。
・会計士は三振する可能性があるが、税理士の科目合格は生涯有効。
といった情報が出てきた。
試験勉強をすぐにでも終わらせたい。しかし、まともに勉強した経験のない私が一気に詰め込みすぎると、パンクしてしまうのではなかろうか。
仮に三振してしまったとして、立ち直ることはできるだろうか…。
初めから開業するつもりなら、税理士の勉強をすべきでは…?
そう考えた私は、税理士試験に興味を持った。
税理士試験の大手予備校といえば、大原とTACがある。
しかし、どちらも受講料が高い。
また、既に行政書士の講座を申し込んでしまったので、その受講料を少しでも取り返すためにはLECで乗り換えるしかない…
税理士試験は、殆どの人が会計2科目を最初に選ぶそうなので、LECの「簿財横断講座」を担当する富田茂徳先生のガイダンス講義をYouTubeで視聴することにした。
・上位10%を争う競争試験であること
・会計2科目の親和性が高いこと
・税理士はAIに取って代わられないこと
ざっくりとこんなことを仰っていた。並大抵の努力では受からない試験なのだなと感じ、少し申し込みを躊躇してしまった。しかし、富田先生は最後にこんな言葉をくださった。
「いいですか?弁護士といった資格は生まれながらの素養的な部分も問われるので、一概に努力をすればどうにかなるとは言い切れません。しかし、断言できることがあります。難関といわれるものの中でも、税理士は努力が報われる最高峰の資格です!」
この言葉を聞いた瞬間、私は「富田先生となら最後まで走り切れる!」と直感した。
気が付いたら、LEC渋谷校の受付で、行政書士試験から簿財横断講座への乗り換え申し込みを行っていた。
結果として、行政書士受講料のうち約100,000円は帰ってこなかった。
しかし、この記事を書いている8月11日の時点で言えることがある。
この選択は間違っていないかった。
富田先生に出会えて、簿記は面白いものだと気づくことができて、本当に良かった。
私は大学2年生の5月に、簿記3~2級程度の復習を行い、6月から本格的に税理士試験の学習を開始した。
不合格時に言い訳にしそうなアルバイトを辞め、同じ理由でゼミも最後まで応募しなかった。
2年生の初詣で試験合格と一緒に祈願した、彼女も未だいない。
私がこの資格の勉強をしている事は、2人の友人を除いて誰も知らない。