ニッポン放送の番組に電話で出演することになった話(後編)
(前編はこちらからどうぞ↓)
(前編のつづき)
突然電話が鳴った。
「もしもし、なむさんでしょうか?これから放送に繋ぎます。」
(なむさんって呼ばれた。)
こんな緊急事態に最初に頭に浮かんだのは、本当に本当にどうでも良いことだった。
この期に及んで何かに抗いたい気持ちになって
「え?!え?!何を聞かれるんでしょうか?!?!?!」とバカ丸出しの質問をしてしまった。
「送っていただいたメールについてですね」と分かり切った答え。うん、知ってる。
ラジオが流れている車のステレオを切るように言われた。
「分からないことは分からないと答えて頂いて結構ですので」
「ではお願いします」
スマホからスタジオの音声が聞こえてくる。
驚いたことに、すでにメールの半分を読み終えた状態にポンと放り出された。突然の表舞台。
まってまってまって心の準備が…!!!!!
その後の記憶がほとんどない。
緊張しているのかしていないのか感知できないくらい緊張した。
小生がこれまで経験した「緊張」をはるかに超える別の概念だった。
だけど小生が答えやすいように、どう転んでもケガをしないように、しょうちゃんとVAJAさんが気を回してくれて不思議な安心感があったことだけは覚えてる。
それから今思うと、ああして突然表舞台に放り出してもらえて本当に良かったと思う。少しでも待機する時間があったら緊張のあまりスマホを放り投げて、奇声を上げて逃走していたに違いない。
一日に二度も警察のご厄介になるところだった。
Sちゃんが、ちゃんとキャッチボール出来てたよと教えてくれた。
小生の性格上、怒涛の一人反省会が始まりそうなところをTwitterで5点フレンズがちやほやしてくれたおかげで余計なことを考える暇がなかった。
この真っ暗な駐車場と、ニッポン放送のスタジオと、日本中の5点フレンズが一瞬で繋がって、その反応がまたこの真っ暗な駐車場の小生のスマホに返ってくることが頭では分かるのだけど、うまく理解ができない。
身体が異常に熱く、ふらふらと家に帰って鏡を見ると頬が真っ赤だった。
ごはんもあまり食べられなかった。
いつもは布団に入った瞬間失神したように眠る小生だけどその日は興奮してなかなか寝付けない。
翌日は酷い睡眠不足なのに、神経が昂って普段より活発に動けた。家事がはかどって仕方がない。
「えらいことが起こった…えらいことが起こった…」と繰り返し独り言を言ってはふふふふふふふと何度も低い声で笑った。
出勤するために駐車場に向かうと、小生の車がありえない角度で停まっていて昨夜の心の乱れを表していた。
自分の声を聞くのが恐ろしすぎて再生する決心がついたのはそれから3日後。その瞬間は、無意識に両手で顔を覆う乙女のポーズになっていた。
「自分の声を録音したものを聞くと違う声に聞こえる」はよく聞くけれど、それとは別次元のよそゆき声に「これ誰」というのが一番の感想。やっぱり上手に話せていなかったけど、もうそんなことはどうでも良い。
もっと面白いことを上手にしゃべれる器用な人間に生まれたかった。放送の翌日にはSNSにケロッと別のお出掛けの投稿なんかしたりして「あんな放送くらい大したことではありません」という雰囲気を醸し出せる器の大きな人に憧れた。無理してそんな風に振舞ったこともある。
だけど現実は、こんなに右往左往して、数日経っても動揺を引きずり、1週間も経とうというのにこうして長文まで書く始末。
数十年後「あのおばあちゃん、またあの話してる」って言われるかも。
それでも良いと5点ラジオが教えてくれた。
5点なのに10点のふりをするから痛々しいことになるということを今の小生は知っている。
初回放送前夜に、しょうちゃんがこんな呟きを投稿をした。
これは「ファンを喜ばせるためのアイドルの投稿」でもなんでもなくて、あの2人は本気で5点フレンズと思い出を作りに来てる。
今回のことで痛感した。
今後「BAR GOTEN」の勢いはもっと加速していくと思う。
どこに着地するのか見当もつかない。
参加して一緒に楽しむのも良いし、少し離れたところで楽しむのもそれはそれで素敵。
もし何らかの形で参加することになって、今回の小生のようにオロオロする5点フレンズがいたら声を大にして伝えたい。
どんなにみっともないことになっても、しょうちゃんとVAJAさんがうまくカバーしてくれるから安心して欲しい。
「BAR GOTEN」の懐は想像以上に深い。
何より、暖かく見守ってくれる5点フレンズがいるから絶対に大丈夫。
今回の一件で小生は、大げさだけどほんの少しだけ人生が変わったと思う。
この先何らかの選択を迫られたとき「あの電話生出演比べたらこれくらい…」と、勇気が必要な方に飛び込めるような気がしてる。
5点ラジオに出会えて本当によかった。
(終)
(その日の放送はこちらからお聴き頂けます↓)