フロントをやめさせる
<覚えておいてほしい登場人物>
K氏…私のマンションの旧住人で区分所有者。居住中はマンションのガーディアン(守護者)気取り。実際はすぐ怒鳴る・キレる・自分以外の区分所有者は自分より下の立場と思っている、モラハラ気質で“ダメな方の”昭和型ジジイ。
I氏…2016年度のマンション管理組合理事会の理事長。変節漢。
<覚えておかなくていいけど出てきた/出てくる登場人物>
T氏…K氏と因縁の仲で、給水・給湯管更新工事をめぐり訴訟を起こし、敗ける。もうほぼ出てきません。
M氏、N氏…2016年度、I氏とともに管理組合理事会の理事を務めるメンバー。どちらもこの時点で在住5年以内のニューカマー。
S氏、O氏…K氏によって指名された、わたしと同じ大規模改修委員のメンバー。工事完了までわたしとともに役を全うしてくれた、冷静で辛抱強くて、勇気のある区分所有者かつ居住者の方々。
*
フロントが電話でわたしに大規模修繕委員長を退くよう言ってから1か月。K氏がおそらく怒鳴り込んでくると思っていたのに、何も起こりませんでした。
構えていたのに、拍子抜けな気分。
そして翌月の2016年10月。定例の理事会と営繕委員会(修繕委員会のことだと思うけれど、記録のママ)が開催されました。
このとき、例のフロントとも1か月ぶりに顔を合わせました。
フロントが何ごともなかったかのようにその日の議題に入ろうとしたので、私はザクッと遮りました。
「ちょっと待ってください。はじめる前に皆さんに言いたいことがあります」
わたしの鋭い口調にフロントもぎくりとしたことでしょう。
「先月、わたしが修繕委員長になるといった集まりの翌日、この人から電話がありました。そして修繕委員長を降りるよう言われました」
理事長I氏をはじめとした出席者たちは色めき立ちました。
わたしはおそらくそれがK氏の差し金であること、それをフロントに言わせたのだろうと推測している、ということをメンバーの前で話しました。
フロントは「そのとおりです」とは言わなかったものの、結局それが事実であることを認めました。
ひとときフロントを責めたり「K氏は出て行ってもやっぱり横槍を入れてくるつもりだ」とか、「いやあの人はあれはあれで正義なところもある」といった話が、ガヤガヤと続きました。
「とにかく、真行さんに謝って」
理事会のI氏とM氏、修繕委員メンバーのS氏やO氏も口々に言ってくれて、フロントはわたしに謝罪しました。
心の中では顔を踏んづけてやりたいくらいでしたが、理事会や修繕委員会のメンバーの前で謝罪したので、許さないけれど流すことにしました。
ただこのことで、K氏が自分が持っていると思い込んでいる、このマンションに及ぼせる影響力を手放すつもりは全然ないんだ、ということだけはみんなの心に刻まれました。
このフロントはこんなことを起こしたにもかかわらず、理事会や修繕委員会の会議で話し合ったことをK氏に伝えることをやめませんでした。恐らくK氏の恫喝めいた要請があったのではないでしょうか。
今回のことをきっかけにして、理事会や修繕委員会のメンバーも徐々に彼に不信感を抱くようになりました。
そしてわたしたちは、ほどなくしてフロント交代を管理会社に依頼することになるのでした。
そして何が起こったのかー。
K氏はこの辺りから、半年ほど沈黙することになります。