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SGA低身長症の障害と治療と将来と
あまり広く知られていないように思うのですが、
「SGA(Small for Gestational Age)性低身長症」という診断名があり、うちの娘はそれに該当しています。
定義的には、『妊娠期間に対して体重や身長が標準よりも小さい状態で生まれた子どもに見られる低身長の状態』とされていて、専門的なデータで評価すると、妊娠週数に対する出生体重や身長が10パーセンタイル未満の場合の場合に診断されるというものです。
SGA低身長症についてもっと知りたい方へ
うちの娘は、34週で1390g、つまり妊娠28週から30週程度の体重で出生し、その後、胎便を排出したら1200gまで小さくなり、NICUで早産児用の栄養価強化ミルクと点滴で成長を見守るしかありませんでした。
ミルクから離乳食、幼児食へと変化するうち、それなりに伸長は伸びていきますが、他の子どもたちも成長していきますので、ずっと標準よりも小さい赤ちゃん、小さい子、という状態でした。
下図は子どもの年齢に応じた標準伸長と標準偏差の一覧です。
「標準偏差/SD」とは、どれだけ平均からばらついたところにいるかの程度を示す指標で、-2SDは全体で2.3%以下に相当するようです。具体的には、同じ年齢・月齢の子どもを100人集めて伸長順に並んでもらったときに、概ね1~3番目になる子です。下図の-2SDにある数値は、その年齢ごとの低身長児の伸長を示していることになります。
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うちの娘は、-2SDよりも小さい値で推移し、時には-2.5SDと言われたこともありました。ぶっちぎりのちびっこですね。
医師から言われたのは、
<食事について>
「たくさん食べたからといって、背は急に伸びるものではない」
「これを食べたから、もしくはこのサプリを使ったから背が伸びる、ということはない」
「普通に食べ、普通に体を動かしているので十分」
<身長の伸びと治療について>
「3歳時点で、成長ホルモンを使うべきかどうかを判断する」
「低身長の子であっても、成長の終わりは他の子どもと同じ時期に来る」
「3歳時点で成長ホルモンを使わないとすると、-2SDのまま成長しかないので、将来の最終身長は142㎝程度でしょう」
「成長ホルモンを使うと伸び率が良くなり2~3年で標準伸長に近づける可能性がある」
「成長ホルモンは骨端線が伸びている限り有効で、中学生くらいまで使える」
「成長ホルモンを使っても両親が小さめだとあまり伸びない可能性がある」
みたいなことでした。
成長ホルモンの注射を毎日毎日
とても小さな娘は、3歳3か月から成長ホルモン剤のお世話になっています。
成長ホルモン剤は、飲み薬にすると胃で分解されてホルモンとして有効な働きができないということで、注射のみとなっているために、3歳から毎日母が娘のお尻に針を刺してきました。痩せている娘の皮下脂肪が一番多いのがお尻だったので、振り返るともう6年間お尻を見続けています。
幼児のときは、怖がり逃げてしまうので、夜に寝かしつけた後、母はむっくりと起きてお尻に注射をしていました。注射した瞬間はギャー!と起きるのですが、すぐ寝入ってしまうので、あまり記憶には残っていないようでした。うつぶせ寝は良くないとかいうけれど、できればうつ伏せで寝てほしいといつも願っておりました。
年長くらいになると、さすがに寝ている娘をひっくり返してパンツをずらすのが大変になり、娘と相談することにしました。
自分の身体が小さいこと、注射で大きくなっていること、やめてもいいがやめると小さい大人になること、注射をするならいつがいいか、どこがいいか、娘と事細かに話をしました。
寝る前にお着換えをし、最後のトイレのときにする、というタイミングが注射の時間、という決まりとなり、9歳の今では「トイレに行くよ~!チックンねー。」と声をかけ、母にチックン注射を要求するまでになりました。
お尻の注射部位も指定してもらい、今日は左、今日も左、と言ったように指示された場所にチックンしています。
注射の費用はなかなかなものですが、診察、検査、注射の薬剤すべてが保険適応の治療であるため、年収がある程度未満で子どもの医療助成を受けられる場合はすべて無料になります。ありがたいですね。
一方、各自治体が決めた年収以上である場合は、幼児だと2割負担、小学生だと3割負担になるので、3か月に1回程度の受診で、診察、血液検査で4~5000円程度、加えてお薬・針・アルコール綿などの費用が必要で、使用する薬の処方量にもよりますが、3か月の自己負担は、身長130㎝程度のホルモン剤で10万円程度以上はかかってきます。
成長という価値は、お金に換算できるものではありませんが、お金の負担は親の悩みでもありますね。
ちなみに、薬剤代を減らす方法として、週7回の注射が望ましいとはいえ、週5日とか1日おきとか、減らして行う選択肢もありました。うちは毎日、週7回としたのは、やはり注射頻度が高い方が、成長に効果があると知ったので、休まず毎日することを選びました。
最近、娘は昔のヒットソング「泳げたいやきくん」を『毎日、毎日、ぼくらはテッパンの~』と歌っていますが、毎日注射していることに絡めているのでしょうか(笑)
成長ホルモンの副作用、発達への影響
うちの娘の場合ですが、
成長ホルモンをやってきた6年間、いいことしかありませんでした。
背は着々と伸び、9歳時点で平均身長を2㎝ほど上回っています。
小さい生まれのせいで骨格が小さく細いので、小顔のまま背が伸びました。
手足のサイズも、運動能力も標準並みとなり、生まれの小ささを忘れるほどです。
薬剤の副作用はありませんが、お尻に時々青豆状の針の跡が残り、ゆっくり吸収して消えていくということが起きています。本人は、特に痛みもないようですが、毎日針を刺すので、多少、皮膚や皮下に影響はあるのだろうと思っています。いずれも、注射が完了すれば消えていくことでしょう。
先日の受診で、医師にやめるタイミングについて相談しました。
標準身長に達しているので、もうやめてもいいのではないか、という思いがよぎるようになったからでした。
医師の見解は、
今のところ、成長ホルモン剤が有効に効いていて、身長を維持できているという見解であり、やめてしまうと成長スピードが失速する、成長が遅れて小さめな大人に収まる可能性は否定できない、というものでした。
なるほどです。
今は薬が効いているなら、やめてはいけないですねと判断し、まだまだ続行しようと決めました。
本人の不満は、3か月に1度、学校を休んで病院に行き、採血をすることですが… あと3~4年、頑張れるかな?
SGA低身長症で、こびとサイズというハンディから始まった人生ですが、体力、学力ともに将来への不安はなく、標準的なところで過ごすことができるのは有難いことです。
現代医療に感謝をしつつ、しっかり学び、せっかく整えてもらった身長を活かして、社会に恩返しできる人になってもらいたいものですね。
ご支援くださっている皆様に感謝。
また、早産、低身長で悩んでいる方の参考になれば幸いです。