家庭事情
母親が怖かった。
私の記憶は、ずっと怒っているイメージで受け入れられていないと思っていた。
それがとても苦しく悩みのタネだった。
何をしても怒られる、叩かれる、歯を食いしばっって叩こうとする母親の顔はいつでもすぐに映像が浮かぶ。
彼女の印象はそんな印象だ。
彼女に甘えた記憶がない。どちらかといえば、いつも気をつかいながら、遠慮しながら生きていた。
いつも怒られる、なぜ怒られているのかわからないが怒られる。
そんな記憶だ。
『お前は、頭が悪い』とか『お前は普通ではない』とか『たわけ〜』とか
『なんであんたはいつもそんな風なんだ』とか『そんな風だからお前はダメなんだ』とか『自分のことしか考えらない奴だ』とか『人の気持ちを考えろ』とか『何度言ってもお前は治らない』とか....
とりあえず叩かれていたし、罵声を浴びていた。
苦しかったし痛かった。逃げる場所もなく死にたいとずっと考えていた。
言葉を発するのも自分らしくいるのも怖かった。
何かしたら怒られると思っていたか、自然に家の中では心を開かなくなり始めた。
外でいる自分と家でいる自分の中でどんどんギャップが生まれ始めてきた。
家の中のストレスを外で出すように、外でありったけの自分の思いを発散させていたのかもしれない。
それが誰よりも負けない、上に立つという生き方だったのかもしれない。