私のnoteのテーマの一つ、残すことについて少し書いておきたい
なぜか?
失われてしまうから。そして忘れるために。
1.残す
残す。残すとは何か。
「残す」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
辞書によるといくつかの意味がある。
「後にとどめておくこと」や、「もとのままにしておく」「痕跡をのこす」など。
もう少し調べてみると
残すという言葉の語源は見つからなかったが、古語辞典ではこのような意味がある。
のこるの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典
残すという言葉は古語では検索しても見つからない。
でてくるのは「残る」という自動詞。そのものが「残る」という使われ方しかなかったようで、残すは新しい言葉と考えられる。他動詞で残すというような意味合いで使われているのは「とどむ」という言葉があるようだ。
とどむの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典
現代でも「形をとどめて」というような言葉も使われることがある。
残るの使われ方からは、「のこりたる雪」「我一人のこりて」とあって消えると思っていたものが消えていなかった=残るという使われ方をしていると考えられる。現代語の用法、「面影を残す」「食べきれずに残す」も、そこに無いと思っていたものが有ったという意味で使われている。
証拠を残すや名を残すは少し発展的な使われ方で、もともと無かったものが有ったというニュアンスが感じられる。
0だと思っていたら1だったということ。0≠1
ちなみに無かったものが無いことは人には認識できないが、
「水が残ってた!」などは非常事態になって初めて気が付く。つまり意識を向けないと気が付かないものもある。
2.leave
さて、ここでちょっと英語で残すという言葉を調べてみる。そうするとleaveという単語が出てくる。
「残す」の英語・英語例文・英語表現 - Weblio和英辞書
いくつか単語はあるがleaveを使われているケースが多い
ただleaveには「去る」とか「出発する」ような意味合いで使われることの方が多そうである。
leaveの意味・使い方・読み方・覚え方 | Weblio英和辞書
覚え方として「持っていかないで(そのままの状態にして)去る」とあり、そういう言葉のイメージがあるということだろう。
3.leaveの語源
ここでleaveの語源を確認してみる
leave の意味、語源・英語語源辞典・etymonline
leave 意味と語源 – 語源英和辞典 (gogen-ejd.info)
どちらも古英語laefan(出発する)が語源で、印欧祖語のleyp-もしくはleip-が語源とある。
Reconstruction:Proto-Indo-European/leyp- - Wiktionary, the free dictionary
印欧祖語のleip-もしくはleyp-は「くっつく」や「粘着する」の意味となっている。
ここからゲルマン祖語libanaで「残っている」、ウィクショナリーのほうではlibjanaで「生きる」という意味になっている。
付録:ゲルマン祖語/libjaną - ウィクショナリー日本語版 (wiktionary.org)
連載 第5回 alive の歴史言語学 (kenkyusha.co.jp)
さらにゲルマン語から古英語を通じてlife、liveへと変化していったようだ。
うまくまとめきれないが、残るleaveと生きるlive、生活lifeなどが同じ語源から来ているのは興味深いと思う。
4.なぜ「残す」がテーマなのか
最後に理由を書いておきたい。
端的に言えば「残す」からこそ次が生まれるからだと思っている。
食料を残しているから、誰かが生き残れる。(空いている)時間を残しているから、緊急の用事にも対応できる。逃げ道を残しておけば助かることができる。すき間を残しておけば移動できる。モノの見方を残しておけば新しい発見がある。
使い尽くしたり、食いつぶしてしまうことは次に何も生み出せないということだ。
しかし、途中にも書いたが意識を向けないと気が付けないものがある。無限だと思っていたが有限だったもの。
時間や夢、生きがい、水などの資源、健康。意識しないと気が付けない。そして気が付いたときには何も残っていない。私はさほど気が付くタイプでもないので失ってきた。
なので敢えて残すと書いた。そして忘れてでもまた意識する。そういう波が多分いいではないかと思う。うまくまとめられなかったので、どこかで続きを書きたい。