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綺麗なものが汚れていく
私は聖人になりたい訳ではなく、ただ気持ちよく生きたい。
ボランティアだってするし、人助けだってする。でも私のおかげで、と言われると逃げてしまいたくなる。
仕事柄先生として子どもたちに触れる。私の仕事は何か子どもたちに教えている様に見えるかも知れないが、ものすごく繊細なアンテナを立てて子ども一人一人の中にある素敵なものを見つけてそれを本人に見せること。そしてそれはその子が元々持っているものだから、私の手柄ではない。
「先生のおかげで…」と言われると未だにヒャッ!となるし、それを聞いた自分が勘違いをしないように、敢えて聞き流すことにしている。
先生って仕事は勘違いしがち。たくさん勘違いしている人を見る。こどもの宝物を奪い取って自分の物です、と高らかと上げて見せる。
私が一番望まない姿。
なぜなら、私はこの宝探しを心から楽しんでいるから。自分のためにやっているのだから。ただ愛おしい人たちと一緒の時間を楽しむことが私の望み。
それを褒められてしまったら、スポットが当たってしまったら。それは私の楽しみでなくなってしまう。だから、大切に大切に。そっと隠れる。
美しい子どもたちの姿が、私と言う大人で汚れない様に。
人に親切な人がいる。
相手が喜ぶだろう、と思って"善いこと"をしている。私はそれを尊敬の念で見つめる。だって私には出来ないことだから。
「人を喜ばす」んじゃなくて私は「私を喜ばせる」ことしかしないから。
でもある時、その親切な人が「相手が調子に乗ってきた」と言う。「当たり前みたいに甘えてくる」と。
私の目の前の美しいものが一気に汚れ果てる。悲しくなる。
だから、私は気持ちよく生きたいから。そのためには汚れたくないから。
自分を喜ばすことしかしない。その「楽しい」の先に、きっともっと楽しいがあるはずだから。
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