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私の正しいお金の使い方

 朝から英会話に行く気満々で準備してたけど、なんとなく自分が疲れている気がするから、休む。こういう日は人には会わない。図書館に行く。

 そう決めて家を出る。予約していた本を2冊受け取りつつふと顔を上げると、図書館に着物姿の方がちらほら。もしかして...

 ビンゴ!図書館を出ると、すぐ前では地域の文化祭が行われていた。以前はこの図書館のすぐ前に住んでいたから、子どもたちの秋のイベントはこの文化祭に来て地域の方々が出している出店で焼きそばやうどん、ぜんざいやサーターアンダーギーを食べたり、館内をめぐるスタンプラリーに参加したり。

 子どもたちがほくほく嬉しそうにこの施設を駆け巡っていたのを、ついこの間のことの様に感じてウキウキ。

 今日は誰とも会わない、と決めていたのに足は自然といろいろな出店に向いて。ボーイスカウトのバザーや陶芸クラブの店の方々とおしゃべり。

 その中で一つ、強烈に惹かれた茶碗があった。通り過ぎようとしても、どうしても足が戻ってきてしまう。たまらず手に取って眺めていると「その方、お上手でしょう?」と陶芸クラブの方。更にご本人登場で、その方の「これを作った時はね...」というお話に、気が付くと「これ、ください!」と言っていた。そのすぐ側にあった湯呑みも迷っていたら、「茶碗と湯呑みとで、○○円にしとくから、もう一つ持って帰っていいよ」とのこと。「え?いいんですか?」結局気になっていた器を3つとも連れて帰ることになった。

 この方の金額は確かに他の陶芸クラブの方とは全然違う設定になっていた。この方は自分の実力を知っている。でもそれだけではなくて、いかに工夫をしたかどんな苦労をして作ったのか、お話を直接聴いているとその方がどんなに一つ一つの作品を楽しんで夢中になって作っているかがわかる。

「好き」が伝わる器たち。

 稲垣えみ子さんの「お金は投票用紙」を思い出した。「あなたの器に惚れました」を伝えるために、お金は私が使いたい使われ方をして出て行った。

 私の手元には、見る度使う度にときめきを感じさせてくれる器たちが残った。最高じゃん。

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なみお
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