調子に乗ろう
私は基本的に「調子に乗らないタイプ」だ。
何か良いことがあったらすぐに「これは信じていいのか、違ったらいけないから信じないでおこう。これは嘘だ。幻だ。」と思ってしまう。心配性なのと自分の経験から、そう思うのが自分にとって一番楽だと考えてる。
乗れる時に乗る
そんな私。怖がりと飛び込みがちな相反する性格が共存しているので、自分の心のままに「これはしておこう」と思って飛び込むことが多いが、自分の中ではかなり話し合いがあって、心配性の私が最悪の状況を嫌と言うほどシミュレートしてきた上で決めて飛び込む。
周りから見たら思いつきで行動している様に見えるだろう。でもいつもは人目につかないところにいる心配性の私のシミュレーションはかなり怖いところまで行くので、よく見ると私のしていることは大胆に見えて意外と小さくまとまっている。
そんな私。自分の子どものために小さな英語教室を立ち上げ、コツコツ教えている間に最初は自分の子どもと姪っ子甥っ子だけだった教室に人が集まり出した。十数年経った今では、始めた当時には想像もしなかった人数が教室に通っている。私は十数年変わらず大好きな子どもたちといかに笑おうか、いかに楽しもうかと考えながら英語を教えている。
でも常に心配性の私がそこにいて、「これは現実じゃないかも知れないよ」と私に耳打ちする。これは現実じゃないし、長続きしないかも知れない。だから調子に乗るなよ、といつも耳元でささやいている。
そんな私の頑なな姿勢を崩した言葉がある。
「調子に乗れることなんて、そうそうないんだよ。調子に乗れる時に乗っておかないと、いつ乗るの?」
確かに、と思った。調子に乗ってついついやりすぎちゃったり、はみ出してしまったりする様なネガティブな部分ばかりに目が行っちゃうけど、調子に乗るって実は波に乗るのと繋がってる気がした。
調子づいていつもは行かないところまでジャンプすると、そこに波があってヒョイっと乗ることが出来る、そんなことが可能なのは正に「調子に乗ってる」時なのかも知れない。飛び込む私がエイッと心配性の私を押さえて、飛び出す瞬間を大切にした方が良いのかも知れない。
ガッカリも意外と悪くない
何かをしようとしていたら、それがとってもうまくいっていると思う瞬間と全然うまくいかなく感じる瞬間が交互にやってくる。その間の「なんとなくうまくやってる」時に「もうちょっとやってみようかな」という気持ちが湧いてくる。それまでの私は「調子に乗るな」と自分を制していたけれど、最近は「せっかくだから調子に乗ろう」と思う様にした。
ワクワクすることがあったらちゃんとワクワクして、ガッカリする時はちゃんとガッカリする。そこで気付いた。ワクワクした分だけガッカリがしんどいなんてのはただの思い込み。人に見せなくても心の中は期待でいっぱいになっているんだから、いずれにしてもガッカリはするもの。どうせガッカリするんだから、うまくいってる時に怯えずにワクワクしておいた方がいいのかも。
え?自分がピエロに見えて嫌だって?
否、「この仕事決まるかも!」って大喜びしていた私が免許更新忘れてて仕事決まらなかった時、一緒に怒ったり悲しんだりしてくれる人がいた。もちろん私を憐れんだ人もいるかも知れない。あんなに喜んでたのに馬鹿みたいって。
So what?
ちょっと情けなくて悔しいけど、その気持ちを味わっておくと後々効いてくる。私たちには常に次のチャンスがある。
「ぬか喜びをした惨めな私。」
それが誰かの心にひっかかっていて、数年後に私にそのチャンスを再びくれたりする。そんな経験があったから、私はピエロになるのも悪くないのかもと思うのだ。そこに「私が希望していることを人に知らせる」という効果が生まれているということに気付くのは、それを繰り返しているからだろう。ある人がこう言った。
「欲しいものがあったら、周りに言っておくこと」
今自分がこれをしたいと思っている、これが欲しい。
それまでは人に言うのも恥ずかしくて、なんだか人に言うと叶わないんじゃないか、とありもしないジンクスを自分で作って黙っていたけれど。
この言葉を聞いて思い切って周りに言ってみた。すると確かに思いも寄らない違う扉が開いた。タイミングは自分の思い通りじゃなくても、ちゃんと扉は開く。次々と開く扉に戸惑いながら。でも今では上手に自分の希望を伝えられる様になった。自分が勝手に決めたタイミングでうまくいかないからって、「うまくいかなかった」って諦めるのはもったいない。これは本当に実感を込めて。
ただ、タイミングだけじゃなくて内容もちょっぴり違って訪れることがある。自分が思ってなかった形で叶ったりする。そんな時はその波に乗れば良い。
ちょっとした目の前の恥ずかしさや自信のなさを、ちょっと「調子に乗れそうな」時に調子に乗って飛び越えてみましょうよ。
その先には更なるワクワクが待ってる。ワクワクって心と体、そして成長にとても有効。うまくいかないことに目を向けてがっかりし続けるより、開いた扉の向こうをワクワクしながら覗いてみるのも悪くない。人生は一度だけなんだもの。