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アメリカで人気のスタートアップトレンド 7月のまとめ

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アメリカで流行しているスタートアップ、商品・サービス、分野などのビジネストレンドに関連する情報を毎週発信しています。

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本メルマガに登録いただいている起業家や投資家の方が投票されたトップ3の分野は以下の通りです。

●「顧客の声」の動画制作ソフト
● 小企業・個人向けのECサイト構築支援ツール
● 生鮮食品の需要を推測するAI

上記の中で、「顧客の声」の動画を簡単に制作できるソフトは日本で不足しており、大きなビジネスチャンスだと考えます。又、トップ3には入っていないですが、Capital-as-a-ServiceやBanking-as-a-Serviceの分野はオープンAPIの導入に連れて、将来成長発展が期待される分野だと思います。

新たな起業・投資アイデアやビジネストレンド情報を求めている方は是非、以下のリストをご覧ください。

「顧客の声」の動画制作ソフト

アメリカでは「お客様の声」の動画制作を支援するソフトが多い。同ソフトは基本的にユーザー企業向けに顧客へのビデオ推進状の依頼、動画収集・管理、録画機能などを提供する。更に、同ソフトはFacebookやYouTubeなどのSNSに動画をアップロードしやすく、統括的なサービスを提供している。

普通のオンライン広告に対する信頼性が低下しており、代替のマーケティング手法を求める企業が増えている中、ビデオ推進状に対する注目度は伸びている。このため、同分野はVCから注目を浴びるようになり、ビデオ推進状の動画制作ソフトを提供するVideoPeelは先週、SaaSの有力投資家のActive Capitalから資金調達を実施した

アメリカではVideoPeel以外に、Testimonial Hero、Boast、Magnfiなどの小規模のSaaSスタートアップが多く、競合環境は激しい分野である。一方で、日本ではビデオ推進状の動画制作ソフトは数少なく、ビジネスチャンスだと考える。

<参考企業>VideoPeelTestimonial HeroBoast

小企業・個人向けのECサイト構築支援ツール

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コロナの影響で多くの小売企業が経済的なピンチに追い込まれている。この状況下で、これまで店舗販売をしてきた企業はECサイトを運営し始めており、ECサイト構築支援のソフトに対する需要は急増している。

この中で代表的な企業はShopifyであり、同社は今年の3月中旬から4月末までの間に新規ユーザーの数が62%も上昇した。面白いことにこの新規ユーザーには地元のスーパーや服屋などの小企業も含まれており、技術的知識を持ち合わせていないユーザーが一気にShopifyなどのプラットフォームを利用し始めている。

このため、Shopifyよりユーザーフレンドリーで、個人起業家や小規模の企業のニーズに見合うサービスを提供できるビジネスはチャンスだと考える。例えば、Shopifyの競合相手、Ecwidの場合は、月額料金を支払えないユーザーに対して無料プランを提供したり、数時間以内にECサイトを一から構築できるインターフェースなどを提供している。

Ecwidや同業他社のScalefastはここ2~3ヶ月間で資金調達を実施しており、ECサイト構築支援サービスは今後も投資家から注目を浴びる分野だと思う。

<参考企業>ShopifyEcwidScalefast

生鮮食品の需要を推測するAI

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スーパーにとって食品在庫の管理は難しい。各食品の賞味期限を確認する上で、需要を満たせる手持在庫量を確保する必要があり、在庫管理は複雑な作業である。尚、昨今のコロナ状況の影響で顧客の購買行動が大きく変化しており、一日一日の在庫管理を行うことは更に難しくなっている。

このため、AIを活用してスーパーで販売されている食品在庫の需要をより正確に推定できるソフトのニーズが全体的に高まっている。特に、リソースが足りない小規模のスーパーに対して賞味期限が早い生鮮食品の需要を推測するAIソフトが最も需要性が高いと考える。

アメリカではAfreshやCrispなどのスタートアップが同ソフトを提供しており、まだ競合が少ないニッチ分野である。日本でも地方のスーパーやコンビニで同じようなニーズがあるのでは?

<参考企業>AfreshCrisp

キャピタルアズアサービス(CaaS)

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キャピタルアズアサービス(CaaS)とは、スタートアップが資金調達を検討する際に資本提供者が類似企業のビジネスモデル、業績、KPIなどのデータを参考にスタートアップ企業を評価し、なるべく人為的に関わることなく資金調達プロセスを自動化するサービスのことを指す。創業者は資金調達を行う際にピッチデック作成、投資家とのミーティング設定などに時間を要さず、事業運営に集中できるため、スタートアップから見ると「サービス」だと言える。このサービスはSocial Capital、Lighter Capital、Right Side Capital Managementなどの投資家が提供している。

同分野で最も興味深い企業は先週資金調達を行ったばかりのCapitalだ。同社は保有株式の希薄化を避けれる資金調達サービス(ローン貸出、ロイヤルティなど)をCaaS型でスタートアップ企業向けに提供している。ローンの場合、5百万ドル〜50百万ドルの多額の融資を貸出しており、VCに匹敵する金額である。早くて1日で審査が承認され、融資額が発行される。別途、同社はAIを活用して様々な資金調達ストラクチャーを比較し、資本コストの観点から最善の調達方法を可視化するプラットフォームも提供している。

実績が足りないスタートアップに対して、VC以外でも資金調達方法の種類が増えており、このトレンドは続くと想定する。その中で、資金調達プロセスに要される時間を短縮し、保有株式の希薄化を避けれる方法は創業者に対してとても魅力的だと思う。

<参考企業>CapitalSocial CapitalLighter Capital

遠隔歯列矯正サービス

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通院せずに自宅から歯列矯正を受診できるD2Cサービスを提供するOh my teeth社は日本で注目を集めている。同社は3Dスキャン、3Dプリンター、人工知能、チャットボットなどの高技術を活用して、手頃な値段でオンライン矯正を提供している。コロナ状況中に外出を避けている人に対して魅力度が高いサービスであり、2019年12月のローンチからたったの2ヵ月で1,000人以上の希望者を達成している。

一方、アメリカでは矯正のD2Cサービスは決して新しくない。byte、Candid Co、OrthoFX、SmileDirectClubなどの企業が数年前から同様のサービスを提供しており、「タイムマシン経営」的なスタートアップ領域である。コロナの影響で同分野に対する注目度はアメリカでも最近高まっており、先週にシリーズAを調達したOrthoFxの新規顧客はここ数ヶ月で急増している。

アメリカでは矯正サービスのコストが主な差別化要因であり、顧客に手頃でフレキシブルな料金プランを提供している企業が多い。例えば、OrthoFXは顧客に対して低金利の融資を行なっている。日本でも矯正D2Cが普及するに連れ、料金プランに重点を置く企業が勝ち抜くのではないか。

<参考企業>Oh my teethOrthoFXbyteCandid CoSmileDirectClub

バンキング アズ ア サービス (BaaS)

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バンキング アズ ア サービスとは「既存の銀行サービスを金融ライセンスやソフトウェアを用いて再構築し、企業に対して必要な銀行の機能を提供するサービスのこと。これにより、銀行以外の企業が金融の機能を提供できるようになる」。つまりBaaSを用いることにより、アパレルブランドやスーパーなどの事業会社が銀行を介さずに送金・入金、クレジットカード発行などの銀行業務を行えることができる。

事業会社にとってBaaSは大変魅力的なサービスである。なぜなら顧客に金融サービスを提供することにより、更に顧客との関係性を深め新たな収入源を構築できるからである。テック企業も含めて、あらゆる会社がこの理由でBaaSを利用し金融サービスを展開している。この動向は数年前から続いており、Amazon、Square、Verizonなどの大手企業は既に金融サービスを導入している。

日本でもこのトレンドが加速しており、今年4月にはNTTデータがBaaSを提供するインフキュリオン・グループと業務提携に合意した。尚、日本でオープンAPIの取り組むが進んでいる中で、BaaSに対する注目度は高まっており、同分野の今後の成長性が興味深い。

<参考企業>Bond Financial TechnologiesRailsbank

B2B型のオンライン薬局サービス

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アメリカでは体調がすぐれなくても、病院でコロナ感染する事を恐れて受診を躊躇う人々が増えている。一方でオンライン薬局サービス(薬局の処方、及び注文を全てオンラインで行える患者向けのサービス)を始めて利用する新規ユーザーは増えおり、NowRx、Alto Pharmacyなどのオンライン薬局企業はここ数ヶ月間で新規ユーザーの伸び率が急増している。

日本でもオンライン薬局分野は注目を浴びており、今年9月からは「自宅で診療から服薬指導までオンラインで完結する医療が全国的にできるようになる」。5月に大正製薬もオンライン薬局スタートアップminacolorと提携して新たなオンライン医療サービスを開始し、同分野での様々な動きが既に見えている。

現在、顧客向けにサービスを提供する「toC」事業が伸びているが、「toC」事業を支える「toB」事業を注目すべきと考える。例えば、アメリカのTruepillはオンライン薬局サービスを提供する企業向けに郵送の手配、医師とのコミュニケーション、コンプライアンスなどのバックエンド業務を全て管理するサービスを提供している。このようなB2Bサービスが最近アメリカでは注目を浴び始めており、日本でもオンライン薬局が発展するにつれて、B2Bの需要が発生するだろう。

<参考企業>TruepillNowRxAlto Pharmacy

データを重視するニッチなキャリアサイト

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先日、世間の母親をターゲットにしたキャリアサイトThe Mom ProjectがCiti VenturesやInitialized Capitalなどの有力投資家からシリーズBを調達した。同社はシリーズA調達時(2018年12月)から20万人程のユーザーを獲得しており、パンデミック前から右肩上がりで成長していた。

昨今の経済悪化状況でレイオフが続いている影響で、LinkedIn、Indeed、CareerBuilderなどの総合型キャリアサイトの利用率が伸びている。その環境の中で興味深いのは、エンジニアや女性など、ニッチな層をターゲットにしているキャリアサイトの需要が増得ていることだ。

The Mom Projectは今年3月に人事アナリティクス会社Werkを買収し、Werkのアルゴリズム、及びデータを活用することにより、通常のキャリアサービスに加え、顧客企業向けに自宅勤務環境の改善方法や従業員エンゲージメントの向上策を提案するサービスを提供し始めている。その特徴性は、有力投資家からも注目を浴びている。コロナ騒動で働き方が変わっている状況下、「OOOに特化したキャリアサイト」だけではなく、データアナリティクスを加えたサービスを提供出来ることが重要になると想定する。

日本ではママテラス女の転職typeなど複数の母親・女性向けキャリアサイトが存在しているが、データアナリティクスに重視するプレイヤーは少なく見える。これこそビジネスチャンスなのでは?

<参考企業>The Mom ProjectDebutField Engineer

カフェロボット

カフェロボットとは、AIを活用してコーヒーを淹れ、接客、コーヒーカップの洗浄を無人で行うロボットのことを指す。コロナ禍により非対面的ソリューションの需要が高まっている中で、カフェロボットはタイムリーなソリューションに見える。しかし、Cafe X、Briggo、Truebirdなど、カフェロボットを提供しているアメリカの主要企業は業績が悪化している。これはカフェロボットが設置されている場所がオフィスビル、空港、駅など、コロナの影響で客層が大きく下回っているからである。

日本にもカフェロボットが上陸している。今年3月に新東京ビルで実証実験を行っている「root C」や昨年11月より阪神西宮駅に開店した「&robot café system」はアメリカのカフェロボット企業同様にコロナの影響を受けて苦戦すると考えられる。

一方、アメリカでは面白い動きも始まっている。オレゴン州にあるIn J Cafeは独自でカフェロボットを製造し無人カフェを運営している。コロナ影響により通常のカフェを運営していた頃に比べると顧客数が50%減少したことにより、In J Cafeの創業者が顧客を取り戻すために考え抜いた解決策である。まだIn J Cafeはこの解決策を検証試験中であるものの、既存カフェにカスタマイズ可能なカフェロボットを提供することは有望なアイデアだと思う。ヨーロッパ発のRozum Roboticsは顧客をカフェに絞り、カスタマイズ可能なカフェロボットを製造、提供している。このようなサービスを提供している会社は、アメリカ、日本にはまだ存在していない。

<参考企業>Rozum RoboticsCafe XBriggoTruebird

ブルーカラー向けサービス

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ブルーカラー(肉体労働者)向けの転職サイトは比較的数が少ない。LinkedIn、Indeed、Careerbuilderなど転職サイトは、主にホワイトカラー(オフィス労働者)の職業を紹介しているが、ブルーカラーに特化した転職サイトはニッチで数が少ない。

倉庫作業従事者、トラック運転手、スーパーの店員など、職場に行く必要があるエッセンシャルワーカー(社会生活維持のために欠かせない職種に携わる職人)の大半はブルーカラーの職業であり、コロナ状況が続いている今だからこそ、これらの職業向けのサービス導入は重要だ。

そんな中、ブルーカラーを含む「ノンデスクワーカー」(所謂、デスクトップ作業を行わない職人)に向けてのコミュニケーションプラットフォームを提供しているBeekeeperは今週資金調達を行なった。同社はSlack同様に会社のチーム内のコミュニケーションを管理するアプリを提供しており、グループメッセージ、シフト管理、プロジェクトアップデート、安全手引きの共有などに使われている。同アプリを利用することによりチームの生産性が高まるという。

アメリカではBeekeeper以外にもブルーカラー専用のトレーニングアプリWorklete、ブルーカラー転職サイトWork Todayなどのサービスが存在し、今後もこのターゲット層に対するサービスは増えると思う。日本でもまだこのようなサービスを提供する企業は数が少ないため、ビジネスチャンスがあると考える。

<参考企業>BeekeeperWorkleteWork Today

スマートロック

外出自粛が解除されてオフィス再開が開始されている中、リモートワークからオフィスに戻る従業員が増えている。この状況下、オフィス内の環境における安全性に重点が置かれているものの、オフィスの入退室管理についてはあまり触られていない。

しかし面白いことに、入退室管理システムを提供しているオフィス向けスマートロック会社、Openpathは先週資金調達を行っており、彼らは入退室管理システムが今後のビジネスチャンスだと主張している。これは、リモートワークとオフィスを組み合わせたハイブリッド勤務体系を構える企業は、従業員のオフィス出入りのトラッキングや、社会的距離を保つための人数制限などを離れた場所から管理できるソリューションを求めるようになるからである。同社はこのハイブリッド勤務体系を構える企業が増えることを想定しており、オフィスへのアクセスを遠隔管理できる同社のシステムを企業やプロパティ・マネージャー向けに今回の資金調達を踏まえて積極的に販売する予定である。

日本の企業で完全リモートワークに切り替えることは想像しにくいものの、例えば週1〜2日はリモートワークが認められるハイブリッド体系を導入する企業は今後増えるのでは。(日本の自動車系スタートアップMiddleFieldは既にこのハイブリッド勤務を導入している。)スマートロックを提供する企業は日本でも多いが、コロナの影響で今後日本でも流行しそうな分野だと考える。

<参考企業>Openpath

キャンプ用品レンタル

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コロナの状況下、人混みを避けるためにキャンプ場に行く人が増えている。これはアメリカも日本も同じような動きが見えている

興味深いことに、キャンプ関連のサービスはコロナ前から数年アメリカで流行している。この中で最も注目を浴びていたのは「Airbnbのキャンプ版」で、同サービスではユーザーが私有地のキャンプサイトをオンラインで借りることができる。有力投資家も期待している分野であり、BenchmarkやAndreessen Horowitzも同サービスを提供するHipcampに2〜3年前から出資している。

しかし、キャンプ用品のレンタルサービス (テント、寝袋、テーブルなどのキャンプ用品を揃えるための出費を抑えるために導入されたサービス)となると, まだまだ注目度は低い。同サービスを提供するスタートアップは、レンタル用品を家、又はキャンプ場までの直接宅配、及び簡単な返却サービスなどを提供し、ユーザーは気軽にキャンプ用品を揃えることができる。

アメリカと日本では、キャンプ用品レンタルを行う企業は多いが断片的な分野であり、マーケットリーダーは存在していない。アメリカでは、先週、Freestyle Capital、Corigin Venturesなどの投資家がキャンプ用品レンタルのスタートアップ、Arriveのシードラウンドに出資し、同サービスに対する注目度が徐々に上がっているように見える。そのため日本でも同じような動向が見えてくるのではないだろうか。

<参考企業>ArriveHipcamp

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