リスニングには、シャドーイングよりもリピーティングが最強だと思う理由。
近年、リスニング力UPの方法としてシャドーイングが流行っています。シャドーイングは効果的ではあるのですが、多くの人にとってはかなり難しい練習方法なんじゃないかな?と思っていたりします。
ネイティブスピーカーが自然なスピードで話す英語を瞬時に真似するわけですが、それってピアノで例えてみると、プロが弾く曲を、弾くそばから真似してメロディを奏でていくようなものではないでしょうか。
これは、できれば本当にすごいし、理想的ですけど、10年ピアノを練習した私にも到底できない芸当です^^;(あくまでも個人的な感想です)
そう考えると、シャドーイングって本当に難しいですよね。でも、諦める必要はありません。リピーティングだけでも、リスニング力は十分UPできるからです。
ちなみに、週にたった30分、リピーティング練習を1年半の間やってもらった生徒さんがいます。自主学習時間はほぼゼロ。それでも、NHKラジオのEnjoy Simple Englishの音源が半分程度の理解から、ほぼ100%聞き取れるようになりました。TOEICは600点弱の方でした。
リピーティングは、シャドーイングよりもハードルが低いし、正しく行えば、確実に効果が出る。だから、とってもオススメな練習方法なんです。じゃあ具体的にどう練習したらいいのか?という話を今日はしていきます。
1.リスニングの練習法
リスニングの練習法には、大きく分けて多聴と精聴があります。
多聴はたくさん英語を聞くこと、つまり量を重視して、内容を大ざっぱに理解する練習を指します。一方、精聴は、一文一文を丁寧に聞き、聞き取れなかったところや理解できなかったところを詳しく見ていき、聞き取れるように、そして理解できるようにするための練習です。
今回ご紹介するリピーティングとシャドウイングは、このうち、精聴の練習に分類できます。
2. リピーティングは万人向け、シャドーイングは上級者向け
中学の英語の授業で、先生が教科書を読んだ後、クラス全員で先生の真似をしてあとに続ける、という練習は誰もがやったことがあると思います。いわば、あれがリピーティング練習です。リピーティングは初級者から上級者まで、誰にでもできる効果的な練習法です。
ただ、シャドーイングは上級者向けの練習です。もともと通訳のための練習でもあり、難易度が高いので、よっぽど自信のある人以外は手を出さない方がいいです。まず、リピーティングから始めることをオススメします。リピーティングに慣れ、ある程度英語の音とリズムに慣れて、スピードについていけるようになってきたら、その段階でシャドーイングに挑戦してみるといいですよ。
3. リピーティングとシャドーイングの効果
リピーティングは、英語の音やリズムに慣れるのに適した練習法です。正しく行えば、英語の音を的確にとらえることができるようになります。また、テキストを見ずに、耳だけを頼りに音を再現する形で練習を行えば、英語のフレーズを一時的に記憶する力が高まります。
英語を聞いていても、単語が右から左に流れていってしまう、という経験はありませんか。また、英文を読んでいても、読み終わった瞬間に何が書いてあったのか忘れてしまう、なんてことがありますよね。これは理解スピードとも関係していますが、この一時的に記憶する力が弱いために起こる現象でもあります。一時的な記憶力が高ければ高いほど、相手の言った文が長かったとしても覚えていられるようになります。つまり、この記憶力はリスニング力を上げるために必要な能力なのです。
また、耳だけで英語を聞いた場合、聞こえた英語を日本語に訳してして理解してしまうことがあります。しかし、リピーティングは英語を再現する(口にする)ことに集中するので、日本語を介さず、英語のみに集中することができます。
シャドーイングは、聞こえた英語をすぐさま発話していかなければならないので、集中力が必要です。流れている音をきちんと聞きながら、同時に声に出していくので、とても負荷の高い練習法です。ある程度英語を聞き取れるようになった人が、更に余裕をもってリスニングができるように、また、細かい音まできちんと聞き取れるようにするなど、リスニング力を更に向上させるために有効な練習法です。
あとで書きますが、リピーティングもシャドーイングも、スピーキングの基礎となる練習法でもあります。
4. リピーティングのやり方
なるべくはっきり丁寧に発音された、やさしい教材を選びましょう。スピードが早い音声CDなどをうっかり買ってしまうとついていけず、挫折してしまう原因になります。勉強は継続できることが一番です。背伸びせず、自分にとって学習がしやすいものを選んでくださいね。
音声CDを再生し、ネイティブスピーカーが読んだ英文を、そのまま真似して繰り返します。やり方としては、音声を流して1文ごとにポーズを押し、1文をそのまま繰り返す方法と、もっと短く切って、フレーズレベルで繰り返す方法とがあります。
例えば、It took me a long time to get my hair long.という英文が読まれるとします。音声が読まれたら、文の最後でポーズを押し、同じように”It took me a long time to get my hair long.”と繰り返します。
ただ、1文だとちょっと長いですよね。発音の仕方やイントネーションなど、すべて頭に残した状態で1文を丸ごとリピートするのって結構難しいものです。実力が上がってくるとできますが、最初のうちは3~5語くらいの単語を覚えるので精一杯だと思います。なので、まずはフレーズレベルで切って練習する方法が個人的にはオススメです。
次のように、フレーズレベルで切って、そこでポーズを押してリピートをします。
It took me a long time / to get my hair long.
It took me a long time→”It took me a long time”
to get my hair long→”to get my hair long” という感じです。
スラッシュ・リーディング(別記事で後日書きます)と同じく、テキストを見ずに、耳だけで音声を聞いてリピートするのがポイントです(ここが大事です!!)。テキストを見てしまうと、視覚にとらわれてしまい、純粋な音だけを聴くということが難しくなります。
耳が鍛えられた状態なら大丈夫ですが、最初は英語の音を聞くこと自体に慣れていないことが多いので、練習の効果を上げるために、なるべくテキストは見ないようにしてください。文字に頼らず耳だけで再現するという練習が、先ほど説明した一時的な記憶力の向上にも役に立ちます。ちなみに、音だけ聞いて繰り返せないところは、きちんと聞けてないということですので、自分の弱点だということになります。
補足となりますが、ヘッドホンかイヤホンを使って練習すると、音に集中できるのでオススメです。
5. シャドーイングは無理にやる必要はない
最初に書きましたが、シャドウイングが難しく感じたら、無理に練習をする必要はありません。気負わず、リピーティング練習をしましょう。シャドーイングはもともと、難易度の高い練習法です。シャドーイングだけが唯一の学習方法ではありません。他にすべき練習はたくさんあります。
英語の実力がついてくると、シャドーイングが比較的楽にできる状態になる日がやってきます。その日を楽しみに待ちながら英語の勉強をしていきましょう。あせる必要はありません!
ちなみに、耳があまりできていない段階だと、シャドーイングだけしても、なかなか効果が出ないので注意が必要です。私自身、リスニングが全然できなかった時、一生懸命シャドーイングをやっていた時期があります。当時は、発音練習もろくにせず、なんちゃってカタカナ発音で無理やりシャドーイングをしていました。英語本来の発音やリズムとかなりずれた発話をしていたので、自己満足でしかなかったですね(苦笑)。今から振り返ると、全然身にならない練習だったと思います。
今確実に言えるのは、英語の発音やリズムの仕組みを知らない状態でシャドーイングをしても、効果が薄いということです。これは、リピーティングについても同じです。
ちなみに、「シャドーイングが嫌いだ」という人もいます。でも、その方はネイティブ並みに英語がペラペラなんですよ!つまり、シャドーイングは、英語上達の唯一無二の方法ではない、ということは確実に言えると思います。自分の資質やレベルに合った方法であるかどうかは、ご自身で試してぜひ検証してみてください。
シャドーイングは最初からは難しいですが、リピーティングやスラッシュ・リーディングによる音読の練習などをこなしていけば、シャドーイングもできるようになります。
すらすらっと口から英文が出てくると楽しいですよ!日々の練習は地味ですが、ぜひ上達を楽しみにして練習していってみてください。
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