「5分だけ、一休みします?」5分小説『サイコロふってみた』
今度のパーティーで皆にマジックを披露したいと思って、こっそり練習しようと計画していたら、自然と足が雑貨屋さんに向いていた。
雑貨屋さんはまるで宝箱やクラッカーのようで、楽しいものやワクワクするものが詰まっていた。
宝石みたいなボタンに、見たことない大陸のある地球儀。
しばらく物色していた私はマジックの事を思い出して、両手に持っていた商品を丁寧に棚に戻した。
結局私は赤と青のサイコロを2つ買って店を出た。
帰り際、雑貨屋さんの店主さんが飴玉を一つくれた。
何度か練習したのだけれど、私はちっともマジックが上手くならなかった。
すっかり飽きてしまった私は、適当にサイコロを転がしてみた。
結果は7。
ラッキーセブンだ。
そのとき、窓の外から子供達の笑い声が聞こえた。
私はしばらくそれを眺めて過ごした。
とても楽しそうにしている。
見ている私まで嬉しくなってしまった。
すっかり夕方になったあと、私はもう一度サイコロを振った。
結果は2。
スネークアイだ。ついてない。
そのとき、突然電話が鳴った。
電話の主は知らない保険会社の勧誘の電話だった。
私はやんわり断るつもりだったのに、なかなか電話をやめる機会が作れず、結局三十分も格闘してしまった。
疲れ切った私はサイコロを睨む。
きっとサイコロで2が出たからこんなことになったのだろう、という責任を押し付けてみたりした。
そこで私は気がつく。
このサイコロを振るたびに良いことや悪いことが起きている。
パーティーでやるマジックが決まった私は、もうしばらくサイコロを振ってみることにした。
今度はなにが起きるだろうか。