龍の宮物語みての感想かくよ
星組公演 龍の宮物語にどハマりしまして、とりあえず感想を思いつくままに書こうと思う。
※ネタバレしかない
私は2013年頃に宝塚にハマり(スカステ無料放送で涼紫央さんに一目惚れした)それ以来星組が大好きです。
それから、天寿光希さんのファンになりました。ここ数年はライビュを見たり数年に1回生で観劇したりと少し宝塚からは離れていたのですが、それでも入り続けていたスカステで天寿さんが出ているからと、龍の宮物語を録画しました。そんな星担の感想です。どうぞ。
まず、思ったのが、瀬央ゆりあさんから溢れるその色気はなんなんだ!?でした。
私が覚えている瀬央さんは、確かにお綺麗ででもお笑い担当みたいな、そんなイメージ。かもめの気の弱い先生とか、ガイズの新人公演とかまでのイメージしかなかったので、まずそこにビックリ。
なんだ、この黒髪イケメンは……!!という衝撃。
(天寿さんは金髪とかちょっとくすんだ色とか好きなんですけど、瀬央さんは圧倒的に黒髪が好きですね)
清彦さんの髪型も好き。爽やか〜。
ということで、先ずは瀬央ゆりあの魅力にやられていました。
物憂げな佇まい。そして私の記憶より5万倍お歌が上手くなっていた。
ここ数年、ちゃんと見てなかったから、私が浦島太郎状態。
そして次は有沙瞳ちゃん。
私のイメージはアナザーワールドの初音ちゃんしかなかったので、こんなに儚げで美しかったのね!と。
お綺麗だなとは思っていたけど、玉姫という存在への説得力しかない美貌と佇まい動きがすごい。
表情や声音のひとつひとつの演技が素晴らしかった。
一幕の清彦はプロローグから一転して真っ直ぐで純粋でキラキラしている。目が大きい!!
百合子役のゆりちゃんの明治時代の良家の娘さんという感じが、とてもしっくりきて。可憐で聡明なのが良かった。
山彦役の天華えまくん。カッコイイし台詞もお歌もうまいし、普通に好きになった。これから注目して見たい!!
龍の宮の人たちの賑やかさ、メイクの振り切り具合とても好き。2幕冒頭で、ややそのメイクが残りつつ地上の人たちとして踊る場面があるんだけど、それも好き。
やや、張り詰めた空気の中で癒しは笹丸ですね!
笹丸のお衣装だけ色が水色で髪も白いし、異質なんだよね。それで、他に水色を使ってるのが人間(だった者)たちだけだし、清彦を助けようとすることや「雨乞いしないといいなあ……」て台詞もあるし、もしかして人間なのか?と思ったりもしている。
あまねちゃんもとても好きになった。
さて、私のご贔屓様の天寿さんですが。安定の美しさで、龍神としての存在感が凄かった。蔑天骸してたときも思ったけど、あなた役で身長変わってません??
ナウオンで玉姫のことをただ愛しているだけだというようなことを仰ってましたが、それがあの結末の始まりでもあるんだよね。
天寿さんにしては低い声で、終盤のあのシーンはゾッとした!!!
そして、弟くん役の天飛華音くん。明るいイメージのある天飛くんの静かな演技。とても良い!
他にもりらちゃん、おとねちゃん、きらり杏ちゃん、紅咲ちゃんとか、娘役さんもとても良かった。すき。
で、好きなシーンなんだけど。まずは、玉姫と清彦のお庭での2シーンが良いですよねーー。
1回目は少しずつ玉姫の表情や声音から強ばりが無くなっていく、本当にその変化が見事。
この時点でもう、清彦がただの良い青年だってことを姫は分かっている。多分、他の龍の宮の者たちにとっては、それはどうでもいい事なんだと思うけど、玉姫(と笹丸)にはそうじゃなかったんだろうなと。
「優しいのね」と笑うラスト以外でこんなに笑うのはここだけなんじゃないかな。楽しそうなのを指摘する清彦の表情もとても良い(顔も良い!!)
本当に純粋で人の好い何も知らない青年。そこからハッとして、玉姫様の表情がいつもの氷に戻るのも良い。
で、2回目。いつの間にか膝枕!!!その状態で龍神(旦那様)と会話していいのですか、姫様。
で、そこから清彦が起きて2人で話す中で、玉姫の氷が溶け始める。清彦が約束を覚えているかもと期待して、違うと知って氷に戻る。本当にくらっち凄い。(今回はそれにつきる)
一幕は姫様すごい!となって、二幕は瀬央……恐ろしい子……!となる。
そして二幕。一幕も二幕も清彦の夢から始まる。
初恋の人の死を知り、帰るところは無くなり、浦島太郎な清彦。舞台は何でもダンスで表現するからすごいよね。翻弄され、波にもまれ、それが全て分かる。そして、玉姫に囚われている。一幕のキラキラで誠実な真っ直ぐな清彦はいない。
「心臓はあなたにつかまれている」抜け殻の清彦がそこに居る。ひたすらにその一幕と二幕の変わりように驚いた。すごい。すごいよ瀬央ゆりあ。
一幕終わりの清彦の想い人は百合子さんだったと思う。玉姫よりも百合子さんだった。それが、二幕で百合子さんは既に居なくて自分の居場所もなく、心の拠り所は玉姫がくれた玉匣だけ。この状況が、清彦が玉姫を追い求めるようにさせたのではないかと思う。
二幕の清彦がとても好き。相変わらず僕の性癖歪んでて申し訳ないんだけどw。うまく言葉には出来ないんだけど、影のあるキャラクター性の方が好きなとこはある。
会いたくない、会えない、と言っていた人に会わざるを得なくなる。雪子さんを助けるあたりの静かに狂っている感じが好き。
地上の何も知らない人達からしたら、よく分からない狂った人にしか見えない。おとぎ話や伝承の登場人物はこんな感じなのかと思った。誰にも理解はされないのだろう。
「僕は酷い人間なんだ」と笑うところ。「雨は降らせられる」と言って、あくまで今まで通り穏やかに穏便に終わらせようとするところ。変わらないなあと思うけど、それが不気味なんだよ。
この辺りの瀬央さんの演技がすごかった。ゾッとした。でも、ここが好き。
会いたくない、会えない。でも会いたかった人。
ここで、清彦と玉姫と龍神の3人の場面。
龍神はひたすらに玉姫を愛していた。でも、人と神の感覚の差。姫の孤独に龍神は気がつけない。何が原因なのか分からない。だから、清彦に傾く姫様。
玉姫は、恋人に似ているから清彦が好きになったのかと、最初は思っていたんだけど、何回も見ていて違うと思った。
玉姫は恋人のことは最後まで恨んでいる気がするから、清彦の「清さ」に惹かれたのだと思う。
「悪党だったら良かったのになあ」
清彦は玉姫に会うと魂が戻ってきた感じになるよね。
殺す殺さないのくだりも、なんだか生々しい。夢のベールが薄い気もする。
この、殺す殺さないが2人にとっての愛しているだと、考察している方がいて、しんどいーでも好きーていう複雑な心持ちになりましたよ!!
さて、来ますよ、龍神様が。
低い龍神の声。ひと言「玉姫」と呼ぶその声。
それなのに、しっかり台詞は伝わる。さすが天寿光希。そして、少しずつ怒りをフツフツとさせていって、そして爆発する。
このときの瀬央さんの髪の乱れ具合と見開いた目が印象的。
玉姫の最期を目の当たりにした清彦の反応が、宝塚にしては綺麗じゃないと思った。それもさっき言った夢のベールの薄さだと思った。
ヒロインが主人公を庇って死ぬって、宝塚の中でも何度も見たんだけど、あんまり好きじゃなかった。でも、その夢のベールの薄さによる生々しさと清彦の心的ダメージ。それがあるおかげで、この終わり方が好きと思えた。
今まで見てきたのは綺麗すぎてその死が今までの2時間のヒロインの命は主人公の通過点にすぎないのかなあと思ってしまうこともあったから。上手く言えないが、その生々しさが嫌って人もいるかもだけど、僕は好きだ。
その後の清彦は、そのまま死んでしまいそうだと思った。そのまま何処かの水辺に沈んでしまいそう。生きていたとしても子孫は作らなそうだから、玉姫の「あの男の血を絶やす」という願いは叶ったと思う。
清彦は龍(玉姫)に魅入られ狂ってしまったおとぎ話の主人公なんだと思うよ。姫が救われるのはこのエンディングしかなかったろうけど、清彦の人生は壊れた。
本当に余韻の凄い物語でした。
私は、おとぎ話の裏では登場人物が伝えられなかったたくさんのことも、こうやって経験したのかなあと思いを馳せてしまった。
フィナーレは初見時は本編との温度差に戸惑ったんだけど、観客の心の回復タイムだから要ると思うわ!!
何より、せおみほの唯一のキスシーンですからね。幸せな顔を堪能しましょう!!
余韻の残る物語が本当に好きで(グランドホテルとかさ)ついつい沢山のことを考えてしまうね。
しばらく、心が池の底から帰ってこなくなる。そんな素晴らしい作品でした。
瀬央ゆりあを好きになるきっかけをくれてありがとう。
乱雑な感想ですまないが、数ヶ月前に途中まで書いていたのをちょっと修正してアップしました。