美しい人は、世界に「やあ!」と呼びかけている。
日々メイクをしている人なら、くすみがその人らしさを表す魅力的なものだと言われたらちょっと困惑するかもしれない。
私もそれを聞いた瞬間、驚き、そして幸せな気持ちになった。
そんなすてきなことを言うのは、ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロさん。
「くすみがない顔は色気がない。人は光と影でつくられている造形物。影がない人は魅力的だと思わないですね。影は消さずに生かします。その人らしさが出るので」と語る。
バンザーイ! 忘年会続きでお疲れ気味の顔が途端に色っぽく見える。
土曜日、自分らしく生きる女性を祝福するライフ&カルチャーコミュニティ「She is」のイベント「She is BEAUTY DAY」に行ってきた。
美しさとは自分を知ること、そして自分を表現することだ。そう感じさせてくれる場だった。
示唆にあふれていたのが、人気ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロさんと美容ライターの長田杏奈さん、She is 編集長の野村由芽さんとのトークショー。
小田切さんは言う。
「美容は自分のパーソナリティーをどう見せるか、というもの。ただきれいにみせるためのものじゃない」
メイクで険も取れるし目の色だって変えられると明かした上で、「突然きれいにさせるのが仕事だけど、きれいは突然にはつくれない。積み重ね、生きざま」と話す。
そしてこう続ける。
「味がある人、佇んでいるだけですてきな人は、酸いも甘いも経験してますよね」
こういう言葉を聞くと、シミもシワも少なかった20歳の顔をどこかで追い求めているなんて、もったいないことだと気づく。
3人はほんとに会話を楽しんでいるように気負いがなくて、そこから面白い表現がどんどん生まれてくる。
積み重ねる生きざまのようなものは顔には限らなくて、言葉もそうだと思う。
面白い表現が花なら、その土壌にこれまでに触れてきた言葉の豊かさが感じられるような。
イベントの後半、シンガーソングライターの永原真夏さんのミニライブがあった。
伸びやかな声と全身から楽しさがこぼれているような開放感たっぷりのステージ。
ミニライブ後、感動した様子の野村さんが「よく生きようっていう気になる。それがビューティフルじゃんって思える!」と話した。心から同感。美しい人はよく生きる人だ。
小田切ヒロさんがステージをおりるときに見せた背中とお尻の鍛え抜かれた美しさ。
長田さんと野村さんが何気なく口にする表現ににじむ誠実さと知性。
永原真夏さんの歌に宿るすこやかさ。
どれも自然体で、意識やコントロールを超えたものって感じがした。
美を司るボタンは、本人にも触れられないエリアにあるものらしい。
「美しい」は印象を表す単語なので、美を語るときは「美しく見られる」という受動的なことになりやすいけど、ほんとは「自分が思う自分の美しさを表現する」というとっても能動的な行為なんだよなぁ。
自分を美しくすることは、世界に対して「やあ!」と呼びかけるような気さくで楽しいものなんだよなぁとしみじみ思った。
会場を出るときには、自然と背筋が伸びていつもより歩幅が大きくなるようなすてきな体験だったなぁ。
#she is #日記