しいたけ. さんに感じる金継ぎのような魅力
AERA主催のイベント「ワーキングウーマンのための”新ライフマネジメント論”」へ行ってきた。
占い師のしいたけ. さんとフリーアナウンサーの宇賀なつみさん、AERA編集長の片桐圭子さんが、休み方をテーマに語り合った約90分。
一番印象に残ったのは、「修復の跡がその人の魅力になる」ということだった。
しいたけ. さんは「15歳から27歳くらいまでの”総しゃべった時間”は100時間いくかいかないかくらい」だったという。「あー」と「うー」だけで社会生活を済ませ、親からは「言葉覚えてない疑惑」も持たれたとか(笑)
その頃のしいたけ. さんは新書や歴史書を読み漁り、しゃべるときが来たら言おうと思った言葉をメモし続けたらしい。
そのころの言葉が今のおもしろくて優しい文章につながっているんだなぁ。
イベントでは、AERA(9月2日号)の記事「あなたは何タイプ? 自分の持ち味を生かす方法をしいたけ.さんに聞いた!」を引用したトークもあった。
しいたけ. さんは「作家タイプ」、片桐編集長は「組織人タイプ」(私もこれだった)。宇賀さんは「ムードメーカータイプ」で、見たときに感じたのは「夏!海!ハッピー!」って感じだったと話した。スカッと明るい人柄が伝わる。
すかさず、しいたけ. さんが「いいなぁ…!どうやったらそっち側に行けるかずっと考えて来た(笑)」と言うと、会場からも笑い声が上がった。
宇賀さんの語る言葉からは、社交的で前向きな性格や仕事への真摯な姿勢、しなやかな強さが伝わって来た。
ちょっとまぶしかった。
そっち側とこっち側の間には深くて透明な川が流れているなぁ、と思った。
でも、宇賀さんは、先生に音読するよう当てられると手が震えるような子どもだったという。アナウンサー時代は報道番組で慣れないスポーツ分野を担当して肌が荒れ白髪が増えたという。
そんな意外なエピソードを語る宇賀さんに、その頃の痕跡はまったくない。
私はそれがなんだかさみしかった。
私は、金継ぎの器に憧れがある。ゆらぎのある金色の細い線に、なんとも言えない美しさを感じる。
割れたこと、欠けたことを、なかったことにしない。
金でつくろい、美しい記憶として残す。
その新たな個性は、愛おしさのよすがになる。
それは人も同じ。
傷つき、時間をかけて修復した跡は、金継ぎのように美しい。
どんなに飄々として見える人も、大なり小なり悩んだり落ち込んだり傷ついたりしている。
その経験と乗り越えた強さの痕跡が垣間見えると、なんだ急に親近感が湧いて好きになる。
私はしいたけ. さんのユーモラスな表現が大好き。
説明に入る前の独特な前置きも、ちょっとぶっとんだ提案も、目の前の景色に風穴を開けてくれる。
しいたけ. さんの言葉のチャーミングさは、きっと金継ぎの魅力と同じ。
歳を重ねることは、自分の経験を丁寧につくろいながら生きていくことなんだな。休み休み行けばいい。
しいたけ. さんは「普段と違う風景のにおいを嗅ぐとすごくリフレッシュできる」と話していた。
宇賀さんと片桐編集長、今回のために新たに作ったというしいたけ人形が並ぶステージも、いろんな香りを運んで来てくれる絶景だった。
いま、なんだかすごく清々しい気分だもんなぁ。
あのイベントそのものが、休息の時間になっていたなんて、すてき!
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※記憶力に絶大な不安があるので、発言の言い回しや理解が違っていたら、すみません。