ビートルジュース 下調べ
※敬称略箇所あり
2023年8月~9月、ジェシーさん主演のブロードバンドミュージカル「ビートルジュース」が上演される。日本版演出は福田雄一さん。
この作品に対するジェシーさんの取材会コメントとして「ビートルジュースは個性的な役柄」「ロック調の歌が特徴的」「笑いすぎて涙が出るくらい面白い作品を作り上げていきたい」。福田雄一さんのコメントは「ブロードウェイでは、1度クローズするも、多くのファンたちの後押しで、再び幕を開けてロングランしていた」「(ジェシーに対し)テレビなどで観る彼のエンターテイナーぶりはまさにビートルジュースの主役」etc……
このコメントだけ見てもめちゃくちゃ楽しみです。しかしいつものごとく作品のことを一切知らない。折角当たったので作品の関連情報だけ触っておこう~と思って調べた情報をまとめたものになります。
作品に関してはネタバレも含むと思われますので閲覧注意してください。英語が読めないので色々と挫折しています。wikiとかも閲覧してまとめているのでそのあたりもご了承ください。
1,ビートルジュースとは
そもそも『ビートルジュース』(Beetlejuice)はティム・バートン監督による1988年3月公開のホラーコメディ映画である。ビートルジュースという名前はベテルギウスの英語読みの発音にbeetle(カブトムシ)とjuice(ジュース)を当てはめたもの。脚本はマイケル・マクダウェル、ウォーレン・スカーレンによるもので、マクダウェルが脚本をティム・バートンに送付したことで制作が始まった。
第61回(1988年度)アカデミー賞にてメイクアップ賞を受賞。日本でも1988年12月に公開されている。更に、作品を基としたアニメーションがアメリカ・カナダなどで制作・放送(1989-1991)される。
そうして映画から30年弱経ったのち、映画作品を基としたミュージカルが2018年ワシントン、2019年ブロードウェイにて上演される。制作陣は以下
演出:アレックス・ティンバース
作詞作曲:エディ・パーフェクト
脚本:スコット・ブラウン、アンソニー・キング
トニー賞8部門ノミネート他様々な受賞歴がある。
※ベテルギウス
ベテルギウス(Betelgeuse)はラテン語読みであり、英語読みでは「ビートルジュース」。オリオン座にある一等星。
日本版ビートルジュース スタッフ
作詞・作曲:エディ・パーフェクト
脚本:スコット・ブラウン&アンソニー・キング
演出:福田雄一
翻訳・訳詞:福田饗志
日本版ミュージカル ビートルジュース公演の翌年である2024年9月6日、ティム・バートン監督による「Beetlejuice 2(原題)」が公開予定となっているのでこちらも楽しみにしたい。ビートルジュース役及びリディア役の俳優は続投予定とのこと。加えてリディアの娘などの役柄が増えるそうである。
2,ブロードウェイミュージカルの定義
今回の舞台の名称はブロードウェイミュージカル ビートルジュースとなっている。アメリカの劇場であるのはなんとなく分かるが、どんなものがブロードウェイ・ミュージカルに分類されるのか。ブロードウェイ専門の現地旅行会社の説明がめちゃくちゃわかりやすかったので引用させて頂く。
そうなんだ……!?要するにビートルジュースは
① ブロードウェイ通りで上演されている
② 500席以上の劇場で公演されている
ミュージカル、ということになる。トニー賞はブロードウェイで上演された作品からのみ選出されると。
3,映画版ビートルジュース あらすじ
ミュージカル版ビートルジュースを見ていないのだが、後述の記事を閲覧する限り内容も登場人物もかなり異なることを前提においてほしい。
4,映画版ビートルジュース キャスト及び撮影監督のインタビュー抜粋
いくつか映画キャストや関係者のインタビューを見つけたので、興味深いところ(基本的には主人公ビートルジュース周り)を抜粋して記載した。
【 キネマ旬報 (通号 997) プレスジャンケットインタビュー 著:北島明弘】
<マイケルキートン(ビートルジュース役)>
Q:役作りのためにリサーチをしましたか。
どんな声をしてるのか、歩き方は、エネルギーレベルは……というようなことを考え、徐々にいろんな要素を積み重ねて、役を作り上げていった。
Q:このキャラクターのどういうところが気に入ってますか。気に入らない箇所はありますか。
気に入らないところは全くないね。と、いうのも彼は落ちこぼれ、はみ出し者だから比較するものがない。暗闇の中から脱出しようともがいている彼には、あらゆる手段が可能であって、彼を締め付けるルールはないんだから。
Q:他の役と比べビートルジュースの難しかったところ、よかったところは。
まず、要求されているものが根本的に違うと思うね。ビートルジュースのような喜劇の場合は外見的なもので、クレージーな演技を外へ外へと演技していけばいい。
Q:ビートルジュースは死の世界をどう受け止めたのでしょう。
決してハッピーじゃなかったね。生前はとてもワイルドで、楽しい生活をしていたもんだから、早く死の世界から出たくてたまらなかったわけ。早く外の世界に出て新鮮な空気を吸いたいというところだろうね。
<ウィノナ・ライダー(リディア役)>
Q:演技に満足しましたか
満足できなかったわ。私の役は沈んで暗い役で、それに徹することでコントラストが出て、映画としてはいい出来になったと思う。
Q:出演されるようになるきっかけ
(前略)リディアの役ははじめ、もっと若くて漫画的だったけど、だんだんと立体的になりリアルになった。リディアは無表情で、淋しい子なのよ。
<グレン・シャックス(オーツ役)>
Q:ビートルジュースについてどう思われますか。
エキセントリックで素晴らしかったし、他の映画のコピーでないのもよかった。ゴースト・ストーリーを皮肉っていて、ホラー映画よりもコミカルな映画だね。音楽がまた良かった。
【映画撮影 101 著:ジョージ・ターナー 訳:上村悦子】
<撮影監督 トム・アッカーマン インタビュー>
映画そのものに関して
「この映画は僕が台本で読んだとおりの奇妙な映画で、そういう風に作られた。これは大胆な筆法だと思うね」
「最初に台本を読んだとき、かなり突飛に思える部分がたくさんあって、それがそのまま作品に残っているんだ」
「映画を撮り始めてしばらくすると、それがよっぽど型にはまっているか予想のつくものでない限り、僕らは客観性をなくしてしまう。この映画にとりかかってみて、僕はいくつか面白い試みをすることになるだろうと思った。その点では期待を裏切られなかったね」
「これはホラー映画じゃなくて寓話だ。幽霊ばなしだよ。しかも非常に滑稽な要素を含んでいる。ウィットと皮肉に満ちていて、登場人物はとても克明に描かれているけど、決して人生の一断面の映画じゃない」
作品の全体像の決め手について
「率直さと、明確さと、そして単純さだ。使う色はわざと制限して慎重に選んだ。(中略)背景とか、セットとか、衣装の色についていえば、どうしてもキメたいという重要な要素の一つに黒があった」
「悪趣味を創造するのは難しい。真実味がなければならなかった。観客が納得できるものでなければね。とびきりナウくて、しかもその自然に逆らったイメージが滑稽に思えるほど貪欲で冷たいものでなければならなかった」
ビートルジュースのキャラクターについて
「根っからの卑劣漢ではないけど、一種の悪党だ。彼は現実の世界に来たが
っていて、その手段を探している」
「彼のメイクの最終的な風貌はとても青白くて、ところどころに緑がかったカビがはえていた。髪は道化役者がかぶるびっくりかつらみたいに逆立っていて、ちょうど高電圧の電流に感電したハーボ・マルクスみたいだった。それに見苦しい顎ひげがはえていたんだ。僕らはビートルジュースを、同じ場面に登場するほかの人物と同じように撮った」
「彼のシーンはたいていローキーで、ややおおざっぱで、飾り気がない。ビートルジュースの出てくるシーンは時々そっけない感じがするけど、それはそういう風に台本を書いて、そういう風に構想を練ったからなんだ。つまり、僕らはいわゆる古典的なホラー映画のライティングに走らなかったということだ。実際、この作品の裏の意図は恐怖ではなく、皮肉だった。だから怪奇映画の表現形式に頼ったり、それを借用することもあったけど、別の部分ではビートルジュースをとてもそっけなく描いたんだ。ここに何百年も生きてきた1人の男がいて、ポケットを地価の同居人とおぼしきヘビやゴキブリでふくらませ、他人の居間を歩き回っている――さて、それを視覚的にどう処理するか?時には型に逆らって遊ぶ方が面白いこともある」
「ビートルジュースはこの映画でただ一人の奇怪な登場人物じゃない。彼の脇役として、何人か非常に突飛なキャラクターが画面に顔を出す」
5,映画版ビートルジュース 日本語の批評抜粋
当時の雑誌でいくつか記事が載っていたので読んでいて面白かった箇所を抜粋。
【キネマ旬報 (通号1003) 著:大森望】
はっきり言ってこのキャラクター(ビートルジュース)は浮いている。ストーリー展開には全く不必要な人なのである。じゃあなんのために登場するかといえば、映画そのものを破壊するため。チラチラと見せて気をもたせ、最後の最後に華々しく表舞台に登場し、「It‘s a showtime」で何をやるかっていうと、あけてびっくり玉手箱、の人間遊園地。これはもう、のべつまくなしバカとしか言いようがない。その瞬間、それまでもっともらしく語られてきたお話は山のあなたにすっとんでしまう。(中略)
あぁ、この壮絶なまでのばかばかしさ。世界を破壊し尽くして恥じない潔さ。まったくお呼びでない人間の名前をタイトルにまでしてしまう勇気。
【キネマ旬報(通号994) 著:北島明弘】
幽霊を主人公にしたコメディだが、これまでの幽霊コメディの多くが人間の側から描いていたのに対して、幽霊になりたての二人のとまどい、怒り、人間との交流を中心にしているユニークな作品。
アダムとバーバラが、デリア、オーソらの体を支配して「バナナボート」を歌わせるシーン。(中略)このシークエンスは意外性にカリプソ音楽の軽快感がプラスされて、大いに笑わせてくれる。
ビートルジュースのキャラクターのユニークさ、面白さが映画を支えていると言っても過言ではなく、彼の登場時間の短いことが惜しまれる。
リディア、オーソのエセ芸術家ぶり、チャールズの金儲け主義を批判し、とどのつまりハッピーエンディングになるまでの構成もうまい。
6,日本版ミュージカルビートルジュース あらすじ(松竹HPより)
7,ブロードウェイミュージカル版ビートルジュース インタビュー抜粋
ブロードウェイミュージカル版ビートルジュースに関しても記事を見つけたのでインタビュー抜粋。
【ニューズウィーク 34(19) 著:メアリー・ケイ・シリング】
<脚本担当 スコット・ブラウンより>
「この映画は、子供を儲けずに世を去った夫婦が代わりの子供を求める物語だ」
「映画でのビートルジュースはストーリーの進行には関係ない。戦いの道具のような存在で、登場人物とすら言い難い」
→映画と同じ描き方では、ビートルジュースの魅力だけで2時間余りのミュージカルを引っ張っていくのは難しい。そこで、脚本とプロデューサーによりリディアとビートルジュースの関係をストーリーの中心に据えることにした。
アニメに関して。「子供向けアニメではあったが、時流に乗った作品で当時ネットでかなり話題になった」「ビートルジュースは、リディアの願い事をかなえてくれる魔法の精といった感じで描かれていて、次々と愉快ないたずらをしたり、魔法をかけたりする。」
「脚本を書いているときに頭を悩ませたのは、ビートルジュースがどんなふうに歌うのかという点だった。とても皮肉屋のキャラクターだから。でもエディーが『ザ・ホール・ビーイング・デッド・シング』を書いてくれた。テンポやスタイルが次々と変わるにぎやかな曲だ。このオープニングナンバーでビートルジュースは観客をすっかりとりこにする」
<演出担当 アレックス・ティンバース>
「(ミュージカル版の)リディアとビートルジュースは2人ともペテン師のような面があって、その腕を競い合う。端的に言えば、リディアは自分が死んでいたらいいのにと思っている女の子で、ビートルジュースは自分が生きていたらいいのにと思う幽霊だ。そんな2人の真っ向勝負が演じられる」
映画版ビートルジュースは、いかにもバートンらしいゴシックファンタジー調の美意識と奇想天外の仕掛けが満載の作品だった。ティンバースも視覚的な世界を追求する道を選んだ。
「バートンの大学時代のスケッチブックまで徹底的に研究して、彼の作品世界へのオマージュにした」(バートンはミュージカル版の制作に一切関与していない)
「(衣装担当のウィリアム・アイビー・ロングは)いろいろなストライプの研究をしていた」「直線的な縞模様、カーブのある縞模様、60%黒で40%白の縞模様といった具合だ。視覚的芸術の世界を追求した」
〇ワシントンのナショナルシアターでの試演に関して
評判は厳しく「色々な要素を詰め込みすぎで下品」とバラエティー誌でこき下ろされる。ティンバースは「ワシントンの観客は目が肥えているから、貴重なフィードバックをたくさん得ることができた」と語っている。 脚本のブラウンは「私たちはテンポの速い笑いを提供したいと思っていたが、アクセルを踏み過ぎて、観客を置いてきぼりにしてしまっていたようだ」と。
全体的な構成は維持しつつ、ジョークやアドリブは「下品なトーンを大幅に抑える一方でライブコメディー的な切れ味は残した」
また、ビートルジュースのキャラクターに深みを与える工夫を凝らした「なぜ彼がああいう行動をとるのか、なぜ彼にとってメイトランド夫妻とリディアが重要なのか、そしてリディアはなぜ死に執着するのか」を分かりやすく表現した。
〇ビートルジュースの哀愁について
ブラウン「ビートルジュースは滑稽な男だが、その内面には孤独がある。それはこの舞台のテーマでもある。人は生きているときは他人に囲まれているが、死ねば独りぼっちで忘れられてしまう。」
8,ビートルジュース 音楽に関して
リディア役の清水さんのTwitterから
生オーケストラなんですか!?めちゃくちゃうれしい。
松竹のサイトには作曲名としてブロードウェイミュージカルと同じエディ・パーフェクトの記載があるので同じものを使用するのは恐らく確定である。
CDもDEMO版とブロードウェイキャストによるレコーディング版が出ているので容易に聞くことができる。
オーケストラって言っているけど、たぶんドラムとかサックスもてんこ盛り系の豪勢なオーケストラなんだろうなというのが聞いた印象。バナナボートソングがあるから、民族楽器ぽいのもありそうかも。
歌詞を和訳して下さっている方を見つけて、大変参考になったので貼らせて頂く。
指揮と音楽監督は上垣聡さん。
福田雄一さん演出作品の音楽監督・指揮経験数がすごく多い方だな…!
ちなみに映画版ビートルジュースの方のサウンドトラックも発売されている。作中で聞いていて弦楽器やハープ、ピアノが活躍していて楽しい。
最後に
めちゃくちゃ好きだけど該当担じゃなくて石油王でもないので雑誌を1冊も買えていない。ジェシーのビートルジュース関連雑誌でいい記事あったら買いたいのでだれか教えて欲しいです🙇♀️ やっぱりananなんでしょうか?
今回福田雄一さんとかティム・バートンさんとかはあんまり触ってないので万が一調べたら追記します。
9,記事URLまとめ
松竹HP
6/1取材会記事
8/2ゲネプロ記事
10,引用参考記事 URL
キネマ旬報 (通号994)1988-11.キネマ旬報社. p163~163
キネマ旬報 (通号 997) 1988.11.15キネマ旬報社.p44~51
キネマ旬報 (通号1001) 1989-02.キネマ旬報社,pp187~189
キネマ旬報 (通号1003) 1989-02.キネマ旬報社,pp252~253
映画撮影 (101)日本映画撮影監督協会, 1988-07 p58~65
ewsweek =ニューズウィーク 34(19)=1644:2019.5.21 p.58-60
ビートルジュース - Wikipedia
ビートルジュース (ミュージカル) - Wikipedia
ベテルギウス - Wikipedia
https://natalie.mu/eiga/news/523946
ブロードウェイとは?(詳しく解説) | あっとブロードウェイ (at-broadway-musical.com)
Amazon.com: Beetlejuice (Original Broadway Cast Recording): CDs & VinylEddie Perfectの「Beetlejuice (Original Broadway Cast Recording)」をApple Musicで『ビートルジュース』楽しくないはずがない! | 自称指揮者・上垣聡 (ameblo.jp)
上垣 聡|カンパニーAZA (co-aza.net)
8/10 追記・編集済み