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ストイックのストイックな勘違いの話
「喧嘩するほど仲が良い」と言われるけれど、あれは嘘だと思う。「仲が良いから喧嘩する」ならまだどうにか分かるのですけれども。どうにか。
「ガス抜き」だとかも言うけれども、それもどうなのかなあと思ってしまう。抜かなきゃなんないガスなんて、いったいどこに溜まってるんだろうと思ってしまう。
俺は、北風と太陽の話を信奉しています。
昔、スポ根メロドラマ的なドラマが結構ありました。記憶にあるのが「スワンの涙」。確か宮沢りえが主演の、プールで何かする話だったと思いますけれども。あとは、堀ちえみがスチュワーデス(当時の呼称)になるとかならないとかのドラマも。…とにかくそういう類のドラマが結構あった気がします。
男性コーチみたいな奴が
「なんだお前!お前の気持ちはそんなものか!」
みたいな事を何か物を投げつけながら言って、半ば虐められているくらいの仕打ちを受け続ける主演の被害者女性が
「コーチ!私まだやれます!」
みたいな。そういう感じだったと思います。そして他にも、ドロップアウトする仲間の被害者を止めようとして主演の被害者が云々とか、なんか無茶してアキレス腱が切れるとか、更衣室に置き忘れたノートを見つけて被害者達の事を実は加害者コーチはこんな風に思ってくれていたのだとか…。そういう感じの。
こんな書き方をすると、批判的な視点なのだろうと思われてしまいそうですけれども、実はそうではありません。どちらかというとドライな方の人間でもないので、気合いとか大好き。根性とかも大好きですし、叩かれて鍛えられるのも時には燃えます。(ちなみに、オーラとか波動とか、そういった類の事とは距離を置いてお付き合いしたいタイプです。)
「お前!この野郎!」
と、怒りの感情剥き出しでガツンと言われて初めて愛情を感じるという人もいます。あえて書くと、強い感情で表現をされないと愛情に不安を感じてしまう人がいます。同じように、苦しみや辛さがないと達成感を味わえないという人もいます。こういうのって「苦しみ依存症」のようなものだなあと思うわけなんです。関係ないようで、とても似た2つだと思います。
20代の頃、自分にも同じような感覚があったんですが、あんまり良かった試しがないなあというのが個人的な感覚で、結局成果に結び付かなかったり、一つ一つの出来事を妙に重たく受け止めるようになってしまうので、結果的に腰が重くなりがちでした。
ある日、ある先輩を側で眺めていて
「ああ、この人はいつも楽しそうだな。確かに楽しめないと続けていけないよな。」
と気づきました。上手くできない事にも「面白い!」とか言いながら向き合ったり、多少の失敗も楽しそうにリカバリーしたり。こういうマインドが大事なんだなと、本当に急に分かったんです。
この「苦しみ依存症」というやつには、案外色んな局面で出会います。何かやる度にドラマチックに脚色されるっていうのは面白い事ではあるのですけれども、何事もサラッとやるのが一番良いかなと思うわけなんです。笑いながら凄い事をやってのけるから凄いわけで。そして、好きなもの同士が一緒にいる時には、できるだけいつもニコニコしてる方が良いなと思っています。笑いながら仲良くしているのが一番なわけで。
何かに向かって頑張ってれば、買ってまでしなくとも若い頃は大抵苦労するものだと思うし、わざわざ親ライオンが突き落とさなくても、子ライオンは勝手に千尋の谷に落っこちるんじゃないかと思います。わざわざ何もやらなくても、人生は厳しい。それが分かっている人が良い人間なのだろうと思っています。
今日は何だか自己啓発本かのような事を書いてしまっていますが、別に教訓じみた事を偉そうに書きたかったわけではなく、あくまで個人的な備忘録的なつもりです。
しかし、なんだかんだいって、苦境ですら楽しそうにしているようなクレイジーな人間が一番強いよなあと思ってしまうわけです。