米国視察レポ 透明性の高い不動産マーケット 中古物件内見&エスクロー訪問
ファイナンシャルプランナーの吉岡奈美です。
2017年秋に訪れたオースティンでは、現地不動産会社にアテンドしてもらって実際の売買物件を見学させてもらいました。今回は、中古物件を安心して取引できる透明性の高い不動産マーケットの仕組みと、実際に物件見学をした時の様子をnoteしたいと思います。
不動産活況の様子はこちらをご覧ください。
全米の約8割が中古不動産
アメリカはゾーニングと呼ばれる州や都市ごとに決められた土地開発や建物の建築についての規制が厳しいため、新築物件の数がとても少なく、ほとんどが中古物件だそうです。そして厳しく規制されている理由は、不動産の資産価値を守るためだそう。
日本で家を買うことはよく「一生に一度の買い物」と言われますが、アメリカ人は売ることを前提に購入するそうです。ライフステージによって住むところや家の大きさを変えることはアメリカ人にとって当たり前のことのようでした。
取引の透明性を保つ
豊富な物件情報
売ることを前提に購入しているため、自宅の時価を知ることは多くの人にとって大切です。その為、リアルタイム かつ 簡単に不動産情報を入手できるシステムが充実しています。
MLS=レインズのような不動産業者向けデータベース
Zillow, Trullia, LoopNet = オンライン不動産売買情報サービス
例えば、Zillow でオースティンの戸建てを検索するとこのように表示され
個別物件情報で、想定売却価格や取引履歴, 不動産税額, 周辺の物件価格相場, そして学区等の細かな情報まですべて閲覧できるようになっています。
このように、広く情報公開された透明性の高い環境が整っているのです。だからこそ、安心して中古物件を売買することもでき、住宅を大切に維持管理して資産価値を高く保とうという意識を持つことにもつながっているのだと思います。
翻って日本の不動産取引を思い起こすと、不動産業者と一般の人たちの持つ情報量にかなり差がある不透明な環境と言わざるを得ず、そのことが日本の不動産投資リスクを大きくしている要因となっています。
オースティンの物件見学
不動産業者 Tillery Maetin Castilloオフィス
とっても素敵なたたずまいでした。
見学させてもらったのは2つのコンドミニアム。1つ目は、ダウンタウンの南側・コロラド川を渡った先の物件でした。
広々とした中庭やプール、そしてBBQグリルなどもあって共有スペースが充実しています。
2017年当時、あとから日本の業者に確認したところ 築51年1bet/ 1 bath 60㎡弱 初期費用込みで 約2100万円。表面利回り 約9%, 実質利回り 約5%くらいになるとのお話でした。
2つ目は、テキサス大学北側の物件で、主に学生さんが入っているコンドミニアムでした。
爽やかな水色のトリミングがおしゃれな外観
こちらの共有スペースにもやっぱりBBQグリル
学生向けらしい こじんまり&シンプルな物件です
バス停が目の前で利便性も抜群
こちらはざっくりと1000万くらい 表面利回り10%弱のようでした。大学から近くて利便性の高い学生向け物件は、入居者が卒業しても入学生がすぐに入るので空室率が低く安定した賃貸収入が得られると、アテンドしてくれた女性が話してくれました。
日本でも数年前からアメリカの物件へ投資することが流行してきていて、問い合わせも増えています。この時不動産の視察が叶ったのも日本の業者さんに紹介して頂いたからです。
不動産取引の安全性を担保する
エスクローエージェント
もうひとつ、アメリカにはエスクローという安心して不動産取引を行える仕組みが整っています。
お話を聞かせていただいた
WALLY TINGLEY&ASSOCIATES
エスクローとは、米国政府の認可を受けた専門業者による第三者機関で、売主と買主の間に入り、代金決済の受渡しや 物件の調査から登記までを請け負います。
エスクロー(escrow)とは、商取引の際に信頼の置ける第三者を仲介させて取引の安全を担保する第三者預託である。1947年にアメリカ合衆国カリフォルニア州にて不動産取引の決済保全制度として発祥し、西部諸州の各州政府の法律に基づく制度として歴史がある。
典型的な利用はアメリカの個人住宅を含む不動産売買に見られ、エスクローは不動産の名義変更登記が完了するまで売買代金を預かり、登記変更手数料や固定資産税の日割り、ローンがある場合の日割りの利息や不動産仲介業者の手数料等一切の費用を控除した上で売り手に正味代金を払い、もし余剰金があれば買い手にその分を返金するなどの精算業務も行う。もし原登記の名義が違っていたり予定外の抵当権がついているなど取引に故障があれば、当然代金の支払いはなされない。
仲介するエスクローエージェントは、手数料を取ることで利益を得る。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本のように1業者が売主と買主の両方を仲介をするようなことはほとんどありません。
お話を伺ったBrownさん。日本になく しかも法的なお話だったので難しかったですが、ゆっくり丁寧に説明して下さいました。海外からでも、電子書類のやり取りで済むそうで、日本からの依頼もいくつか請け負ったことがあるそうです。
まとめ
オースティンは過去のnoteでもお伝えしているとおり、とても人気が高く、経済的にも成功している都市といえます。そのため不動産投資物件として考えた場合の魅力はキャピタルゲインにあるのだと感じました。
米国不動産の約8割を占める中古物件売買は、売主と買主がリアルタイムに正確な物件情報を入手できる仕組みと、きちんと法制化されたエスクローを通しての契約で安全性が担保されていることに支えられています。
なんとなくお互いいいようにやりましょう。という、100万・200万円という単位で物件価格が交渉できる性善説?に則った日本的な取引も個人的にはキライではないのですが、FPとして資産管理をするという観点でみると、アメリカのように法制化され、透明性のある流通経路が確立されているほうが資産として管理しやすいと思います。
5G時代も目の前で、世界はどんどん狭くなっていきます。そろそろ資産運用先に日本以外も積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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