嘘とパワー
コルクラボnote部活、2作目!です。
トランプ大統領の誕生以来、アメリカのことが気になって仕方がない。
トランプさん、普通にバレバレの嘘を言います。それでも支持率は40%、共和党支持者にいたっては支持率80%。ロシアとの癒着で周囲の人物が次々に起訴されても、不倫相手のポルノ女優に口止め料を支払ったことが暴かれても、全否定したり発言をコロコロ変えたり捜査当局や野党やメディアのせいにするだけで逃げおおせる。いったいなぜ。
その疑問への一つの回答となる動画を、ほぼ日CFO・篠田真貴子さんのフェイスブックで見ることができました。米有力シンクタンク・ランド研究所による「嘘の消防ホース」分析が紹介されています。虚偽の情報でも、消防ホースで大量にシャワーのように浴びせかけると、世論形成に効果があるという分析です。
この分析は、トランプ政権ではなく、ロシアのプーチン政権によるプロパガンダを研究したというのがミソ。動画を解説する篠田さんの投稿はこちらです。
1. 大量の嘘の情報を
2. 速く、続けて、繰り返し、出す
3. 事実かどうかは気にしない
4. 一貫性があるかどうかも気にしない (言うことが一変しても知らんぷり)
あれ?? これって、トランプ政権にもあてはまる・・・??
動画の後半では、3.と4.について、ロシア系アメリカ人のジャーナリストが解説します。
事実や、発言の一貫性を一切気にしないことで、プーチン大統領やトランプ大統領は「自分は何にも縛られないパワー、権力があるのだ」と誇示していると言うのです。
信頼性とか誠実とか、関係ない。事実をすべて相対化することで、すべてがポジショントークになる。「あいつら」を信じるか、「私」を信じるか。「あいつらは嘘つきだ、私を信じろ」とトランプさんは言う。
トランプさん、びっくりするぐらい次から次に、嘘と誇張とメディアへの根拠なき罵倒を繰り返します。全米各地で開く支持者の集会で、会場後方に居並ぶテレビカメラを指差して「あいつらはフェイクでおぞましい(disgusting)ニュースだ」「あいつらは完全に信用ならないクズ(scum)だ」と言います。「フェイクニュースは人民の敵だ」と言います。先週には、トランプ氏が名指しで批判した新聞の記者の殺害予告をした男が逮捕される事件も起きた。
こうした手法に対して「ファクトチェックは無力」だと、動画は指摘します。
だって、対抗策にならない。すべてのファクトは相対的だと思ってしまった人たちに、「大統領の言うことは事実と異なる、嘘だ」と言っても、意味をなさないのです。
「ファクトチェックは無力」
そう、いくらメディアがそこで頑張っても、世論は変わらない。高潔な政治家や知識層やコメディアンたちがどれだけトランプ大統領の嘘を批判しても、笑いのネタにしても、大統領の支持率はびくともしない。
トランプ政権の支持層のインサイトに耳を傾け、その悩み・怒り・悲しみに寄り添うような地道な活動に、希望を見出すしかないのだろう。しかしそれは、遠回りで、なかなかお金にならない道・・・・・
インターネット時代に商業ジャーナリズムはどうあるべきか、アメリカでも日本でも、あるいは世界中で、まだ答えは出ていません。
だからこそ工夫の余地がたくさんあるし、いろいろな人がいろいろな挑戦をしている。日本でも、実際に考えて動いている人たちが何人も何人もいる。
自分も、もっともっと考えて動かなきゃ。
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