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積算という仕事

 設計事務所で公共施設の建物を設計すると、「積算」という仕事がある。設計図面を作成した後、その建物が、どれくらいの工事費で建設することができるか、計算する仕事だ。

 「積算」には、「拾い」と「単価入れ」という作業がある。

 「拾い」というのは、どれだけの材料がいるのか、コンクリートが何m3か? 鉄筋、鉄骨が何トンか? 壁紙や床材や、その下地材が何m2いるのかを、ひとつひとつ、測って数えて足し合わせていく作業だ。プログラムに入力して算出したり、手計算で出したりする。

 「単価入れ」というのは、その材料費や加工手間賃、取り付け費、運搬費を調べて入力する作業だ。費用を調べるには、見積を同じ製品で3社以上とったり、その時の時価を記載した刊行物などを参照する。

 そして、それらをまとめ上げ、全体工事費を算出する。

 設計図面を描くことに比べると、かなり地味な作業だ。積算が苦手な建築士も多い。建築学生の時はこんな仕事があるなんて思いもしなかった。
 ただ、これをやると、どういう順番で建物が建っていくのか、どんなところにお金がかかるのかが、よくわかる。

 役所物件の納期はほとんど年度末。そう、この3月が納期で、現在、私が在籍している設計事務所は、ほぼ全員が積算に追われている。

 私も今、鉄骨の数量を拾ったり、見積りの段取りに追われている。そんなに嫌な作業ではない。時間に余裕さえあれば・・・。積算は設計業務の最後の仕事。図面に時間がかかり、スケジュールがどんどん遅れてきても、納期は変えてもらえない。いつも焦って必死に仕上げるのが積算。

 積算も、構造設計もできる建築士って、そんなにいないんじゃないかな?と、頑張れ!わたし!と自分で自分を励ます・・・

 明日から3月。

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