日向坂46のメンバーには、MBTIじゃなくて特性論の診断も受けてみてほしい話
メンバー内でMBTI、流行ってますよね。診断結果をブログやメッセージなどで公開しているメンバーもいます。
そんな MBTI などの性格診断ですが、大きく「類型論」に基づくものと「特性論」に基づくものとに分けられるようです。MBTI は類型論に基づくようなのですが、アイドルはよく、
「自分の強みや個性、『私と言えばこれ』みたいなものってなんだろう?」
というような問いに向き合うことが多いので、類型論よりも特性論に基づく検査を受けてみたほうがより自分のことを理解できるんじゃないかなと思っています。そんなことについて話すのがこの記事です。
さっそくですが、まず類型論と特性論の違いについて見ていきます。
類型論の性格診断
概要
類型論は、人をいくつかの特定の性格タイプやカテゴリーに分類する方法です。人の性格が数種類の類型に大まかに分けられ、どれか一つの類型に属すると考えます。MBTI もこの類型論に基づいています。
雑にポケモンで例えると、「みず」「くさ」「ほのお」みたいなタイプで分けるようなイメージになりそうです。
メリット
分かりやすさ: 人を明確なカテゴリーに分けるため、理解しやすく、覚えやすい
コミュニケーションの促進: 自分や他者がどの類型に属するかを知ることで、コミュニケーションの取り方を調整しやすくなる
自己理解: 自分がどの性格類型に属するかを知ることで、自己理解を深める手助けになる
デメリット
過度の単純化: 個々人の性格の複雑さや多様性を過小評価し、人々を狭い枠に当てはめる傾向がある。
固定観念の強化: 一度特定の類型に分類されると、その類型の特徴に縛られることで、個人の成長や変化を無視する可能性がある
個人的な所感
類型論は、そのメリットである「分かりやすさ」や「コミュニケーションの促進」の観点からして、 マネジメントやマッチングにおいて、チームのバランスを見たり、相手との相性を測ることに向いているような印象があります。実際、メンバー同士でも「私の◯◯◯◯はあの子の◯◯◯◯と相性が良い」みたいな話をよくしてますよね。
以前に投稿した以下の記事も「メンバーをいくつかの類型に分類してそのバランスを見る」というもので、類型論に相当する考え方だと思います。「特性」という言葉を使ってるのでややこしいですがやってることは一緒です。
特性論の性格診断
概要
特性論は、性格を形成する個別の特性や属性の組み合わせとして捉える方法です。
雑にポケモンで例えると、「こうげき」「ぼうぎょ」「とくこう」「とくぼう」「すばやさ」「HP」などの特性や、覚えられる技の組み合わせなどを考えるようなイメージになるかと思います。
メリット
個人差の詳細な把握: 個人の性格をより詳細に、微妙な差異を含めて把握できる。
柔軟性: 人々の性格が時間と共に変化することを認め、その変化を捉えることができる。
デメリット
複雑性: 多数の特性を考慮する必要があるため、理解や解釈が難しくなることがある。
個々の特性の影響を過小評価: 個々の特性がどのように組み合わさって全体の性格を形成するかの理解が不足している場合がある。
個人的な所感
メリットに「個人差の詳細な把握」とあるように、「具体的にどういう力が自分は強いのだろうか?」が詳細に分かるので、類型論よりも自分の解像度が上げやすい印象があります。
自分は5年ほど前に「ストレングスファインダー」(有料)を受けたことがあるのですが、34個の資質それぞれがどの程度強いのかを測定し、それをランキング付けしてくれます。なのでパターンとしては34の階乗(34 x 33 x 32 x … x 1)通りあることになります。さらには34個の資質は4つの領域(実行力、影響力、人間関係力、思考力)のどれかに属するようになっているので、
「ランキング上位は◯◯の領域が多いけど、下の方は△△の領域が多いな。◯◯のようなことが得意で、△△系は苦手なんだな」
というような傾向も分かります。このような微妙な違いまで理解できるのが特性論の良さですね。
以前に「ついやってしまうこと:才能」について以下の記事を書きましたが、こちらも特性論的な考え方になると思います。
特性論も受けてほしいと考える理由
こちらの記事にメンバーのMBTI診断結果がまとめられているのですが、類型が同じメンバーと、その類型と相性がいいメンバーを以下に抜粋します(敬称略)。
INFP(仲介者):加藤史帆、岸帆夏、平岡海月、山下葉留花
相性が良いESTP(起業家):石塚瑶季
ISTP(巨匠):小西夏菜実、渡辺莉奈
相性が良いISTP(巨匠):宮地すみれ
ESFP(エンターテイナー):正源司陽子、藤嶌果歩
相性が良いENTJ(指揮官):金村美玖
こんな感じです。「いや、最新の情報だとこの子はこっち」とかあると思うんですが、言いたいのは「同じ類型に誰が並んでも、結局同じ子にはなり得ないよね」ということです。
たとえば INFP に並ぶメンバーを見ても、個々にフォーカスすればそれぞれ全然違う個性を持ってますよね。持ってる力も得意な領域も作用のさせ方も全然違うと思いますが、類型で見ると似てるということになります。
また、ESFP の正源司さんと藤嶌さんについては以下の記事でその違いを述べ、いくつか共感の声もいただいたのですが、類型としては同じでもやはり個にフォーカスすると異なる点は多いように感じます。
類型論のメリットで述べた「コミュニケーションの促進」は、「自分や他者がどの類型に属するかを知ることで、コミュニケーションの取り方を調整しやすくなる」というものでした。なのでマネジメント的な観点から、
「INFPのメンバーにはこういうコミュニケーションが良いのではないか?こういうことをチャレンジしてもらうのがいいのではないか?」とか、
「INFP なので ESTP と組み合わせるといい成果が出るのではないか?」
という参考にはなると思います。しかし一個人、たとえば加藤史帆さん自身が自分を見つめ直すときに利用しようとしても、解像度が粗くて使いづらいということになりそうです。なぜなら貰える情報が岸帆夏さん、平岡海月さん、山下葉留花さんと全く同じになるからです。
雑にポケモンで例えるならば、類型論的に「みず」タイプで一括りにすることは可能で、「このメンバーはみずだから、ほのおタイプには強いけどでんきには弱い。でんき対策としてじめんタイプと一緒にパーティを組むか」みたいなことは考えられると思います。
しかし一方で、個々のポケモン自体の戦い方はタイプだけではなんとも言えません。「こうげき」「ぼうぎょ」「とくこう」「とくぼう」「すばやさ」「HP」のどれが高いのか、覚えられる技は何なのかで立ち回りが大きく変わります。「こうげき」が低く「とくこう」が高いポケモンに物理攻撃技を覚えさせたらもったいないですよね。あるいは、「すばやさ」が低いポケモンに「すばやさ」が高いことを前提とした立ち回りをさせても良い成果は出ないはずです。得意なことにフォーカスして、得意を活かす立ち回りをしたほうが自然ですね。
冒頭でも話しましたが、アイドルはよく
「自分の強みや個性、『私と言えばこれ』みたいなものってなんだろう?」
という問いを自分に投げかけることが多いです。これに答えるには、自己を深く理解することが不可欠だと思います。とすると、特に管理的な目線に便利な類型論より、自己を詳細に把握できる特性論のほうが向いているんじゃないかと思っています。もっと言えば、それぞれのポケモンが「タイプ」と「ステータス」でその立ち回りを考えるように、類型論と特性論を組み合わせて自分を分析したほうがより良いのかなとも思います。
実はネットのMBTIはMBTIではない
ところで、MBTI の公式サイトに声明があるように、おそらくメンバーがネットで無料で受けているだろう「MBTI」は「MBTI」ではなく、「16Personalities 診断テスト」だと思われます。
なぜこれが「MBTI」と呼ばれているか(誤認されているか)については以下のようなインタビューがありました。
16タイプの分類というのは、メンバーが「INTJ」とか「ESFJ」とか「冒険家」とか「主人公」とか言ってるやつですね。
では MBTI と16Personalities はどう違うのかというと、だいたい以下のようなことみたいです。
理論的背景: MBTIはユングの心理類型に厳密に基づいていますが、16PersonalitiesはMBTIとビッグファイブの要素を組み合わせたものです。
次元: 16Personalitiesは、MBTIの4軸に「アサーション/タービュレント」という新しい次元を加えています。
アクセス性: MBTIは通常、有料であり、資格を持つプロフェッショナルによる解釈が必要ですが、16Personalitiesは無料でオンラインでアクセスでき、即座にフィードバックを得られます。
使用目的: MBTIは職業的な環境や個人開発に重点を置いていますが、16Personalitiesは一般的な性格理解と自己認識の向上を目的としています。
公式MBTIサイトにも書いてるように、ほんとの MBTI は MBTI 専門家の支援を受けながら分析を進めるものです。なのでちゃんとした類型論の検査を受けるために、
「ホンモノのMBTI受けてみた」
みたいな動画を日向坂ちゃんねるでやってみても面白いかもしれませんね。(「MBTI はそういう見せもんちゃうねん」という指摘はある気がしますがただのジャストアイデアとして。)
まとめ
アイドルによくある「自分の強みや個性、『私と言えばこれ』みたいなものってなんだろう?」という問いに答えを出すには、詳細な自己理解が必要
それにはMBTIなどの類型論より、特性論のほうが役立ちそう
組み合わせればもっとええかもわからん
という話を書きました。
領域としては専門外なので変なところがありそうですが、もし何かあればご指摘いただけますと幸いです。
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