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予感がある

頭が良い人が好き

私は頭が良い人が好きなんだ、と気付いたのは中学生の頃だったと思う。
同性のグループ内に話すこと全てが面白い子がいた。その子は運動部で生徒会にも入り、テストの順位もいつも1桁だった。
その子のことが好きだった。思春期によくある、私って同性の子のことも好きなのかも、と勘違いする程に。
その子は地元で一番の進学校に進み、私は別の高校に進んだ。それからも連絡を取り合い、私はその子と同じ大学に行きたいとすら思った。
だって、とにかく一緒に居て楽しかったから。昨日見たテレビの話、日常の何気ないひとコマの話、クラスの人の噂話。どんな話題だって彼女は独特の視点を持っていて、私が考えもつかないような発想で話を膨らませていく。それを聞いて、時に同調し時に反論する時間が延々続けば良いと思った。

結局、彼女と私は別の大学に進んだ。彼女は県外の、都会の大学へ。私は県内の私立大学へ。それでも連絡は取り合った。

彼女は大学卒業後に地元に戻って来て、地元企業に就職をした。意外だった。そのまま都会の有名企業や、公務員にでもなるのだろうと思っていた。だって彼女は頭が良くて私の何倍も優秀だったから。

彼女が就職した地元企業は、どうやらいわゆるブラック企業だったらしい。彼女は数年して、仕事を辞めた。今は医療事務をしている。

だから今、地元に戻ると彼女に会える。それが嬉しい。彼女は何者にもなれなかったのかもしれない。結婚する気はないと言い、親を泣かせたらしい。私は安心した。地元という鳥かごの中にこのままずっと居てくれれば、いつだって望んだ時に会える。彼女の仕事はそんなに忙しくないから、会いたいと言えばいつでも会ってくれる。

この前会った時、「この前地元の広報誌に載ってた川柳がさ、隣の家の野菜の苗が塀を超えて伸びてきて夏だなって感じる、ってやつでさ。マジで夏を感じる時って、そういうのが良いんだよ。そういうのがさ、最高なんだよ」そう穏やかに言っていて、やっぱりこいつ最高だなと思った。

まあそんな感じで頭が良い人が好き。頭が良い人という言葉はちょっと違うかも知れないけど。
で今仮交際してる人もちょっとその友人に似てるんだよね。きっと彼と付き合っていくなら男女の仲というより友人の延長線上になるんだろう、という予感。

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