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アルパカとわたしのこと 「情報不足の中でアルパカを愛でる生活」

このタイトルはどういうことかというと、2004年にアルパカという動物にハマってしまったのだが日本では全然認知されておらずむしろ日本にも居ないようなので、どうやってアルパカを愛でていたのか。という話である。

海外に行くような行動力はない

2005年、私は26歳。転職して落ち着き、正社員として頑張っていた頃だ。
制作会社でパンフレットやWEBのディレクション業務をしていて、やりがいのある仕事でとても充実していた。時間を見つけては同人誌でギャグ漫画を描き年2回コミケに売りに行って、プライベートもオタク活動で忙しくしていた。

さてアルパカだが、ネットで仕入れた情報によるとアルパカはペルーが原産ということが分かった。だけど全く海外に行きたいと思わない人間だったので、「海外に会いに行く」という選択肢はまるでなかった。仕事もプライベートも忙しいし。そう、わたしは出無精でめんどくさがりな性分なのだ。
そんな頃、愛知県では「愛・地球博」が開催。調べてみると南米のパビリオンがある…ということは海外に行かなくてもアルパカチャンスがあるかもしれない。勤め先は名古屋だったので近いし。
友人を誘ってアルパカチャンスに一縷の望みをかけて万博のチケットを予約した。

万博でメニーメニーアルパカ

だいぶん前の記憶なので、南米のパビリオンがどんなだったかはあまり覚えていないが、南米の国々が大きな1つの建物のなかでエリアごとに展示が分かれている感じだった。
キョロキョロあたりを見回すと、大量のアルパカの群れが写っている大きな写真のパネルが目に飛び込んできた。初めて見る写真だー!(PCの検索ではアルパカの写真がそんなに無くて見飽きていた頃)
パネルの方へ近づいていくと、外国の男性が立っていた。南米のどこの国の人だろうか。展示エリアには「ボリビア」とあった。ボリビア?…ペルーじゃないんだな。
私は陽気なキャラでもないしどちらかというと人見知りだし、外国の人に話しかけるのはさらに難易度が高い。でも、どうしても聞きたい。

「あ…アー…メニーアルパカ?」
とっさに出てきたのはそんな単純な英語だった。
だけどボリビア人の男性は、ぱあ!と笑顔になって
「オー!メニーメニーアルパカ!」
と言ってくれた。
いるんだ!しかもメニーいるんだ!ボリビアに!アルパカが!
とにかく嬉しかったのを覚えている。写真とPCの検索と脳内でしか居なかったアルパカが南米にボリビアにしっかりと存在していたということと、外国の人と今、「アルパカ」で繋がれた事実。
ボリビアの男性も、遠く離れた異国の国でアルパカに興味のある日本人が現れたことを嬉しく思ってくれたようだ。(実際他の国のパビリオンよりもとても空いていた)私の右手をおもむろにとり、手の甲にチュとキスをして「ユアビューティフル!」と言われた。ナンパなのか?
でも26歳の時の私は(ボリビアではモテる顔なのかもしれない。ボリビアに行くのもいいな)と思ったことを覚えている。
結局、愛・地球博ではアルパカのお土産がなにか買えるかな?と思ったけれど何にもなかった。写真パネルとボリビア男性のキスしか収穫はなかった。

近場で探した鋭い目のアルパカ人形

車の運転も得意ではなかったので、そのころの私の行動範囲はとても狭かった。そんな行動範囲のなかで、なにかアルパカチャンスがないか?と目は光らせていた。小さい頃からよく行っていた「野外民族博物館リトルワールド」(愛知県犬山市)にそういえばペルーの館があったはず。盲点だった。
ペルー領主の邸宅が復元されており、その一角にちいさな売店がある。
アンデス土産が置いてあり、そのなかにやっとアルパカの人形を見つけた。
アルパカの原毛を使った小さな人形だ。
ただ、私が初めて写真でみたような可愛らしさはなく、目がイカつい。目が怖い。

手元にあのころの人形がないので絵にしてみた。

ちなみに「あのころ」から「今」の間の「過渡期」バージョンも存在する

現在のアルパカ人形はかなり進化して、とてもとても可愛い容姿になっているがこの頃のアルパカ人形は人をまるで信用していないような鋭い目をしていて「コレジャナイ」感がすごかった。海外の民族土産感がハンパない。

でもその頃はそれでも大満足して、会社のデスクに飾って仕事の癒しとして大活躍をしたのだった。

アルパカの情報は不足しつつも、日常の中になんとかアルパカを探し出してひっそりと愛でる。そんな日が数年続くのだった。

つづく


次回「日本にアルパカがいることを確認」です。お楽しみに。

このマガジンはアルパカのことやアルパカとわたしのことを綴っていくエッセイです。週1の更新でやっていきます。いつか本にできるぐらい溜まったら、ZINEにしたいと思っています。
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なめみそ | sunokko design
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