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2022年5月1日 16:29
神保町は本の町。その片隅の裏路地で、私はBARを営んでいる。あえて読書BARとは謳っていないが、この町の裏路地の店にやってくる客は、たいてい本が読める落ち着いた空間を求めていた。今夜も常連の客が、カウンター席に一人とテーブル席に一人。それぞれいつもの酒を飲みながら、本の世界に没頭している。そして若い女の客が一人、テーブル席で文庫本をめくっていた。『カランカラン』カウベルが小気味良い音を立