20,11,23。プロレスから格闘技へ⑦
「フジテレビがプライドを契約解除」のニュースを知った時の印象は「まぁ大した影響は無いだろう」でした。既にプライドは安定した観客動員力を持っていましたし地上波による放送が無くなってもさして影響は無いだろうと思っていた為です。
ところがあれほどの栄華を誇ったプライドは地上波契約打ち切り後、坂を転げ落ちるように崩壊へと向かっていく事になります。
契約解除の理由として挙げられた「不適切な事象が確認された」という一文が反社会的勢力との関係を指しているとの報道が週刊誌等で書き立てられ、その破壊力は想像以上にクリティカルな威力を持っていました。
人気選手をつなぎとめる為のギャラの高騰。肥大化したイベントの派手な演出にかかる巨額の経費。プライドは「お客を呼べるが出てゆくお金も巨額」な状態となっており、巨額の放送権料やスポンサーからの出資無しでは成り立たなくなっていたのです。
自力による団体の継続が困難となったプライドはUFCに売却されます。
2007年のPRIDE.34がDSEによる最後の大会となり事実上プライドという団体は消滅しました。
売却先のUFCによるプライドイベントの継続に一縷の望みはありましたがそれはかなわぬ夢でした。プライドに関する権利を取得したUFCは「大会の継続は不可能」という判断を下したのです。
フジテレビの突然の契約解除やUFCが権利を購入したにもかかわらず継続を断念せざるを得なかった本当の理由は長く「噂される」レベルの報道にとどまっていました。当時の格闘技関係者の間で「プライドの解散理由には触れるな」とされ、詳細をマスコミに語る事はあまりにもリスクが高く、ぶっちゃけヤバすぎるとされていた為です。
時が経ち最近ではかなり具体的な証言も見られるようになりました。
「2000年の桜庭和志」でもUFC関係者の証言としてプライド継続断念の理由に「ジャパニーズマフィアの横行と介入」があった旨の記載があります。
とはいえ当時の詳細等はいまだ文字通りの闇の中となっており解散から10年以上の月日が経過した現在でも証言は極僅かです。当時の日本人関係者がその詳細を語るにはあまりに闇が深いという事なのでしょう。新生UWFの解散理由について関係者が詳細を口にするまで30年近くかかっているところを見ると自分が生きているうちに真相を目にすることはちょっと難しいかもしれません(笑)
栄華を極めたプライドの崩壊から日本での格闘技イベントの地上波放送の機会は減りましたが総合格闘技自体が下火になったわけではありません。
団体としてはUFCの一人勝ち状態ではあるものの、きっちりとした階級分けや厳密なレフェリングによって総合格闘技は完全にスポーツのジャンルとして認知されています。
プロレスファンの目線からすると現在のUFCの試合は健全過ぎるきらいがあるようにも見えますが、本来競技とはそうでなければならないと思います。
プロレスから総合格闘技へのタイトルで書いてきましたが次回から「プロレスファンだった自分の思い出に残る総合の試合」について書く事で締めようと思います。まだ進化の過程にあった時代の印象に残る試合について書いてみようと思いますのであ楽しみ頂ければ光栄です。
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