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20,11,19。プロレスから総合格闘技へ③

K1の主催者として知られた石井館長と新日本プロレスからお役御免扱いされていたアントニオ猪木の両名をブレーンとして引き入れる事で立ち技系選手とプロレスラーのさらなる参加を実現させたプライドはますます時代の波に乗っていきます。

さらにホイラー、ヘンゾとグレイシーの実力者を立て続けに撃破して見せた桜庭の人気と実力は看板選手として相応しいレベルに成長を遂げ、プライドは盤石の体制を築き上げる事になりました。

この時期に厳密な階級制やジャッジの中立性等で競技団体としての充実を図る事が出来れば以後囁かれるようになる「札びらで選手の頬をひっぱたいて使い潰す」などの悪評を得ることは無かったでしょう。

観客動員は順調に増加し、流れ込む利益が増加した事でプライドはかつてのプロレス団体のごとく有望選手の引き抜きやさらなる燃料としてのプロレスラーの投入に拍車をかけていく事になります。

外人選手の引き抜きに関しては「好待遇を提示しただけ」という建前が成り立たないでもないのですが、明らかに総合格闘技への対策が不十分なプロレスラーをリングに挙げての血祭りカードは個人的にかなり不愉快に映ったことを記憶しています。

PRIDE.10でのハイアンvs石澤(もともと素養の有った石澤は後にきっちりリベンジしましたが)PRIDE.11での谷津vsグッドリッジなどは「一回でつぶれてしまってもそれはそれで…」的なニュアンスが露骨に感じられます。

「出れば負け」的にとらわれがちになりつつあったプロレスラー参戦でしたが猪木子飼いの小川&藤田の様に適応力を見せて活躍するレスラーも存在したのは救いだったと言えるでしょう。両名に共通するのはどちらも柔道とアマレスというしっかりしたバックボーンがあり、なおかつ通常のプロレスでの試合が少々(?)しょっぱかったという事でしょうか(笑)

話題性のあるカードの連発とヴァンダレイ・シウバやイゴール・ボブチャンチンといった外人選手が頭角を現し始めた事で勢いに乗るプライドは試合における選手の安全性を無視するかのようなルールを採用します。

4点ポジション(両手足をマットについた状態)相手への打撃の解禁は安全面とプライドならではのある意味無差別級に近いカード編成においてあまりに危険な愚策だったと言っても良いでしょう。

そしてその「エキサイティングな試合展開重視」というルール変更はプライドを牽引してきた立役者である桜庭をも蝕むことになっていくのでした。

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