音MADMyReview『㋰建築集合体』
この記事は企画「音MADMyReview」の参加動画へのレスポンス記事となります。
企画概要はこちら。
(私の性質上、主に音声面についてばかり語ってしまう癖がありますのでご了承ください。)
㋰建築集合体
第一印象『素材選定とセリフ合わせのマッチング。』
音MAD情報
ニコニコ動画ID:sm44232249
使用楽曲:㋰責任集合体
使用素材:FORTNITE「ゼロビルド」トレーラー
再生時間:31秒
投稿日時:2024/10/19 21:55
投稿者:こいつ
レビュー
セリフ合わせのあらゆるテクニックが詰め込まれた音MADです。
・タイトルから見る「㋰建築集合体」
オンラインゲーム”フォートナイト(FORTNITE)”の最新トレーラーを素材としたセリフ合わせ特化の音MAD。
トレーラーが公開されてから音MADになるまでの期間はわずか1日。
映像はトレーラーを切り貼りしてリズムを合わせ、使用曲「㋰責任集合体」のMVと同じ色調(ベージュと黒の2色。オシャレ。)に加工したもの。
そしてそこに字幕を入れてあります。字幕の表示方法もたくさんで凝っています。(後半はシンプル。)
時系列から推測すると、ゼロビルドトレーラーを見て→それを素材に音MAD作ろうと思って→使用曲を決めて→作成。という流れかと思います。
(もしかしたら㋰責任集合体で音MAD作りたいと思っていたところにいい素材が飛び込んできた、という可能性もあります。)
ここはタイトルにヒントがあるように思います。
ゼロビルド→建築なし→無建築→㋰建築
ここから㋰責任集合体と合わせようという発想に至った説を有力視しております。(ここは作者ご本人様の回答があれば助かります!)
「㋰責任集合体」はマサラダさんによる楽曲。「ライアーダンサー」や「ちっちゃな私」など、各曲で表情の異なる名曲を生み出し、MVも自身で手掛けるマルチクリエイター。
好きなボカロPの1人で、氏の楽曲で私もマッシュとか作ってます。
㋰責任集合体は音MAD使用曲としても人気です。
㋰責任集合体音MADのタイトルには大きく分けて4パターンあります。
1.㋰責任○○○
・・・最後を「体」で合わせているものも多い。
2.[○付き文字]△△集合体
・・・○付き文字は遊べるポイント。原曲に倣って㋰が多いかも。一文字目以外に○付き文字を入れたものもあります。○付き文字なしで「△△集合体」もあります。
3.[○付き文字]△△○○○
・・・1と2のハイブリッドという名のほぼ自由。○付き文字は原曲でも特徴的部分のため、音MADタイトルでも取り入れが多いイメージ。○付き文字がない場合はそのままカタカナ表記。
4.その他
・・・完全自由。文章化したものや、原曲タイトルとは無関係(素材寄り)だったり、○付き文字で遊んでいたり。(”その他”って項目入れれば全カバー出来る万能単語)
…脱線し過ぎましたが、「㋰建築集合体」に戻ります。
こちらのタイトルは2のパターンに該当し、且つ、「無△△」という否定接頭辞(打ち消しの意味を表す)も原曲と同じです。
(原曲タイトルで「㋰」としている点は、マサラダさんの何らかの明らかな意図がありますがそこまでの考察には辿り着いてませんので、単純に否定接頭辞の「無」の意味で捉えてます)
フォートナイトがオンラインゲームであり、一つの島にプレイヤーが集合するという点で「集合体」も意味が通ります。
そしてなんと言っても「㋰建築」。この短い造語が素材を的確に表現しています。
トレーラー内で「建築なしのフォートナイトだ」と言っていますし、「ゼロビルド」の直訳が「無建築」にはなりますが、それでもこの置き換えは中々出るものではないと思うのです。
その点については次で深掘りしてみます。
(「無責任」と言う単語はありますが、「無建築」と言う単語は多分ありません。だからこそこの造語は凄い。)
言葉の変換や文字の一致、語呂合わせなどによる発想は、「曲と素材の組み合わせ」を決める上で、非常に面白い決め方であると思っております。
いわゆる”タイトル先行”です。
古(いにしえ)の音MADから最新の現代音MADまで、この言葉遊びにより組み合わせを決定したであろうと思われる音MADは沢山あります。
この決め方の面白さを語るには、逆(?)の考え方である「この曲で○○の音MAD作りたい」という作者の純粋な”好き”の組み合わせを例にすると分かりやすいかもしれません。
はい。ここで重大なポイント。
タイトル先行や言葉遊びからの選定だとしてもですよ?素材と曲が好きでなければまず、思い付くことすら出来ないのです。
頭の中に曲のタイトルや歌詞、素材元の名前や印象的なセリフが残っているから、この連想ゲームのような発想で曲と素材が結び付けられるのです。
(好きではなくても知識があれば思い付くことはありますが、音MAD化されることは中々ないと思うのです。)
つまり!タイトル先行や言葉遊びからの組み合わせ決定も、作者の純粋な”好き”の組み合わせであると言えます。
事実として、本音MAD作者は同曲でMr.Beast集合体も作っているし、フォートナイトの音MADじょじじょじも作っているのです。曲も素材も好きであることが分かります。
だから「㋰建築」に辿り着いたのではないかと思うのです。
(全然違ったらごめんなさい!)
…もし仮にタイトルは後で思いついたとしましょう。
曲と素材の組み合わせは前述の通り「純粋な”好き”の組み合わせ」により決定したということになります。
そしてこのタイトルを閃いたのであれば、もうそれはこう表現するしかなくなります。
”天才”です。
・インスト音源
使用曲は「㋰責任集合体」のインスト音源です。
原曲のボーカルの”リズムの塊”や構成を見事にセリフ合わせに落とし込んでいます。
インスト音源の使用により、セリフ合わせをメインに据えた本音MADが輝くのです。
・セリフ合わせ
㋰建築集合体は「純セリフ合わせ音MAD」です。
この企画に純セリフ合わせで参加頂いたのならば、私はその全てを分析する責務があります。(ありません。)
ではいきます。
(owatax式譜割り表記を参考にし、少しアレンジした譜割り表記です。)
原曲のリズム的に前小節の4拍目スタートが基本となるため、そのリズム感をリスペクトした㋰建築集合体も自ずとそうなります。
【ゼロビル//ド○○○/うって○/[こわし]3' て○/か[アい]ふく//できるが/○○これ/は○○け/】
初っ端から複数のテクニック。
「壊して」を【こわして】ではなく【[こわし]3' て○】にしています。(「壊し」の半拍3連符)
これは、その前の「撃って」の”て”の拍内での位置と合わせるためかと思われます。気持ちいい。
「回復」は元素材からして「か」が少し伸びてるので単純な4文字1拍ではない独特のリズムが生まれて癖になります。
次のセリフ「建築なしだ」から一文字「け」を先食い。(原曲からして1拍先食いの上でさらに食う。)ここもさりげなくテクい。
【[んちく]3' なし//だ○○○/すべって/のぼって/ねらって//ねらわれ/とびこえ/て○○○/】
「滑って、登って、狙って」のタタッタ3連発を完璧にリズム合わせるとこんなにも気持ちいいんです!
その後の「狙われ、飛び越え」も含めて拍内最後の文字は母音〈e〉で統一されており、トドメの拍頭の「て」です。
(「狙って、狙われ」の能動・受動の連続も好き)
すんなり聴いてましたが、元素材では「狙って」という音声は存在せず「狙ったり」なんです。また順番も違うのです。
つまり、作者の編集力と音MADセンスよりこの気持ちよさが生まれているのです。
【[まった]3' なし//だ○○○/ひらけた/ば(しょ)でき/[(しゅ)に][あっ] たら//てもちで/みをまも/るんだな/】
ここの32分の使い方は巧い…!
「ひらけた」からの休符なしでセリフの詰め込み。
それまでが休符や促音(っ)によってリズムを生み出していたので、ここで全詰め込み且つ32分も織り混ぜて変化を付けにきてます。好きすぎる!
最初【(しゅ)に[あっ][たら]】と間違って書いてたために発見した事、この際なので残しておきます。以下。
「たら」は圧縮してもいい感じになる気がします。
リズムの抽象的な言語化でよくある「たんたん、たったか」「ぱっぱら、ぱっぱー」とかの「たか」とか「ぱら」と同じ響きの「たら」だからでしょう!(これ、自分の中で世紀の大発見です!)
【ゼロビル//ド○○○/けんちく/なしの○/ゼロビル//ド○ド○/ド○ド○/ド○○○/(休)】
原曲リスペクトのラスト文字の5連発。
素直にただただサイコーだ!
次からは小節の1拍目スタート
【○○おっ/○○と○/ゼロビル/ド(じゃ)しざ//いはあつ/まらない/ぜ○○○/○○○○//】
「おっと」には(笑)が付く元素材。
最後の「ぜ」には「?」が付きます。
表記上は文字に表せない部分、それを譜割りの妙で表現しているかのように感じます。
(例えば【○○おっ/と○ゼロ/ビルド(じゃ)】のように「おっと」を詰め詰めにしたらどうでしょう?『(笑)』を感じづらくなりそうですよね。)
ここのセリフ合わせは全体の中でも特に最強に気持ちよくて大好きです。
素材の味を活かしまくってます。
【○○にひ/きのさか/なをげき/は[して]よろ//こん[でいる]3'/[よう](じゃ)あま/いな○○/○○○○//】
ここは表記特に難しかった!合ってるか分かりません!
ここまで書いてきてますが、正直「半拍3連符」か「32分×2と16分のセット」かは判別出来てるか分かりません。速度半分で聴いててもムズい…。間違ってたらこっそり教えてください。こっそり修正しときます。
譜割りが難しい=テクニカルすぎる、もしくは考えるな感じるんだの精神への誘導。
聴いてて気持ちいいことには変わりません!
むしろそれが全て。ここも超気持ちいいんです!
【○○たた/かい[にう]え/たアンタ/らにピッ//タリのば/(しょ)を[おしえ]3'/てやるぜ/(次)//】
ここのラスト「教えてやるぜ」は”ふわり”乗せのような気もします。(一応表記はしてみました。)
ふわり乗せとは、(私が勝手に言ってるだけの言葉で)譜割りを強く意識せずにゆるくセリフを乗っける感じのことです。
カッチリ譜割りで進行する中でのふわり譜割りは印象に残りやすく、こういう変化を持たせているのが個人的に大好きなんです。
逆にふわり合わせからのカッチリ譜割りへの移行も”見せ場”的な効果として有用かと思います。
ラストも前小節の4拍目スタート
【ゼロビル//ド○○○/けんちく/なしの○/[(フォ)ート]3' [ナイト]3'//だ○○○/○○○○/○○○○/○○○○//】
最後の最後にゲームタイトルを堂々と。
「フォートナイト」を6連符(上記表記上は半拍3連×2)でハメ。痺れるぜ!
以上!全セリフ合わせの譜割り分析のコーナーでした!
全体を通して元素材の使い方がしっかり調整されているように思います。(例えば「待ったなしだ」は元素材では後半に登場するセリフですが、本音MADでは前半に使われてます。)
投稿背景・本企画を絡めたレビュー
(ごめんなさい!こいつさんのXで投稿前後のポストを覗かせてもらいました!)
時系列の再確認。
①10/18の16時ごろ、フォートナイト公式よりゼロビルド最新トレーラーがYouTubeで公開。
②10/18の19時ごろ、こいつさん「Fortniteの音マド作るか」発言。
③10/19の22時ごろ、本音MAD投稿。
素材(もう「素材」と言ってしまってます)が産声をあげた3時間後には作るか発言。その翌日に投稿しておられるのです。
この1日という制作期間を短い/速いと取るかどうかは人それぞれ。
ですが、ここには音MADの魅力の一つである「手軽さ」「気軽さ」「音MAD作者のフットワークの軽さ」、まとめて『軽さ』があります。
曲の使用箇所がサビからというのも「作りたいとこだけ作る」というよりは、この素材量的にはこの尺がちょうど良い・この箇所だから素材の持ち味を発揮できる、だからこの箇所だけで作ったんではないかと感じました。
「テキトー」ではなく本来の意味での「適当」。
セリフ合わせの精度や映像(特に前半の字幕表現)から、1日でこの完成度は凄い!というのが私の所感となります。
そして企画参加は投稿時ではなかったと認識しております。
なんせ初主催のため、それはもう頻繁にキーワード検索をしておりました。(開始と同時に参加第一号が現れて舞い上がっていたこともあります。)
もしかしたらキーワードの打ち間違いもあるかもと音MAD晒しイベ参加作品を見る行為(晒しイベの本懐とも言える視聴者側の行為)もしており、音MADを積極的に見ると言う目的も果たせました。
けれども参加作品は第一号に続くものは現れません。
二日目の夜(か深夜だったか忘れました)に検索した時にこの動画がヒットしたのです!
キーワード「あいつのあれ」を白文字にして隠していただいております。(こいつさんが”あいつ”を使うことの偶然の面白さ)
キーワードを隠す理由はキャプションを見ると明白です。
「島の表面は最低な建築でいっぱいだー!」
これは、原曲のYouTube投稿版でのキャプションのオマージュなのです。
ここを大事にしたいからキーワードを入れる事に難儀されたかと思います。それでも本企画に参加頂いた事、嬉しいのです。
投稿後に本企画を知って頂けたのか、思い出して頂けたのか。
あとからキーワード追記により参加することも想定して企画告知記事書いておりましたが、実際にその方式で来られると、ちょっとビックリが勝る嬉しさ。
作者を絡めたレビュー
セリフ合わせ、音程合わせ、人力ボーカロイド、音声面だけ見ても多才な作者。
加えて映像面では手描きや歌詞表現などもレベルが高く、真面目も面白も誰得も、自分が好きなもので好きなように好きな時に好きなさじ加減で好き放題に作ってる。そんな印象を受けます。(褒め言葉です)
個人的な話
こいつさんの音MADで一番好きな「おくすり飲んで寝るのはこの男〜!」に出会ったことで、原曲の「おくすり飲んで寝よう」とその作曲者のもちうつねさんを知ることができました。
つまり私のおくすりと柴又のマッシュはこいつさんのせいで生まれたのです。(ありがとうございます!)
【11/5追記】こいつさんに見て頂けました!そしてお返事(ReviewReview)もいっぱい書いて頂き超嬉しいです。ありがとうございます!
タイトルは後で思い付いただと…!
あとドラム気付かなかった不覚…!
ご参加&素敵な音MADをありがとうございました!
〆の言葉
音MADとは
以上です。