見出し画像

運動能力を鍛える:イメージ力の強化

運動神経とは、イメージ通りにカラダを動かせる能力のこと。
筋肉の動きを司っている神経は、イメージの影響を強く受けるので、動きのメカニズムを理解し、それをイメージしながら反復すること。そうすることで、表面的な動きを真似て繰り返すより、圧倒的に早く神経の縛りを上書きして、運動神経を高めることができます。
今回は、動きのイメージ力の高め方についてお話しさせていただきます。


力の発生源と伝達を知る

現場で様々なスポーツパーソンを指導していると、動きのイメージ力が高い人と、そうでない人がいることを感じます。当然、イメージ力が高い人の方が、運動神経も良い人が多いです。

もし、イメージ力が低かったとしても落ち込む必要はありません。
動きのメカニズムを理解することで、短期間でイメージ力を高めることができるからです。

まず、抑えておきたいのが、力の発生源と伝達。

運動とはどこかで発生した力を、別の部位に伝えることでした。
そして、力の発生源は、大きく分けると「地面を蹴る」「カラダを捻る」「体重を移動する」の3つです。

自分が向上させたい動きやフォームは、カラダのどの部分で発生したどんな力を、どの部分に伝える運動なのでしょうか?シンプルなことですが、このことを把握しているスポーツパーソンは多くありません。そして、表面的な動きやフォームだけを真似ようとして、なかなか上達できないと悩んでいるのです。

正しい動きのイメージ力を高めるには、動きやフォームを一つの動作としてみるのではなく、時間軸で動きを細分化してみること。
そして、それぞれの段階で、力の発生源と伝達を確認すれば、把握することができるはずです。

時間軸で動きを細分化してみる

主要な関節の位置と可動域を知る

カラダの動きは、筋肉が骨格を動かすことでできてます。
頭の中の骨格のイメージと、実際の骨格の位置や可動域が異なっていると、イメージ通りにカラダを動かすことはできません。

例えば、股関節の位置をあなたは正しく理解しているでしょうか?

よくあるのが、股関節と大転子を間違えて認識しているケース。腰を横から触るとポコッとした出っ張りがあるし、脚を動かすとその出っ張りも動くので、この部分を股関節だと勘違いしてしまうのです。

大転子を股関節だと思っていると、そこから脚を動かそういうイメージをしてしまいますが、それは正しい動きのイメージではないのです。

股関節の位置を把握していますか?

それに、各関節には可動域があります。
股関節なら屈曲(脚を前方向に曲げる動作)の可動域は120~125°。
それ以上に脚を前方向に上げるには、骨盤を後ろに倒し、腰椎を丸める必要があります。
構造上、そのようにしか動かすことができないのですが、そのことが理解できていないと、正しい動きのイメージはできません。

股関節屈曲の可動域は120-125°

肩関節、背骨、骨盤と股関節といった主要な関節の位置と可動域を理解すると、理想的な動きをイメージしやすくなります。

主要な関節の位置と可動域は、難しい専門書などを読まなくてもネットで調べれば簡単に知ることができます。

骨を動かすを意識する

人間の体の動きは、筋肉が骨格を動かすことでできているので、イメージすべきは「腕の動き」ではなく、「腕の骨の動き」です。

話が少し飛びますが、筋肉は一方向に縮むことしかできません。
人間がカラダを動かすことができるのは、それぞれの筋肉(主動作筋)は必ず自分を伸ばす方向に縮む筋肉(拮抗筋)が存在しているからです。例えば、上腕二頭筋に対する上腕三頭筋です。

主動作筋が動く際、拮抗筋に力が入っていると、お互いに力を打ち消し合うので動きが悪くなります。スポーツで、よく余計な力を抜くように指導をしますが、それは、拮抗筋の力を抜けということなのです。

複雑な動きをする際、主動作筋と拮抗筋は目まぐるしく入れ替わるので、いちいち意識をしながら動かすことは難しい。でも、骨を動かそうと意識すると拮抗筋が緊張しづらくなり、イメージ通りに動かしやすくなるのです。

まとめ

「力の発生源と伝達」「主要な関節の位置と可動域」の2つが動きのメカニズム。このメカニズムが理解できると、正しい動きのイメージがしやすくなります。
その上で、「骨を動かす意識」でカラダを動かしていくと、構造的に正しい動きを神経に記憶させやすくなるのです。

次回は、具体的な練習方法についてお話しさせていただきます。
お楽しみに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?