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運動神経が分かれば鍛え方が見えてくる

身体能力は『運動能力×運動神経』で決まります。

これを車に例えるなら、運動能力とはエンジンやボディ、シャーシ、ドライブトレインなどで、運動神経とはそれらを制御する電気系統のようなものです。
エンジンやボディの構造や機能が高くても、電気系統の性能が低ければ、走行性に問題が発生するように、運動能力を高めても、運動神経が悪ければ高い身体能力を発揮することはできないのです。

ですから、筋肉の機能向上や骨格構造を整えるといった運動能力を高める取り組みをすると同時に、運動神経を向上させる取組をするべきなのです。


運動とは何か?

運動神経についての説明の前に、「運動とは何か?」ということを知っておいて欲しいと思います。

運動とは、シンプルに言うと、カラダのどこかで発生した力を、別の部位や道具に伝え、集中することです。
例えば、テニスでスマッシュをする際、腕の力だけでラケットを振っても速い球は打てません。ジャンプから落下する力とカラダを捻じる力を腕からラケットに伝えることで、速い球が打てるのです。
野球のピッチングは下半身の体重移動と腰の回転力を腕に伝えるものですし、マラソンは腕の振りと体重移動、地面を蹴る力を体幹に伝えることで推進力に変えています。

このように、カラダのどこかで発生した力を別の部位に集中させることで、カラダや道具を動かしているのが運動なのです。

運動とは力の伝達と集中

力の発生源と伝達の条件

カラダや道具を動かす力の発生源は、大きく分けると「地面を蹴る」「カラダを捻る」「体重を移動する」の3つに分けられます。
あらゆるスポーツにおける動きは、どんなに複雑に見えても、この3つの力の発生源を組合わせ、特定の部位や道具に集中させていることで成り立っているのです。

この力の伝達を行うのに必須となるのが筋肉の連動。
例えば、速い球を投げるには、体重移動と地面を蹴る力、そして体を捻ることでそれぞれに発生した力を、腕に集中させる必要がありますが、そのためには、下半身、腰、体幹、肩、腕の筋肉が連動していないといけないのです。

現場で相談に乗っていると、スポーツ選手が抱える課題の多くが、この連動が上手くできていないために起こっていることが分かります。
例えば、パンチ力が弱いという課題に悩んでいるボクサーの動きをチェックしてみると、下半身の力は強いのに体幹との連動が上手くできていないために下半身の力を腕に伝えることができていなかったり、バッターのスイングにおける課題でも、同じ理由のことがよくあります。

パンチは手だけで打っているのではない

人間のカラダには640個の筋肉があり、その筋肉が206個の骨にくっつき、伸びたり縮んだりすることでカラダの動きは作られていますが、この640個をイメージ通りに上手く連動させることができる人が運動神経の良い人なのです。

運動神経を良くするには

脳には一度覚えた動きを新たに正しい動きに修正するのを妨げる「神経支配の縛り」があります。この縛りを上書きしていくことで運動神経を良くすることができます。

そのためには、正しい動き(正しい連動)を反復して行っていくこと。
正しい動きを繰り返すことで、新しい動き(新しい連動)を神経に記憶させていくのです。

この際、カギのひとつになるのが「正しい動きのイメージ」。
神経はイメージと直結しているので、表面的に正しい動きを真似るより、上達したい運動のメカニズムを理解し、それをイメージしながら動かす方が、圧倒的に神経の縛りを上書きしやすいのです。

その方法は、次回の記事で詳しく説明させていただきますのでお楽しみに。

イメージ力が運動神経のひとつのカギ

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