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嫌われた監督

落合監督時代の中日が大好きだった。2010年のロッテとの大激戦も記憶に新しい。本書は、組織の枠をはみ出したリーダーとしての落合博満を扱ってはいるが、個人的には、リーダー論としての要素は少ない気がする。ビジネス書的に読むのも必ずしも正しくない気がする。不確定要素の多い勝負の世界で、信用できる数少ない材料を血眼で探していく、孤独な戦いの話だ。

プロスポーツチームにおける唯一最大の目的は勝利だ(厳密には勝率を他チームより上げることと、その結果としてのリーグ優勝、日本一だが)。その達成のための方法選択から遂行までのストイックさは改めて畏怖すべきものがある。そこに、「人の心」のような不確定要素は極力排除されている。人がやるスポーツだからこそ、過剰にシビアなのかもしれない。

ただ、その厳しさを保てるのは、選手としての圧倒的実績と、グラウンド内外に向けられた観察眼があるからこそだ。落合監督の能力は、組織を作る力というよりは、圧倒的な個人の力だと思う。そして監督の考えが浸透した選手たちも、個人として強くなった。

そこに功績の源泉と、限界の理由もあるはずだ。


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