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春節に30年続く、中国からの電話
先生あのね。今日は良い話です。
春節になると、実家に中国から電話がかかっていた。
私が中高生の頃、父はロータリークラブを介して、神戸大学への留学生(院生)たちににアパートをタダのような値段で貸していた。
さらに留学生のサポートファミリーとして、家に招待して神戸牛を一緒に食べたり、有馬温泉に泊まりに行って、温泉や懐石料理を体験してもらっていた。
数年ごとに学生は変わったけれど、留学課担当者によれば「日本の皆さん、留学生のお世話というと、欧米人を好むんです。アジア人を希望する人は少なくて」とのこと。30年前の話だから今は変わってきているのかもしれないけれど。
父は「僕はアジア大好きなので、むしろアジアの学生は喜んで引き受けます」と言っていたそうで、我が家がお世話したのは中国、韓国、モンゴルの人たち。
たとえば中国なら北京大学、清華大学などからの留学生で、皆さん優秀な人たちだったと思う。
その一人Zさんは、私より数歳年上だったかな?日本企業への就職を希望するZさんに、父は日本の大手企業への就職もお手伝いしてあげた。
彼は日本勤務後、中国に赴任し、家庭を持った。中国に帰国後も毎年「お陰様で」と春節に近況報告の電話をくれていた。
私が北京に駐在していた時は、ご家族も紹介してくれた。
そして、父が亡くなった後も、毎年、春節に「私の恩人です」と母に電話をしてくれるそうだ。
私の知る限り、中国、台湾、香港の人たちは縁を大事にしてくれる。
10代の頃の私は、父が呼んできた彼らと特に積極的に話していたわけでもなく、父がなぜ地腹を切って彼らのお世話をしているのかもわからなかったけれど、
「今年もZさんから電話があった」と聞くと、父すごいなと思う。
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