
中学生の息子の参観日。その前後の一コマ
息子(14)の中学の参観日に初めて行った。
公開日が数日あり、好きな授業を自由にのぞいていい、というもの。
息子は「誰も来ない授業がほとんど、来ても一度に1、2名だよ」と言う。
つまり、「来るだけで目立つから、振る舞いに気をつけて欲しい」と。普段から率直なコミュニケーションをしている私たち。彼が思っていることぐらい、察しはつく。
参観日、その前日
私「何の授業がいい?」
息子「うーん、音楽は歌っているだけだし、体育はバドミントンしてるだけだし。ちなみにボク、なぜかバドミントンうまいんだけどね。まあ来るなら、数学とか理科とか、英語とか?」
私「英語は、(私たちはニューヨークに住んでいたので)先生にとっては、『日本の英語の授業を確かめに来た!』みたいで、イヤな感じかな」
息子「いや。先生も自信もって教えてる感じだから、それは大丈夫」
理科と英語を観に行くことにした。
参観日、その朝
息子に「授業の最初と最後は、いなくていい」と言われる。私が、休み時間に息子やその友達、先生に絡むのではないかと、恐れているのだと思う。
私「この服でいいよね?ピンク」
息子「まあいいと思う」
私「ナマズ母です!って言った方がいいんだっけ」
ついつい、息子を脅して反応を楽しむ。余計なことをしたために、息子からの注意事項が止まらない。
息子「あと、基本的に親は教室に入ってこないから。だいたい、廊下からのぞいてる」
息子「あと、教室は4階だけど、玄関正面の階段から上がってきてね」(教室の後方に出てくる階段を指定。前方だと目立つから)
参観日、前半
理科の授業に行くと、私以外、誰も参観に来ていない。教室後方のドア越しにのぞいていると、ドア横の席に座る男子生徒が気がついて、そっとドアを開けてくれた。
最近の男の子って、爽やかでかわいくて、細やかで優しい。「ありがとう♡お名前は?」と聞きたいけれど、がまん。
せっかくなので、一歩だけ中に入って、教室の角に立つ。
何人かの生徒が、チラチラと後ろを見るけれど、一番前に座っている息子はこちらを見ない。10分ほど参観して、帰宅。
参観日、後半
英語の時間に、再び学校へ。スクリーンに映し出された英文(写真家・星野道夫のストーリー)を読む先生。とても元気な若い先生で、授業も覇気がある。
先生:「Nice to meet you! これ気をつけてね。meat にしちゃうと、キミいい肉してるね!みたいだから。」
(いや…、それはないでしょ)
迂闊にも、ツボにハマってニヤニヤが止まらない。家では私に向かってダジャレを連発している息子の背中は、微動だにしない。
相変わらず、後ろも振り返らない。
チャイムが鳴ったので、息子に見つからないように、慌てて教室を抜けて帰宅。
参観日、その後
ーー息子が帰宅ーー
私「今日、参観に行ったんだけど。2回も!」
息子「え?そうなの?来てないと思った」
私「だって、一度も後ろ見なかったじゃない。他の子はチロチロ見てたよ。せっかく行ったのに!」
息子「なに怒ってんの?参観って、授業を観に来るわけでしょ?親子でコミュニケーション取るためじゃないでしょ?」
そう。
いつだって息子は正しい。
参観日は「行ったよ!」という母親業アピールの場ではないんだね。
でも行ったよぉーー!!
ライターの傍らに母親業もしている、なまず美紀でした。
最新お仕事記事
★早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏を取材・執筆しました。
★薬膳教室『心味(ここみ)』 瀧本靖子さんを取材・執筆しました。
なまず美紀サイト

いいなと思ったら応援しよう!
