「わんわんだって宇宙のシンピ」感想。
「タオルケットをもう一度」シリーズの全作品感想を書くシリーズ。待望の新作が来たので久々の更新。
今回はメモ取りながらプレイしたのでいつもより細かく感想記事が書けます。
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わんわんだって宇宙のシンピ
わんわんが女の子になって不思議な空間と広い宇宙を冒険する話!
「タオルケットをもう一度」シリーズは20作品近くありますが、今回特殊な点は「ぷっち」が主人公である点ですね。ぷっちがメイン級として登場する作品、プレイアブルに据えられる作品はかなり多いんですが、ちゃんと主人公なのは今回が初めてです。(厳密にはライトマジック2でプッチという名前の男の子が主役。一応がぅがぅの花嫁のぷっちが主役の一人と言うこともあるのかも?)
ポンが1,2番手の主役級なのも意外と珍しいです。ほとんど全ての作品に登場するにも関わらず、ポンが主役級と呼べる作品はおそらくありません。そういう点でも見ても今回の作品は「いつも3、4番手で出てくる常連キャラが主役になる」という点で意外とシリーズでは異質な作品となります。
さて、感想ですが、まず今回はシステムがめっちゃ凄い!!! タオルケット史上一番ゲームゲームしてるRPG作品といって間違いないでしょう。未だに新しいことへの挑戦がやまない作者様に畏敬を…。
タオル2ぶりのお花システム、レーダーとその解除システム、不思議物体による変装システム、ステータス依存で成功判定がある選択肢、交渉システムなど、特記すべきシステムの数は枚挙に暇がないです。新規システムに対応して新規グラフィックが丁寧に用意されているのもプレイしてて嬉しいですね。意外と珍しい「心の中」システムも嬉しいです。
特に選択肢システムに関しては、ポン君の宇宙調査員としての成長が目に見えて嬉しかったです。ポンコツ宇宙調査員がこんな目に見えて成長するのマジでいいな…。
ただ、個人的にはかなりのメッセージコンプ厨なので、異常な回数ロードに費やす必要があってそこだけ辛かったです。今回、1回のみの会話イベントが多すぎて、狂う!!!!!!失敗イベントのセリフなどを含むと分岐のバリエーションは化け物クラスです。あと、今回数字が多かったのも狂いそうになりました。覚えられねえ!!!
ストーリーについては、今回は超分かりやすかったですね。「笑う、わらわぅ」以降の作品で一番明快だったんじゃないですか? 助かります。
グラフィック的にゴア描写がかなり控えめで、よく言えば誰にでもおすすめできる・悪く言うとちょっと刺激が少ない作品だったかもしれません。刺激が少ないて…不思議物体5000じゃないんだから… ちょっとタオルケットの高刺激に慣れすぎたきらいがあります。ただ、グラフィックで血が出てないだけで描写はかなりエグかったんだよな… ノリがギャグ寄り・被害者が人外の見た目だったからか悲惨さをそこまで感じませんでした。
あと、主役が犬だったからか分からないですが恋愛描写も控えめでしたね。ポン君→ぷっち、もっさら→ぷっちに淡い恋心があったぐらい…。こんな恋愛描写少ないタオルシリーズ本当に珍しいな… なんならそこが一番異質だったかもしれません。
そして、今回のぷっち可愛すぎる。えっへん←かわい!!!!! 女の子になってもどこまでも犬らしさが残っており、犬としての可愛さがエグいです。あんな大冒険をして、宇宙のシンピとして特別であることが発覚したのにかかわらず、地球では誰もそのことが知らず、でも自分だけは「わんわんだって宇宙のシンピ」だもんねと内心で思ってるぷっちのエンディングはかなり”良い”です。なんでしょう、話のスケールとそれに対する取り扱いの小ささのギャップ?というんでしょうか。ただ、ぷっちの心の中だけで「宇宙のシンピだからえらいのよ、えっへん」で取り扱うレベルの話ではないはずなのに、ただそれを誇りにして普通に野良犬生活を続けるというわんこっぽさが可愛いです。全体的にぷっちの性格がさっぱりしてるのが、アホ犬感あっていいんですよね。
ラストの宇宙船の音がハッピーエンドの象徴として鳴るのもいいですね。タオルシリーズで宇宙から宇宙人がやってきたらろくなこと起きないけど、今回はいいSE!というギャップですね。効果音として本来ラストを飾るような音ではないのが、逆に良いです。
ポン君は愚かなギャグ役からの成長が美味しいです。馬鹿なりに結果を残して、調子に乗ったら失敗して、たまに勘の冴え渡りを見せて、実は結構頑張ってる。なんて主役なキャラクター像…。
もっさらは…性別の選択に意味があったのか!?!? 1回しかプレイしてないのでもしかしたらあるのかもしれませんが、1回プレイした限りだと男女どちらでも変わらないような…
今回気になったこととして、「ゲーム」に対するメタ発言が超多かったです。「ゲームキャラ化した人類」「クリア」「ラスボス」「ロードし直す」「ゲームオーバー画面」… まあ今回のギャグの芸風にすぎないかもですが、本当に異様に多かったです。ラスト寸前まで大オチでこれ全部"ゲーム"でした!みたいなひっくり返しがあるんじゃないかと戦々恐々としてました。今回はゲームシステムがそれこそ"ゲーム"っぽかったので、そういった意図で多かっただけかもしれませんね。
さてさて、ここまで「あの話題」を避けて語ってきたのはここから長文で触れるからです。そう、「不思議物体」に関してです。
「不思議物体」は現実とは異なる次元に空間を生み出し、そこでは異次元生物が存在している。異次元空間を支配する生物を倒すことで、空間やその主は球体になる。異次元空間を安定化させることで、我々の住んでいる通常の次元に近づけることができる。完全な安定化であるところの保管を目的とするのが宇宙調査員。
厳密には異次元空間は必須ではないっぽい? 異次元空間を持たない不思議物体も何個もあります。
初見の感想は、SCPみたいだな、ですね。不思議なオブジェクトを収容する財団職員みたいじゃないですか?すみません、既存のコンテンツで例えて…筆者が昔SCP書いてたのでつい…
さて、プレイしながら全部の不思議物体をメモっていたのでまとめましょうか。感想も込みで…。
不思議物体
不思議物体001 ぷっち
不思議物体を生み出す不思議物体です。ぷっちが!? タイトル回収であり激アツ展開です。「宇宙のシンピ=不思議物体」であることを考えるとタイトルが真実そのまますぎる…。
ポンたちは地球がこれであると勘違いしていたのかもしれませんね(不思議物体001を巨大な惑星型生物であると推測しているテキストがある)
ぷっちの異次元空間が登場していないため、「地球」や「この宇宙」がぷっちの異次元空間である可能性はあります。
不思議物体002 シンピの壁
宇宙のバランスを司る。でっかい青スライムみたいなやつも不思議物体002です。「宇宙のバランスを司る」ならヨルモルキミリ3でヨルモルキミリがめちゃくちゃな時間異常を起こしていたときに神として登場したのも納得ですね。まあヨルモルキミリ3ではほぼ何もしてないですが…
途中明らかに「2001年宇宙の旅」のパロディが出てきます。モノリスは不思議物体002に似た精神生命体のなんからしいですね… モノリスは触れたらめっちゃ頭良くなって猿が文明を築いちゃうというデカい石柱です。
不思議物体005、006
不思議物体002の空間に出てくる雑魚敵
不思議物体885 防衛システム
エリア51を守護していました。この世界線の人類侮れんな…。
不思議物体1100 邪魔をするタコ焼き
不思議物体1101 更に邪魔をするタコ焼き
こんなんありかい。笑いました。ただのRPG都合上の道塞ぎです。
不思議物体1300 幸せのODN
浸かると幸せになる液体…ではなく、幸せな幻覚を見せる不思議物体でした。こわ!!!! 被害者がおでんとポンなので悲惨さが覆い隠されていますが、激こわ不思議物体の一角ですね。
不思議物体2222 にゃボテン
猫のサボテン。
不思議物体3400 毒液でポンを溶かすやつ
多分グレープみたいなやつのこと。「がぶがぶりそ」が抽出できる。
恐怖のオレンジ 包丁持ってたでっかいオレンジ
番号不明。球体になってたので不思議物体ではあるんでしょう。
不思議物体4415 低確率の世界を旅するわんこ
低確率連続現象を起こす。ポン君が不運だった原因。
飛行機にわんこが現れた瞬間、超びっくりしました。突然ヨルモルキミリにすな!!!!!!! ポンが安定化した空間に入った瞬間におぼろげに現れるのも含め、不気味でかなり"良い"不思議物体でした。
実際にはわんこも被害者というか、苦しんでいる側でしたね。最後まで保管されなかったことも踏まえ、かなり救われない存在かもしれません。
不思議物体5000 偉大なる嘴
ドット化するやつ。最初の不思議物体です。
本質はどう考えてもドット絵化よりも「永遠の牢獄」です。他の不思議物体の比じゃないぐらい長時間狭い空間に閉じ込められて、中の生物たちも小さい刺激にすがるか、倫理観が壊れるかしかやることがありません。これ1個目にでてくるやつ? どうもタオルケットシリーズは超長い時間のインフレが極まっています。
不思議物体5566 ぐぁんた生物群45:GG
捕獲した生命体の苦痛のエネルギーで繁殖する生物群。宇宙調査員ポン絶対殺すマン。不思議物体5000より期間は短めな変わりに激痛要素をマシマシした最悪の不思議物体です。結局保管が間違った対処であることを考えるとポンたちが恨まれるのも納得ですね。
ポンがギャグみたいな感じで苦しんでるので意外とそこまで怖くなかったです。もし人間が相手だったら数十倍グロかったことでしょう…よかった。ぷっちも他人事だから余裕そうですね… ゲームオーバー時に捕まったぷっちが何も理解してなさそうな顔してて可愛いです。
あと、この空間のBGM選択センス狂ってて好きです。なんで拷問の部屋のBGMがそんなヒーリングミュージックなんだよ。
不思議物体564219 究極生物 対象をアホ化するスライム
コロシニイクの語呂合わせ。宇宙調査員やきゅうりぽんぽんが震え上がったのは、アホ化して危険度を誤解していたからです。ミーム汚染オブジェクトすぎる… 最初会ったときに強すぎて倒せなかったのも、今思うとアホ化してたせいですね。実際にはガラスに閉じ込められると出てこれてないです。
とはいえ、アホ化による被害の大きさを考えると結局超危険不思議物体であることには間違いありません。
不思議物体6320 ヨルモルキミリ
は!!!!!!!?????????
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい
やばすぎるだろ
今作品で最もやばい真実です
なんと、ヨルモルキミリは不思議物体だったのです! そしてちへむしゅが持っていた球体がヨルモルキミリです!
まず、ヨルモルキミリと不思議物体の結びつけはほぼ完全な形で行えます。
・不思議物体の支配者=わんこ(蛹乙女かも?)
・不思議物体は空間を持つ=ヨルモルキミリ空間
・不思議物体の生物は人類が素体となることがある=人間がトカゲになる
・不思議物体の球体化のためには支配者の打破が必要=実はヨルモルキミリ1,2,3においてわんこを完全に打破した後の世界は一度も描かれていない(1ではわんこ撃破後も実はわんこクローンがいた。3では無限ループによって永遠に無効化し続けているだけでわんこが死んだ後の世界をプレイヤーは見てない)
でも、これって単にヨルモルキミリが不思議物体だった、で終わる話じゃないんですよ。例えば、作者ブログより、タオルケットをもう一度2のぱりぱりうめ空間はぱりぱりうめのヨルモルキミリであることが告げられています。つまり、あそこはぱりぱりうめという不思議物体の異次元空間ということになるじゃないですか!!!ぎゃっっ!!!!!!
他にも、例えば「でかぱり」あたりはかなり不思議物体的であると言えると思います。あれ、ぱりぱりうめの不思議物体空間じゃんか…人間が花になってるし…
その他、タオルケット6の牛の楽園とか、笑うわらわぅの世界とか、夜海の黒の世界とか、その気になればタオルケットをもう一度シリーズ全体が不思議物体で説明がついてしまいます…。革新というか…もはや飛び道具の暴力!あまりに便利すぎて言いたい放題の考察の飛び道具になっちゃうので、控えようと思います。あくまでこじつける選択肢もあるよという提案でした。
その他
空からクル乙女爆弾でおもちちゃんたちを丸ごと飲み込んだクジラのことですかね?
「タオルケットをもう一度:ケモノ」から初登場のポンの設定が引き継がれています。今回もポンは宇宙支配側の生物なので、もしやケモノと同じ世界線…?だとしたら最悪ですね。クラス5は今回も出てこなかったですが、依然として「空からクル乙女爆弾」のポンが宇宙精神生命体説はありますね。特に今回はゲームであることの強調がかなり多く、何もかもがポンの作ったゲームみたいなものという「空からクル乙女爆弾」のある種台無しなオチを引き継いでいる可能性はゼロではありません。だとしたら最悪ですね。
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