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女性向けだと思ってた『誰ソ彼ホテル』がかなり良かったという話

ネタバレ注意!

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ホテル従業員紹介 塚原音子より

Youtube shortで流れてきた広告を見て思いました。

この主人公の顔、かわいすぎ。声もいい。

ということで、ほとんどスマホゲームをやる文化がないゲーマーなのですが、珍しくアプリをダウンロードしてしまいました。

とはいえ、全く期待していなかったのです。なぜならPVのタイトル画面に明らかに線の細い絵柄のイケメンが2人いたからです。Not for meなんだろうなと予測していました。女性向け作品なんだろうなと。ていうか、普通に乙女ゲームだと思ってました。

ですが…

面白い!!!!!!!!!

完全に想像しているものと違っていました。イケメンは出てきますし、やっぱりイケメンなんですが、思ってる乙女ゲームのソレとは全然違いました。恋愛要素が全面に押し出されるタイプの作品ではなく、主人公もかなり独特な性格でそれがいい! もしかすると俺が知らないだけで女性向けゲームって普通こうなのか? 知らないけど多分違うと思います。

そもそも、普通にゲームとして面白い!!!! 逆転裁判もダンガンロンパもだ~いすき、かつ往年のフラッシュ脱出ゲームもだ~いすきなので、本当に違和感なく遊ばせてもらいました。謎解きも理不尽さがなく丁度いい難易度。(途中からSteamのRe:newalの方で遊んでます。)

ストーリーとしてはやはり徐々に明かされる謎部分が美味しく、ちゃんと推理できる程度に伏線が置いてあってかなり読み心地がいい。

ただ、やはりこのゲームのいいところは「キャラの異常性」だと思います。おおよそプレイヤーの道徳観にそぐわない"狂人"がおり、そこが面白さの本質を担っていると思います。

そう、大外聖生ですね。

いやこんなやつイケメンポジションでいちゃダメだろ!!!!!!!!!!

バケモン

なんですか?こいつは? 子どもの頃から動物を殺し、ストレスで女性に性的暴行を働き、エリートを殺してはスッキリして、あげくイケメンのストーカー…

もしかすると俺が知らないだけで女性向けゲームの男って普通こうなのか? 知らないけど多分違うと思います。

倫理観が本当に終わっている上に、なんか章終わりにホテルに常駐します。いや常駐すな。

こいつの良い(最悪な)ところはシンプル殺人鬼なだけじゃなくて、性欲で女を犯して殺しているところです。なんというか、普通そこは殺人鬼キャラでも漂白する所じゃないのか? 嫌なところが現実的で良いです。いや何も良くないが…カスがよ…

何一つ同意できるところはないのにこの終わっているキャラが逆に好感が持てます。見ていて面白すぎる… 頼む…!地獄で永遠に苦しんでくれ…!

倫理観が終わっているくせに、自身に対する客観視ができているところが笑えます。自分の弱さに向き合って認識できてんのかい。



さて、プレイヤーの道徳観にそぐわない"狂人"はもうひとりいますね。

そう、塚原音子ですね。

いや主人公も頭おかしいんかい!!!!!!!!!!

バケモン

なんだかプレイ中にたまに違和感があるわけですよ。

女子中学生を人質に大立ち回りした殺人鬼に対して、怖がってパニックにならなかったり…

変な恋愛観を堂々披露したり…

なぜか殺人鬼に対して、好戦的に立ち回ろうとしてたり…

完全に騙してきた切子に全然怒ってなかったり…

プレイヤー視点が主人公視点なので異常性に気が付きにくいんですよね。途中まで「ちょっと独特だけどこういう作風なのね?」と思ってました。まさかこの異常性がちゃんと異常なものとして描かれているとは…

日常の一コマみたいなスチル

このスチルとかもうありえないくらい異常です。可愛がっていたルリちゃんがさっきまで殺人鬼に殺されそうになっていたのに、その殺人鬼とまるでビデオゲームで対戦してるぐらいの笑みで対抗心を燃やしています。怖がってパニックにならんかい。

右二人の正常さとの対比が凄いです。ルリちゃんの怖がり方はあまりにも正しい。婦女暴行の殺人鬼にナイフ付きつけられて、そいつがホテルに常駐するとか本当に洒落になっていない。人質の記憶がフラッシュバックして悪夢で目が覚めるぐらいのトラウマになってもおかしくないくらいのことをルリちゃんはされているわけです。

なのに作品の雰囲気=塚原音子の視点だとなんかちょっとギャグっぽい日常のスチルになります。このスチルがこのテンション感なのは塚原音子の異常性の発露だと思ってます。俺はこのスチルのとき、ずっと「なんかノリがおかしくないか…?」と思ってました。まさか演出とは…

大外が地獄に行かないAnotherルートとかは本当に真骨頂ですね。明確にプレイヤーと主人公の価値観の乖離が激しく現れます。婦女暴行をフォローする主人公って何…?

でもやっぱり魅力が凄い。なぜこうも"狂人"は人の心を掴んで離さないのか… ねこちゃんに関しては普通に顔が好みすぎるので更に倍です。困ったな…

塚原音子の異常性は行動力としても現れ、主人公性にも転化するのがいいところですね。顔は全然主人公顔じゃないのですが、話を動かす力はめちゃくちゃ主人公です。かっこいいシーンも応援したくなるシーンも多い。

あと、恋愛観がずっと変です。最後まで誰かとくっつくとかそういう話になってないんですよね。「こまめに連絡取るの面倒くさい」「チームで恋愛したい」「モテようとしていない」。特に「恋愛だけが運命の相手じゃない」はその価値観がそのまま異質なテーマとして誰ソ彼ホテルを印象付けています。Anotherルートはそれこそ異性としては好みじゃないけど、どう考えても地獄行き確定の行動だけど、それでも親友として一緒にいることを決めるという意味でかなり象徴的なルートだと思います。





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さて、もう作品全体の感想は終わりなので、百合の話していいですか?

俺はねこルリがだ~~~い好きです。

ルリちゃんは特に貧乏・友達いない・親に愛されていないの最悪環境に育っているせいでめちゃくちゃ自己肯定感が低いわけですよ。

そこに超絶はっきり可愛がってくる塚原音子とかいう異常者が現れる…なんて最高のシチュエーション…ラヴ…

ルリちゃんがとにかく怒ってるのってツンデレという表層的な話もあるでしょうが、この自己肯定感の低さによって好意を素直に受け取れないというかなり根本的な問題だとも思ってるんですよね。

それがねこの力によってじわじわ溶かされ、ついにハグすることを自分の口で言えたわけですよ。ねこの「はっきりと自分の気持ちを言える」というところに憧れて…

最初それこそ乙女ゲームの一種としてプレイし始めたので、こんな話が来るとは思っていなくて狂うかと思いました。いや、狂いました。

今後一生音子に可愛がられてプンプンしていてくれ…

あと、何気にルリが「ギャンブル・酒などの大人なものを嫌っている」という経験からくる性質は、「こっそり酒とか飲んでみちゃう」アンモラルで悪人な音子との対比になってますね。ねこルリは逆なんだよな…

提示システムも最高で、ルリに提示できるタイミングでルリ自身を提示すると、いつでもルリに可愛いと伝えられます。こんな1章から最後まで常時手の届く位置にこれがあるのマジ助かる。婚姻届を提示するのもおすすめ、結婚を申し込めます。

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阿鳥の話もするか…

阿鳥は比較的常識人だと思ってはいるのですが、やっぱり変ではあるんですよね。厳密には善人であるだけで変人ではある、と表現すべきか…

次の恋人に誠実であるために、恋人からプレゼントをもらわないって何?

チャラい見た目目的の女性が後を絶たないのになぜチャラい見た目をしているのか?

家に盗聴器があること確定なのに何も対策を講じないのか?

彼は自分のことを鈍感と評していますが、阿鳥の変さの本質は「自分のことを客観視ができていない」というところにあります。それこそ、大外とちょうど反対の性質ですね。

しっかりせい!!!!!

でもやっぱりめちゃくちゃ善人です。マジ大外と塚原が狂ってるから、際立って善人さが浮き彫りになります。

ありえんくらい抜けてるのに、かっこいいときめちゃくちゃかっこいいから困る。こうやって女を狂わせてるんだ…しかも無自覚に… 善人だけど罪な存在ですね。音子を地獄から救い、ルリを絶望から救い、大外の両親を入れ込ませ、大外に憧れさせ…あれ、女を狂わせてるってか老若男女狂わせてるかもしれん。

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もう支配人の話もするか…

こいつ救いの存在過ぎるだろ!!!!!

なんかちゃらんぽらんでサボり魔でいい加減だけど、かなりいい人です。人ではないか。いい炎です。

特に人外の瑪瑙・切子あたりはかなり人間と価値観が違うこともあり、支配人の「システム的存在の割に話が通じる」性質はかなり清涼剤です。

音子の殺人を止めようとしたり、大外に記憶維持の方法を教えなかったり、生きるのを嫌がっているルリちゃんに再起の場を与えたり、もう最高~~~~!

特にルリにとって支配人ってもはやお父さん的存在なんじゃないでしょうか。

そもそも狭間の地にホテルを作って、人間たちに心を整理する時間を与え、それぞれの人間に対して大きく心が動いちゃうって、なんてかわいい異形頭上位存在…

実際初見からの振れ幅で一番好きになったの支配人かもしれません…なんだそのムチムチボディは…いやそれはマジで何?

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面白かったです。

どうやらアニメ化するらしいですが、広告だったりSteamセールがあったのはアニメ化発表に合わせてきてたんですね。

完全に狙い打たれちゃった。

おわり

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