何が新しいの?8月14日、長岡市で「新しい笑いのカタチ」というライブを開催します。
新しい笑いのカタチとは…一言でいえば「肯定」の笑いである。実はNAMARAは立ち上げ当初から「肯定」をテーマに掲げてきた。
万引き少女が本当に欲しかったものは?
ある日、万引きした女子高校生が事務所に来た。
親からは怒られ、学校は停学。
「何を万引きしたの?」と尋ねると
「CDを盗んだ」と答えた。
僕は「次に何を盗む?」と聞いた。
「本当はテレビを盗みたかった」
「何でテレビにしなかったの?」
「テレビは無理だと思った。」
「なるほど、僕は無理ではないと思うよ。」
僕は彼女の言葉を頭ごなしに否定せず、いろんな方法があるよと様々な盗み方を提案した。
一応、念のためにいうと、盗みを働かせようとしたわけではない。
テレビよりもっと盗みたいのは?それは何で欲しいの?
繰り返し盗みたいものを聞いていったら最後に本音が聞けた。
彼女は「母親の愛情」を盗みたかったのだ。
人のものを盗んじゃいけないことくらい彼女もわかっている。
見つかったら停学になることもわかっていた。
それなのに周りの大人からは、
「CDくらいなら買ってあげたのに…」とか
「万引きは犯罪なので反省してください」とか、わかっていることを言われる。
ここで「そんなことくらいわかっている」なんて言おうもんなら、わかってないから万引きしたんでしょうと念を押される。
目に見えるもの、目に見えないこと
僕は盗んだ行為を肯定したわけではない。
盗んだ事実は目に見て明らか。
彼女はなぜ盗んじゃダメなことを分かっていたのに盗んでしまったのか?
その原因は目には見えない。真の原因、今回の場合の「欲しいものは母親の愛情だった」という本当の気持ちはまずその人を肯定しなければ見えてこない。
こんなふうに、すぐ目に見える行為に突っ込みを入れるのでなく、目に見えない原因に突っ込みを入れることを、我々は新しい笑いのカタチと呼んでいる。
盗んだことは悪い。
しかし、その原因となる気持ちを「何となくわかるよ」と肯定することで笑顔が生まれると確信している。
発達障がい児やたちゃんに寄り添う森下英矢
NAMARA立ち上げから看板芸人として活動する森下英矢。
彼の息子やたちゃんは「自閉症」「ADHD」の二つを抱える重度の発達障がい児。特に自閉症は「折れ線型」と呼ばれる珍しい症型で、例えば過去に発せていた言葉を時間が経てば発せなくなってしまうこともあるようだ。
やたちゃんは不思議な行動をする。しかし、本人にとってはたぶんですが、その行動は当たり前のことなのだと思う。やたちゃんからすれば、我々が不思議な存在かも知れない。
しかし世の中は、常識と違う動きをする人に対して
「何でそんな動きをするの?」
「それは人の迷惑になるからやめなさい」と言う。
やたちゃんがなぜ不思議な行動に出るのか。その原因は、見ただけで分かるような単純なものではない。森下英矢はやたちゃんの行動の原因を探り、見つめ、完全とは言えないまでも理解し、その原因に寄り添って会話をしている。
森下英矢は、新しい笑いのカタチの実践者なのだ。
8月14日、ぜひ長岡リリックホールへ来てください
繰り返しになりますが、新しい笑いのカタチとは、表層的なうわべだけでなく、目には見えない本質と向き合って、肯定することによって、「笑い」を生み出すことを指します。
今回の長岡ライブでは、森下英矢は「やたちゃんと森下家のひとびと」と題して、やたちゃんとどのように向き合い日々を暮らしているのかを講談スタイルでお届けします。
興味を持っていただけた方はぜひチケットをご購入いただき、当日足を運んでいただけると嬉しいです。今回のライブはいつにも増して皆さんを楽しませる自信があります。8月14日、よろしくお願いいたします。
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基本的にこのnoteでは新潟お笑い集団NAMARAの活動を通して、感じたことや、これからの取り組みなどを紹介していきます。
YouTubeでは、ナマラ江口としてのリアルな活動をお届けしておりますので、こちらも覗いていってみて下さい。