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写真漂流 - 広角レンズは一歩前へって本当?

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私は広角レンズで撮るのが好きです.

フィルム時代はどこへ行くにも,ハッセルの903SWCをいつもカメラバッグに忍ばせていました.今愛用しているシグマのdp0は35ミリ判換算で21mmの画角だし,常用カメラのRX0は24mm相当の広角レンズ.望遠ズームも持っているのだけど,もう何年も使っていません.

そんな広角レンズですが,よく「あと一歩被写体に寄って撮るべき」とか聞いたことはないでしょうか?

これはたぶん広い画角の中では主題が散漫になりやすいから,被写体に接近して大きく撮った方が表現的には効果的という意味なんでしょうか.

でも最近よく思うんです.本当に寄って撮るのは正しいことなのかって?

まずライカに代表される距離計連動式のカメラでは,構造上,広角や標準のレンズの最短撮影距離は0.7メートルが普通です.それが一眼レフに交代した時代から50センチを切り,だいたいの最短撮影距離は45センチくらいになっています.

最近ではもっと接近して撮影できるレンズも多く,レンズの先端から被写体までが10センチ以下というものも数多いみたいです.要するに昔はあまり被写体に近づいて撮影できなかったということですね.

ところで当たり前のことですが,写真は大きく撮ればいいというものでは決してありません.撮影者が感じた「意味」のある範囲を切り取るのが正解です.

ここで私は思うのですが,安易に一歩前へ寄って撮ることにより,その場の状況の描写が希薄になってしまうことはないのか.近づいて撮れるからといって,そこに思考を挟まずに動いてしまうと,撮影者の直感が写真に込められなくなりそうな感じがするのです.

あくまでも写真は,シャッターを押すきっかけとなった感覚を大切にしたいと思います.その時の撮影者の目はレンズと同じ.だから見えたものをそのままレンズに封じ込めてカメラに伝えるのがベスト.その過程では直感を大切にしつつ,すべてを支配するのは撮影者のセンスである.それが私の考え方です.

写真の構図に関してはある種の法則も存在しますが,撮りたいものに出会った時,それのどこからどこまでの範囲に意味を持たせるのか.それは撮影者のセンスそれだけだと思います.まさに経験を重ね,神経を研ぎ澄ませてこそ手にすることができるものです.

被写体に対峙したとき自分はどう動くべきなのか?
写真に「意味」を持たせられる距離とは?
これは広角レンズだけではなく,すべてのレンズについて言えることでしょう.機会があればゆっくり考えてみられることをお勧めします.

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