映画について - 『コンタクト』
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1997年に製作されたアメリカ映画『コンタクト』は,もしかしたら最高のSF映画かもしれません.
昨夜はこの映画をアマプラで見たのですが,かつてはDVDで幾度となく繰り返し見ていました.とにかく引き込まれるのです.
SETI(地球外知的生命体探査:Search for Extra Terrestrial Intelligence)によってメッセージの受信に成功した地球外知的生命とのコンタクトという,ありえない話ではないところがミソです.
そして科学的な要素だけではなく,神の存在や政治的思惑,テロリストまで絡んで物語は進行します.2時間半と尺の長い作品ですが,小気味いいテンポで繰り広げられる物語に,一時も目が離せません.私が思うに,SF映画の最高傑作ではないかと.
と書きますと,それは『2001年宇宙の旅』だろうという人は多いと思います.しかしあれは正直言って難解な映画.小説に例えると芥川賞.対して『コンタクト』は直木賞でしょうか.人間ドラマ的要素が適度に濃くて,すんなりと楽しめるのです.
主演は安定のジョディー・フォスター.脇役にはクセの強い男優陣が並びますが,ジョディーのパワフルな演技とバランスが上手くとれています.
ところで映画の原作者は,1980年のテレビ番組『コスモス』によって日本でも知られるようになった,天文学者のカール・セーガンです.
この映画にはセーガン博士の思想が濃く現れています.特に宗教に対し懐疑的であったということ.これは映画の主人公・アロウェイ博士にも通じるところでしょう.
残念ながらセーガン博士は62歳の若さで亡くなりました.しかし素晴らしい作品(小説や映画)を世に残したことで,社会に対し宇宙に於ける人間の立場や地球外生命についての理解を広めることに役立ちました.
また惑星探査機のパイオニアやボイジャーに積まれた,知的生命体へのメッセージを記した金属板は有名な話です.それらの探査機はすでに計画された探査を終了し,セーガン博士の夢とともに,今も深宇宙に向け飛び続けているはずです.