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シグマさん,こんなカメラ作りませんか?(5)

shot with SONY DSC-RX0
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昨日はシャッターについて書いてみた.そこで改めてレンズシャッターについて調べてみたら,なかなか興味のあることがわかった.よって今日はそれをまとめておきたい.

さてレンズシャッターのメリットとして,
 ・フラッシュライトに全速同調
 ・作動音が小さい
 ・作動ショックが小さい
 ・比較的コンパクトにレンズに内蔵できる

反対にデメリットとして,
 ・高速度が得にくい
 ・ボディー側からの制御が必要
 ・フォーカルプレーンシャッターと比較して耐久性が劣る

ただ高速度が得られないといっても,現在では最高速1/2000秒は普通である.数十年前ならせいぜい1/500秒が限界だったことを考えると,すごい進歩だと思う.その頃はフォーカルプレーンシャッターでも1/1000秒が当たり前の時代.最高速度でいえば遜色ない性能と言えるだろう.

しかし昨日も書いたように,これは制限付きの速度である.絞りを開放近くまで開けば,カタログ上の最高速度でシャッターは切れなくなる.

絞りを開くと光軸に対して光の束が大きな角度を持つようになる.ということはシャッター羽根で制御すべき光束の面積の増加につながるのだ.よって速い速度でシャッター羽根を動作させるのが難しくなるため,スペック上の最高速ではシャッターが切れない.

つまりF8では1/2000秒が使えても,F2.8では1/1250秒が限界ということになったりする.

ところでレンズシャッターは機構的に見れば,フォーカルプレーンシャッターよりも複雑な動きをしている.複数枚の金属片(羽根)で構成されたレンズシャッターは,通常は開いた状態であり,液晶画面またはEVFにはレンズを通した像が投影されている.フィルムカメラならば必ず閉じた状態であるが,常時センサー上の像をモニタリングするデジカメであれば,シャッターを開けておかねばならないのだ.

この時シャッターボタンを押すと,シャッター羽根はいったん閉じる.それから羽根が開き,指定された時間で閉じる.そうするとイメージセンサー上に蓄積された画像データがメモリに送られる.その処理の終了を待って再度シャッター羽根が開き,液晶画面またはEVFに像が復元する.

フォーカルプレーンシャッターよりも複雑な動きをしていると書いたが,たしかに一眼レフでは前幕と後幕が適切な間隔で走って露光完了,となるだろう.けれどミラーレスカメラではレンズシャッター同様,基本シャッターは開放状態である.撮影時はいったん閉じてまた開いて,指定時間後に閉じて,そしてまた開くという忙しい動きをこなす必要がある.

SIGMA fpは電子シャッターオンリーにすることにより,こういったメカの動作を一切排除した.スキャン速度はそれほど速くはないが,機械的な可動部が存在しないので耐久性問題をクリアしている.

さてこのシャッターについて大変興味深い記事を2つばかり見つけたので,最後に参考として載せておきたい.

  【極私的カメラうんちく】第12回:シャッター進化論 | THE MAP TIMES
(2005年12月)

  ソニーがDSC-RX1のAFとシャッター速度の仕様変更を告知|デジカメinfo
(2012年10月)

どちらも古い記事ではあるが,それなりに面白く,参考になると思う.

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