アニメ「境界戦記」に対しての感想

やってくれたなぁおい。これが25話通じての第1の感想である。ストーリーとか、アニメの作画とか、キャラクターとかロボデザインとか、いろいろな点でいろいろな感想がある。しかし、それらをすべて踏まえたうえで私はこの感想しか今持ち合わせていない。ふざけるな、と。


メイレスレイキ改という存在

境界戦記の2期においてオリジナルアメイン三機は回収を受けパワーアップしている。ガンダムMk.2がゼータに、ダンバインがビルバインに、エルガイムがエルガイムMk.2になるようにロボアニメでは主役機交代が一つの華でもあるが、境界戦記では機体の大きなシルエットは変わらず、各部の新たなデザイン変更という形をとっている。主人公機のケンブ斬は赤色部分が増え、頭部の二本ヅノが大きくなっており、いかにもなパワーアップ感だ。ジョウガン改も性能を上げ物量で推す敵に対し、必殺のガトリングを装備。さらにスナイパー機であったジョウガンの苦手とする近接戦闘用のサブマシンガンを装備し、実写デビルマンのような動きで敵を撃破していた。そして、レイキ改。この機体が作品を駄作、クソアニメにしている原因の一端であり、私の怒りの元である。

レイキ改、私の一番嫌いな機体であり、一番好きな機体でもある。

メイレスレイキは機動性、空中戦に特化した機体であり、ヒロインの乗る機体だ。空中戦、といっても1期ではジャンプを用いたものであり、つまるところ「アムロ・レイの空中戦」レベルなのだ。しかし、第二期では展開するウィングを以て空中から対アメイン用ミサイル(1発数万円)を用い敵に対し襲い掛かる。……………………はぁ?

それ戦闘機でよくない?

1期のゴースト戦においてブラッド大尉を援護するストークキャリー部隊はミサイルを発射、しかしゴーストの強力な妨害により外れ、逆にクラックされてしまっている。これが航空機とアメインの唯一の戦闘シーンだ。他のアメインも同様に対レーダーミサイル妨害などの機能や高性能な自動迎撃機能がついており、襲い掛かる戦闘機もろとも撃破される危険性があるなら
まだ理解できる。しかし、レイキ改の戦闘シーンにおいてはその描写は一切なく、戦術特化AI(笑)は迎撃しようともしない。二期の北米軍量産機はゴーストベースなんだったらそれくらい搭載しておけよ、という話になる。そもそも、現実世界をベースにしたリアルロボットアニメを謳っているのに対し、余りにも現実のミリタリー描写が反映されていなさすぎるという点にいきつく。第1期1話、初の敵として登場したオセアニア軍のバンイップ・ブーメランは見るからに無人機で、威圧感の有る姿であった。メタルギアソリッドシリーズに登場する月光のようにライフル程度しか武装を持たないレジスタンスには恐怖に映るであろう。装備された大口径機関砲は人間ならば即ミンチに、軽装甲車程度でも容易に撃破できそうだ。しかし、戦車はどうなのだろう。考えてみれば全25話中、戦車の描写が全く映されていない。逆にバンイップ・ブーメランの機関砲で敵のアメインを撃破している描写は存在する。ここから出る結論は、アメインは30ミリ~50ミリ程度の機関砲で容易に撃破が可能であるという点だ。そしたら現実の戦車のAPFSDSだったら余裕で撃破できそうだし、ブラッドレーや89式IFV、87式高射機関砲やゲパルトでも撃破できそうだ。さらに言えば、今話題のジャベリン対戦車ミサイルでも大きなダメージを与えられそうだ。つまり、現実で主流の兵器でアメインを淘汰することが可能なのだ。陸上兵器でこれなのだから対戦車ヘリや対地攻撃機、マルチロール戦闘機ならなおさらである。レイキ改の戦闘方法はまさにこれら航空兵器のそれなのであり、敵は成す術がなかったのもより拍車をかけている。なぜ、このような兵器の描写がなされなかったのだろう。

ロボットであることの理由付け


「はいふり」という作品がある。この世界では航空技術が全く発達せず、未だ飛行船が最新の航空技術であるという設定がなされていた。しかし、境界戦記では移動に対しジェット旅客機が使われている描写があり少なくともその可能性を否定できる。V-33ストークキャリーは明らかにV-22オスプレイの発展であり、むしろこの機体の存在は境界戦記が現実世界の延長線上である事を示す重要な役割を担っているといってもよいだろう。それなのに、この世界におけるロボットの利点、ロボットである事の説明を放棄している。この時点でロボアニメとしては私は失格だと思う。

マジンガーでは敵の機械獣がいる。ゲッターロボには恐竜帝国、百鬼帝国、メタルビースト、インベーダー等がいる。ガオガイガーにはゾンダーがいる。よくあるスーパーロボットは巨大な敵を討つために、対抗するためにその大きさや装甲の設定がなされ、到底現実の兵器ではかなわないという描写もある。

モビルスーツは(ギレンの野望とかジオニックフロントとかでやられてはいるが)戦車や戦闘機の攻撃を受け付けない正面装甲、迎撃能力が描写されており、他にも連邦ジオン両軍で戦車や戦闘機の運用描写がある。SPTは余裕で戦闘機を撃破している。オーラバトラーはバイストンウェルという特殊な環境、ヘビーメタルも同様にマシンナリィしか存在しないペンタゴナという環境が描写されている。さらにFSSではMHやヘッドライナーには一般的な戦車や戦闘機は全く無力である事も追加で説明されている。アーマード・トルーパーこそ、一番に体現している。薄い装甲、空挺や強襲上陸、宇宙に使用で使用できる装甲歩兵。戦車より火力や装甲が弱いと明言されている。マクロスシリーズに登場するVFはなぜ人型になるのかという疑問に対し、「巨大なゼントラーディと白兵戦を行うため」という明確な回答を序盤で示した。

現実の延長であるリアルロボアニメでも、ほとんどがなぜロボットなのか、や現実の兵器との差がしっかり説明されている。機動警察パトレイバーに登場するレイバーは人型作業機械の発展形であり、軍事利用もされているが劇パト2に登場したヘルハウンド攻撃ヘリの掃射で撃破されている。ラーダーも存在的には高速指揮戦闘車であり、ヘルダイバーは空挺部隊に随伴する強力な火力支援機、つまるところ空挺戦車という位置づけがされている。軍用レイバーはMBTやヘリ、戦闘機などに対して明確な住み分けがなされているのである。

旧来の陸上兵器と住み分けているのか、あるいはロボットがそれを駆逐したのか、境界戦記は劇中描写においてそれを示唆することも回答することも行っていない。現実の延長線上に位置し、リアルな描写を売りにしたロボットアニメとして考えるならば、私は迷うことなく0点をつける。

最後に

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