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デッドライン・モラトリアム


欠伸をしている様からは、間抜けという印象を受けるけれど、冷静になると寝不足や疲れがあることは、案外間抜けではない証拠なのかもしれない。しかし、語感が似ているからといって、噯気に対してそんな余地はない。

そして今、大きな口を開けているこいつは、何をしようとしているのだろう。

あまりにも大きくて、その重心で半歩下がる程に頭をもたげなければ、その全貌が見て取れない。ゆっくりと。目に優しい速さで上あごを下ろしていく。優しさは、しかし、威力に依らないこともまたわかる。身体に染みていく腐った液体を手で払うことに飽いた頃、この威力もまた、絶対的ではないことを思い出す。

この大きなやつは、大きいと思うから大きい。実際に大きいが、それよりも大きなものを振りかざそう。

ふつう犠牲にしないものを犠牲にして、つまり盛大に逃げ去って、避けて、目を逸らして、ほうけてしまうことが、これまでで、これからだろう。

この猶予は何を食い潰して生まれたものか。

時間が嫌に教えてくれる。

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なまもののまま
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