13日目
シドニー5日目
電車は完全に電子化されていた。Opar cardを事前に買っておく必要があり、オートチャージできたりもする。Suicaみたい。最初に20A$チャージしなければいけない。使い切れないけれど、完璧に使えてしまうのも味気ない気がする
電車に1階と2階があった。少しワクワクして、行きは2階、帰りは1階に乗ることにする。ギイギイと響く金属音が、少しだけ不安を煽る。ぼくはバッグを抱え、街へと向かった
Circular Quay Stationに降り立った我々は、まずオペラハウスへ向かう。鳥がうろつくテラス席とよくわからない屋台の間を抜けた先に、ずっしり構えていた
「案外、年季が入っているのね」
第一印象。オペラハウスを毛利蘭とすると、第一トサカの前面部分がうすらと、いや、遠目から見て分かる程度に黒ずんでいた。建築物が劣化していくのは自然のことだけれど、世界遺産だとか、イメージが先行するものは、どうしてもズレが生まれてしまう。このズレは、安心に近いものを感じた。なんだったんだろうか
見返してみたら思っていたよりも毛利蘭じゃなかった。イメージがね、ちょっと
その後、朝からなにも食べていないことを忘れ、シドニータワーとの2ショットを撮りに行ったが、周りのビルが高すぎて真下から見る羽目に。予想はできたが、街中も歩きたかったので、よしとした
開発途中の部分が多かった。大きめの道路を通行止めにしていたり、そのおかげでかなりの渋滞が発生していたり、なかなか大胆だ
友人が行きたがっていた現代美術館へ。美術館やら展示会やら、おもしろいものがたくさんあるのはわかるけれど、ビビッとくるものが一つか二つ見つけられると、ぼくは来てよかったなと思える。今回は二つあった
見るのに夢中で作者名や作品名、説明書きを見損ねたのが反省点。そこがメインですらありそうなのに。背景を知って深みを知りたいのに。この作品みたいに
3-4m四方のレンガの壁。その中は、深さを表すようなカラーリングのオブジェで埋め尽くされ、最も深い部分からはシドニー湾が覗く
何を感じたとか、何と重なったとか、そういうこともなく、強いて言うなら、奥行きに惹かれた。そんなところだと思う
親子四人が、これはなんだ、あれはなんだと、物議を醸していた。楽しそうに。二人の子供は、赤ん坊。ただそれだけだった。写真は撮り損ねたけれど、ものは捉えようで、見方の違いでしかないのかな、と思えた。その様子が、景色が、ビビッときた。ステキだった
二度目のブルーマウンテンズである。今日は夕暮れのブルーマウンテンズと星空を見に来た。昼よりも圧倒的に夕暮れの方が好きだった。色がいい。昼でさえ蒸発するユーカリの油のおかげで青くみえる森が、違った青に見えるのだ。深すぎてもはや黒にもみえるけど、青だと思っておいた方がおもしろい。写真には写せなかったけれど、この瞬間のブルーマウンテンズと雲の狭間の色は、お気に入りカラーだけのパレット乗せたい色だった。繊細なカメラが欲しい
夜の山道を適当な日本のラジオをかけながら走る。寝ぼけ眼をこすりながら